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イノベンティア・リーガル・アップデート

裁判例情報(特許・意匠)

Innoventier Legal Update
イノベンティア・リーガル・アップデートでは、有益な法律情報をいち早くピックアップし、分かりやすく解説します。
 

プロダクト・バイ・プロセス(PBP)クレームについて明確性要件違反を認めた「電鋳管の製造方法及び電鋳管」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所(菅野雅之裁判長)は、令和4年11月16日、いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレーム(PBPクレーム)にかかる特許について、特許請求の範囲の記載が、「出願時において当該製造方法により製造される物がどのような構造又は特性を表しているのかが、特許請求の範囲、明細書、図面の記載や技術常識より一義的に明らかな場合」にあたらず、また、「出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情」も存在しないとして、特許無効審判における不成立審決を取り消す判決をしました。

特許権侵害に係る損害賠償額につき特許法102条2項3項の重畳適用を認めた知財高裁大合議判決(マッサージ機事件)について

知的財産高等裁判所特別部(大鷹一郎裁判長)は、令和4年10月20日、特許権侵害に基づく損害額の算定に関し、特許法102条2項による損害額の推定が覆滅される部分に対して、特許権者が実施許諾をすることができたと認められる部分については同条3項に基づく実施料相当額の損害賠償を請求することができる旨の大合議判決をしました。

研究委託契約の成果帰属協議条項違反に基づく損害賠償請求と特許権に関する訴えの専属管轄に関する活性型GcMAF事件大阪高裁判決について

大阪高等裁判所第8民事部(森崎英二裁判長)は、令和4年9月30日、研究委託契約違反の債務不履行を理由として神戸地方裁判所に提起された損害賠償請求訴訟につき、争点は特許を受ける権利に関係するものであって、契約違反の成否の判断には専門技術的事項の理解を要するものと認められることから、当該事件は民事訴訟法6条1項の「特許権に関する訴え」に該当するとして、管轄違いを理由に、神戸地方裁判所による原判決を取り消した上で、事件を大阪地方裁判所に移送する判決をしました。

海外に設置されたサーバから日本国内への配信行為が行われていた場合において日本国内における特許権侵害の成立を認めた知財高裁判決について

知的財産高等裁判所(本多知成裁判長)は、令和4年(2020年)7月20日、海外に設置されたサーバから日本国内への向けた特許発明の技術的範囲に属するプログラムの提供が行われていた事案において、当該提供行為は、その一部に日本国の領域外で行われる部分があるとしても、これを実質的かつ全体的に考察すれば、日本国の領域内で行われたものと評価するのが相当であると判断し、これが日本国特許法2条3項1号の「提供」に該当するとし、日本国内における特許権侵害の成立を認める判決をしました。

被告の動画配信システムにおけるサーバが日本国外に設置されていた場合において特許権侵害の成立を否定した東京地裁判決について

東京地方裁判所は、令和4年(2020年)3月24日、物の生産に該当するためには、特許発明の構成要件の全てを満たすものが日本国内において新たに作り出されることが必要であることを理由として、被告の動画配信システムにおけるサーバが日本国外に設置されていた場合において特許権侵害の成立を否定する判決を出しました。

独占禁止法との抵触を理由に特許権行使が権利濫用に当たるとした原判決を覆した「トナーカートリッジ」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部は、令和4年3月29日、電子部品が取り替えられたトナーカートリッジの再生品に対する特許権行使の可否が問題となった事案において、独占禁止法との抵触を理由に電子部品に関する特許権の行使が権利濫用に当たるとした原判決を覆し、権利濫用の成立を否定して、特許権者の請求を一部認容しました。

知財管理会社による権利行使と特許法102条2項の適用に関する「軟骨下関節表面支持体を備えた骨折固定システム」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和4年4月20日、グループ企業の知的財産権を管理する外国企業が原告となる特許権の行使について、原告が特許にかかる事業をしていなくとも、親会社の指示管理下で、グループ内の他の事業会社が生産した製品を日本国内の事業会社が販売し、原告が権利行使等を行っているなどの事実をもとに、特許法102条2項を適用し、逸失利益の賠償を命じる判決をしました。

原告が共同発明者に当たると判断して被告が保有する特許権の持分の2分の1の移転を命じた「魚体内の血液除去」事件大阪地裁判決について

大阪地方裁判所第26民事部(杉浦正樹裁判長)は、本年(令和4年)2月28日、魚体内の血液除去に関する発明の発明者の認定が問題となった事案において、原告が被告とともに共同発明者に当たると判断し、特許権の権利者として登録されている被告に対し、その持分の2分の1を原告に移転するよう命じました。

特許権侵害訴訟の提起が不法行為にあたるとして被告の特許権者に対する損害賠償請求を認容した漏水位置検知装置事件大阪地裁判決について

大阪地方裁判所第26民事部(杉浦正樹裁判長)は、令和3年9月6日、特許権侵害訴訟を提起した特許権者が、その主張に根拠がないことを容易に知り得たのに、被告の事業展開を妨げる目的であえて訴訟提起したものとし、訴訟提起が不法行為であるとして、被告の特許権者に対する損害賠償請求を50万円の限度で認容する判決をしました。

特許権侵害を行った会社の取締役について、会社法429条1項に基づき被侵害会社に対する損害賠償責任を認めた大阪地裁判決について

大阪地方裁判所第21民事部(谷有恒裁判長)は、令和3年9月28日、他社の特許権を侵害した会社の代表取締役及び取締役について、会社法429条1項に基づき、特許権を侵害された他社に対し損害賠償責任を負うとの判断を示しました。本判決は、特許権侵害事案における取締役の善管注意義務の内容を具体的に示した上、取締役らによる第三者への損害賠償責任を認めた重要な判決です。

クレーム解釈における課題と解決手段の位置付け等に関する流体供給装置事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和3年6月28日、特許第4520670号(「流体供給装置及び流体供給方法及び記録媒体及びプログラム」)にかかる特許権侵害訴訟において、課題とその解決手段の関係から、明細書に明示的に記載されていない技術的意義を認定し、発明の構成を限定する解釈手法を示しました。また、判決は、被告が答弁書において形式的には充足を認めていた構成について、主張の全体の趣旨から自白が成立しておらず、また、控訴審において充足を争うことは時機に後れた攻撃防御方法にあたらないとの判断を示しました。

特許権侵害棄却判決確定後の訂正と再訴の適法性及び規範力の範囲に関する「装飾品鎖状端部の留め具」事件東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第40部(佐藤達文裁判長)は、令和2年11月25日、特許権侵害訴訟における棄却判決確定後に、訂正審判を請求して判決の基礎となる行政処分が変更されたとして再審請求をし、同再審請求が棄却された後に再度の訂正審判を経て、同一被告に対し、同一製品についての特許権侵害訴訟をさらに提起したという事案において、差止請求については、形式的に請求項が異なっていても前訴で問題となった請求項の従属項であることなどを考慮し、前訴確定判決の既判力によって遮断されるものとし、損害賠償請求については、訴訟上の信義則に反して許されない、との判断を示しました。また、具体的事情に鑑み、これらの考え方を、前訴で原告となっていなかった専用実施権者についても及ぼしています。

延長登録に関し製造販売承認の対象となった医薬品の有効成分を実質的に判断すべきとした「止痒剤」事件知財高裁判決

知的財産高等裁判所第2部は、本年(令和3年)3月25日、製造販売承認の対象となった医薬品の有効成分を実質的に判断するのが相当であるとして、承認書の記載から形式的に判断した特許庁の審決に誤りがあると認定するとともに、延長登録の一部に無効理由があった場合、一部のみを無効にできる旨の判断を示しました。

先発医薬品の製造販売承認申請のための試験が「試験又は研究」の例外にあたるとした「ウイルス(T-VEC)」事件知財高裁判決

知的財産高等裁判所第2部は、本年(令和3年)2月9日、先発医薬品の製造販売承認申請のために必要な試験を行うことが、「試験又は研究」の例外(特許法69条1項)にあたり、特許権侵害にはならないとの判断を示しました。本判決は、後発医薬品に関する平成11年最判の趣旨が先発医薬品にも該当するとしました。

基礎出願に対する新規事項を含む発明についてのパリ優先権(部分優先)の効果に関するブルニアンリンク作成デバイス事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和2年(2020年)11月5日、パリ優先権を主張した国内出願にかかる発明において、基礎出願にない新規の構成が含まれていた場合であっても、直ちに優先権の効力が失われて特許が無効になるのではなく、当該構成について引用発明との関係における新規性や進歩性の有無の充足が個別に検討される必要がある旨判示するとともに、部分優先の具体的な適用手法を示す判決をしました。

特許法148条1項に基づく無効審判参加人の審決取消訴訟における被告適格に関する「止痒剤」事件知財高裁中間判決について

知的財産高等裁判所第2部(森義之裁判長)は、令和2年(2020年)12月2日、特許法148条1項に基づき延長登録無効審判に参加した参加人について、無効審決に対する審決取消訴訟における被告適格が認められるとの判断を示しました。判旨は、延長登録無効審判のほか、特許無効審判、再審の審決に対する取消訴訟にも適用されるものと考えられます。

特許異議申立てにおいて新規事項を理由に訂正請求を認めなかった取消決定を取り消した機械式駐車装置事件決定取消訴訟知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和2年(2020年)12月3日、新規事項を含むことを理由に特許異議申立てにおける訂正の請求を否定し、異議申立てにかかる各請求項について、新規性ないし進歩性欠如を理由に特許を取り消した特許庁の決定について、新規事項にかかる判断に誤りがあったものとして、同決定を取り消す判決をしました。

再生品の製造等を制限する仕様が独禁法に抵触し特許権行使が権利濫用に当たるとしたトナーカートリッジ事件東京地裁判決について

東京地方裁判所は、本年(令和2年)7月22日、プリンタメーカーがトナーカートリッジ再生品の製造等を仕様上制限したうえで、当該仕様に係る部品を取り替えたカートリッジを製造販売した業者に対して特許権侵害を主張した事案において、メーカーの行為が独禁法上の取引妨害であり、特許権行使が権利濫用であると判断しました。

知財高裁が特許登録前の発明の実施に係る職務発明対価請求権の消滅時効に関して判断した「FeliCa(フェリカ)事件」控訴審判決

本年(令和2年)6月30日、知的財産高等裁判所第3部は、非接触型ICカードのための通信技術であるFeliCaを開発したソニーの元従業員からの職務発明対価請求に係る様々な争点につき、判断を示しました。特許登録前の発明の実施に係る職務発明対価請求権の消滅時効に関する争点その他多くの点で原審と異なる判断をしています。

共同出願契約における特許権の「剥奪」の解釈として当事者間における持分権の喪失をもたらすとした「結ばない靴ひも」事件知財高裁判決

知的財産高等裁判所第1部(髙部眞規子裁判長)は、令和3年8月20日、特許権の共有者が当事者となる共同出願契約において、特定の契約違反があると違反当事者の特許権が「剥奪される」との定めがあった場合に、当該違反行為があったときは、違反当事者は、本件各特許権に係る自己の持分権を喪失するものと解するのが相当であるとの判断を示しました。

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