タグ : 知的財産高等裁判所
均等第1要件「本質的部分」の認定方法を示した「携帯端末サービスシステム」(アメーバピグ)事件知財高裁判決について
2018年8月27日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (129)
知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、本年(平成30年)6月19日、均等第1要件にいう「本質的部分」についてマキサカルシトール事件大合議判決に示された認定手法に従い、均等侵害の成立を否定する判決をしました。明細書に記載のない先行技術を参酌して本質的部分の認定を行っています。
リツイートについて著作者人格権に基づき発信者情報開示請求を認容したツイッター発信者情報開示請求事件知財高裁判決について
2018年6月18日 裁判例情報(サイバー法)裁判例情報(著作権) 飯島 歩 (129)
知的財産高等裁判所第2部(森義之裁判長)は、本年(平成30年)4月25日、他人の写真を無断使用したツイートについて、リツイートをした者に対しても著作者人格権の侵害が成立し、発信者情報開示請求の対象となり得るとの判断を示しました。
審決取消訴訟の訴えの利益と刊行物記載の化合物の一般式に多数の選択肢がある場合の進歩性判断に関するピリミジン誘導体事件知財高裁大合議判決
2018年5月18日 裁判例情報(特許・意匠) 藤田 知美 (31)
知的財産高等裁判所特別部(大合議)は、ピリミジン誘導体の特許の有効性について問題となった審決取消訴訟について、平成30年(2018年)4月13日、①審決取消訴訟の訴えの利益、②刊行物に記載された化合物の一般式が膨大な数の選択肢を有する場合の引用発明の認定、③進歩性判断に関する主張・立証責任について判断しました。
阻害要因の存在等を理由に進歩性を認めたカプコン対コーエーテクモゲームス審決取消訴訟事件知財高裁判決について
2018年4月29日 裁判例情報(特許・意匠) 藤田 知美 (31)
知的財産高等裁判所第1部は、平成30年(2018年)3月29日、カプコンの特許の有効性について争われた審決取消訴訟において、特許有効(無効審判請求不成立)と判断しました。カプコンがコーエーテクモゲームスを特許権侵害で訴えた別件の特許権侵害訴訟においては、大阪地裁平成29年12月14日判決が、同じ特許について進歩性を欠き無効であると判断していましたが、今回の審決取消訴訟では上記大阪地裁判決とは異なる判断となりました。
ユニットシェルフの形態が不正競争行為に当たるかが争われた事件(無印良品ユニットシェルフ事件)の控訴審判決について
2018年4月26日 裁判例情報(商標・不正競争) 町野 静 (36)
知財高裁は、平成30年3月29日、ユニットシェルフの形態が周知性のある商品等表示に該当するとして、これと類似する形態の商品を販売する行為が不正競争に該当するとした東京地方裁判所の判決を支持する判決を出しました。
商標登録取消審決に対する審決取消訴訟の当事者適格に関する「緑健青汁」事件知財高裁判決について
2018年2月2日 裁判例情報(商標・不正競争) 飯島 歩 (129)
知的財産高等裁判所第4部(髙部眞規子裁判長)は、本年(2018年)1月15日、商標登録取消審決を維持する判決に際し、本案前の抗弁に対する判断として、共有にかかる商標権の不使用取消審決に対する審決取消訴訟の提起は、いわゆる保存行為に該当し、固有必要的共同訴訟ではないため、単独で当事者適格が認められると判示しました。
商標の不使用取消をすべき場合に当たらないと判断した「COVERDERM」事件知財高裁判決について
2018年1月31日 裁判例情報(商標・不正競争) 村上 友紀 (16)
平成29年11月29日、知的財産高等裁判所は、「COVERDERM」という化粧品類の商標について、商標登録を取り消すべき旨の特許庁による審決を取り消しました。本判決では、商標法50条1項(商標登録の不使用取消)の該当性が判断され、その中で、ウェブサイトにおける商標の表示が同法2条3項にいう使用に該当するか否かの判断がなされています。
商標法2条3項の「使用」に関する判断を示した「ベガス」不使用取消審決取消訴訟事件知財高裁判決について
2018年1月15日 裁判例情報(商標・不正競争) 前田 幸嗣 (32)
知的財産高等裁判所第1部(清水節裁判長)は、昨年12月25日、不使用取消審判における商標法2条3項の「使用」該当性が問題となった事案について、株式会社ベガスベガスが有する登録第5334030号商標「ベガス」について不使用取消審判が請求された事案において、役務に係る出所を示す文字はチラシに多用されている「ベガスベガス」「VEGAS VEGAS」であって、一箇所だけで用いられている「ベガス」の文字部分は、店舗名称の略称を表示したものにすぎず、役務の出所自体を示すものではなく、当該文字の使用行為は、本件商標について商標法2条3項にいう「使用」をするものであると認めることはできないと判断しました。
審決取消判決による進歩性判断の拘束力の客観的範囲に関するドキセピン誘導体含有局所的眼科用処方物事件知財高裁判決について
2017年12月26日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (129)
知的財産高等裁判所第4部(髙部眞規子裁判長)は、本年11月21日、特許無効審判の審決取消訴訟において審決が取り消された場合の判決の拘束力に関し、「付言」の形ながら、前の審判における進歩性欠如の議論において主張されず、審決取消訴訟裁判所が明示的に判断しなかった顕著な効果に関する主張であっても、特許庁がこれを後の審判手続で審理したのは、一回的解決や訴訟経済に反し、取消判決の拘束力に関する行政事件訴訟法33条1項の趣旨に照らして問題があった、との判断を示しました。
新規性喪失の例外の手続要件と国内優先権主張出願との関係に関する「NK細胞活性化剤」事件知財高裁判決について
2017年12月18日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (129)
知的財産高等裁判所第2部(森義之裁判長)は、本年(2017年)11月30日、基礎出願において新規性喪失の例外の適用を求めつつ、国内優先権主張出願において書類の提出を怠った場合について、その後の分割出願においても新規性喪失の例外の適用を受けられないとの判決をしました。
物の組成と物性によって特定される発明のサポート要件及び実施可能要件の充足に関する「光学レンズ」事件知財高裁判決について
2017年11月18日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (129)
知的財産高等裁判所第3部は、本年10月25日、構造(組成)と特性(物性)の双方を数値限定によって特定した物の発明について、サポート要件及び実施可能要件の判断の枠組みを示す判決をしました。
医薬の用途発明における実施可能要件の充足について判断を示した「脂質含有組成物」事件知財高裁判決について
2017年11月16日 裁判例情報(特許・意匠) 村上 友紀 (16)
本年(平成29年)10月13日、知的財産高等裁判所は、「脂質含有組成物」という名称の医薬の特許出願に対し、実施可能要件を満たさないとして拒絶した特許庁の判断に誤りはないと判断しました。
特許無効審判の請求人適格(利害関係)に関する「パンツ型使い捨ておむつ」事件知財高裁判決について
2017年11月5日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (129)
知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、本年10月23日、特許無効審判の請求人適格として要求される利害関係の有無が問題となった事案において、直接的に対象特許の実施行為を行おうとしているわけではなく、また、自ら事業化のための設備等を有していなくとも、製造委託等の方法により関連発明の実施に向けて行動し、抵触がありうるのであれば利害関係が認められるとの判断を示しました。
公序良俗違反を理由とする商標登録拒絶査定・審決を取り消した「アドバンス助産師」事件知財高裁判決について
2017年10月26日 裁判例情報(商標・不正競争) 村上 友紀 (16)
本年(平成29年)9月14日、知的財産高等裁判所は、「Advanced Midwife アドバンス助産師」との商標は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」(商標法4条1項7号)に当たらないとして,特許庁による商標登録の拒絶査定及び審決を取り消しました。
明確性要件の充足について判断した無洗米製造装置事件知財高裁判決について
2017年10月13日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (129)
知的財産高等裁判所第2部は、本年(2017年)9月21日、明確性要件違反を理由として、特許無効審判における請求不成立審決を取り消しました。
実施可能要件とサポート要件の関係について触れた葉酸代謝拮抗薬組合せ療法事件における知財高裁判決について
2017年9月27日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (129)
知的財産高等裁判所第4部は、本年2月2日、サポート要件の判断手法や、実施可能要件とサポート要件の関係に触れた判決をしました。
トマト含有飲料の特許についてサポート要件違反の無効理由があると判断した知財高裁判決(トマト含有飲料事件)について
2017年7月31日 裁判例情報(特許・意匠) 藤田 知美 (31)
知的財産高等裁判所は、本年(2017年)6月8日、特許庁が無効審判不成立(特許有効)と判断したトマト含有飲料の特許について、サポート要件違反の無効理由があると判断し、審決を取り消す判決を下しました。
特許無効審判における冒認の主張の立証責任と求められる立証の内容・程度について
2017年2月27日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (129)
知的財産高等裁判所(第3部)は、冒認出願を理由とする特許無効審判における無効理由の立証責任は特許権者が負担する一方、求められる立証の内容や程度は、審判請求人の主張立証活動との相関関係で決まるとの判断を示しました。
延長登録された特許権の効力に関するオキサリプラチン事件知財高裁大合議判決
2017年2月1日 裁判例情報(特許・意匠) 松下 外 (17)
知的財産高等裁判所は、平成29年1月20日、その設立以後、11件目となる大合議判決を下しました。本判決は、過去の最高裁判決において未解決の問題として残されてきた、特許法第68条の2により延長登録された特許権の効力範囲について初めて判示するものです。
特許無効審判の審決取消訴訟において、審判と異なる主引例に基づく進歩性判断をした知財高裁判決について
2017年1月31日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (129)
知財高裁は、当事者が同意している場合には、特許無効審判の審決取消訴訟において、①「審判の対象とされた発明との一致点・相違点について審決と異なる主張をすること」、②「複数の公知事実が審理判断されている場合にあっては、その組合せにつき審決と異なる主張をすること」は許される、との判断を示しました。