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イノベンティア・リーガル・アップデート

裁判例情報(特許・意匠)

Innoventier Legal Update
イノベンティア・リーガル・アップデートでは、有益な法律情報をいち早くピックアップし、分かりやすく解説します。
 

クレーム解釈における課題と解決手段の位置付け等に関する流体供給装置事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和3年6月28日、特許第4520670号(「流体供給装置及び流体供給方法及び記録媒体及びプログラム」)にかかる特許権侵害訴訟において、課題とその解決手段の関係から、明細書に明示的に記載されていない技術的意義を認定し、発明の構成を限定する解釈手法を示しました。また、判決は、被告が答弁書において形式的には充足を認めていた構成について、主張の全体の趣旨から自白が成立しておらず、また、控訴審において充足を争うことは時機に後れた攻撃防御方法にあたらないとの判断を示しました。

特許権侵害棄却判決確定後の訂正と再訴の適法性及び規範力の範囲に関する「装飾品鎖状端部の留め具」事件東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第40部(佐藤達文裁判長)は、令和2年11月25日、特許権侵害訴訟における棄却判決確定後に、訂正審判を請求して判決の基礎となる行政処分が変更されたとして再審請求をし、同再審請求が棄却された後に再度の訂正審判を経て、同一被告に対し、同一製品についての特許権侵害訴訟をさらに提起したという事案において、差止請求については、形式的に請求項が異なっていても前訴で問題となった請求項の従属項であることなどを考慮し、前訴確定判決の既判力によって遮断されるものとし、損害賠償請求については、訴訟上の信義則に反して許されない、との判断を示しました。また、具体的事情に鑑み、これらの考え方を、前訴で原告となっていなかった専用実施権者についても及ぼしています。

延長登録に関し製造販売承認の対象となった医薬品の有効成分を実質的に判断すべきとした「止痒剤」事件知財高裁判決

知的財産高等裁判所第2部は、本年(令和3年)3月25日、製造販売承認の対象となった医薬品の有効成分を実質的に判断するのが相当であるとして、承認書の記載から形式的に判断した特許庁の審決に誤りがあると認定するとともに、延長登録の一部に無効理由があった場合、一部のみを無効にできる旨の判断を示しました。

先発医薬品の製造販売承認申請のための試験が「試験又は研究」の例外にあたるとした「ウイルス(T-VEC)」事件知財高裁判決

知的財産高等裁判所第2部は、本年(令和3年)2月9日、先発医薬品の製造販売承認申請のために必要な試験を行うことが、「試験又は研究」の例外(特許法69条1項)にあたり、特許権侵害にはならないとの判断を示しました。本判決は、後発医薬品に関する平成11年最判の趣旨が先発医薬品にも該当するとしました。

基礎出願に対する新規事項を含む発明についてのパリ優先権(部分優先)の効果に関するブルニアンリンク作成デバイス事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和2年(2020年)11月5日、パリ優先権を主張した国内出願にかかる発明において、基礎出願にない新規の構成が含まれていた場合であっても、直ちに優先権の効力が失われて特許が無効になるのではなく、当該構成について引用発明との関係における新規性や進歩性の有無の充足が個別に検討される必要がある旨判示するとともに、部分優先の具体的な適用手法を示す判決をしました。

特許法148条1項に基づく無効審判参加人の審決取消訴訟における被告適格に関する「止痒剤」事件知財高裁中間判決について

知的財産高等裁判所第2部(森義之裁判長)は、令和2年(2020年)12月2日、特許法148条1項に基づき延長登録無効審判に参加した参加人について、無効審決に対する審決取消訴訟における被告適格が認められるとの判断を示しました。判旨は、延長登録無効審判のほか、特許無効審判、再審の審決に対する取消訴訟にも適用されるものと考えられます。

特許異議申立てにおいて新規事項を理由に訂正請求を認めなかった取消決定を取り消した機械式駐車装置事件決定取消訴訟知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和2年(2020年)12月3日、新規事項を含むことを理由に特許異議申立てにおける訂正の請求を否定し、異議申立てにかかる各請求項について、新規性ないし進歩性欠如を理由に特許を取り消した特許庁の決定について、新規事項にかかる判断に誤りがあったものとして、同決定を取り消す判決をしました。

再生品の製造等を制限する仕様が独禁法に抵触し特許権行使が権利濫用に当たるとしたトナーカートリッジ事件東京地裁判決について

東京地方裁判所は、本年(令和2年)7月22日、プリンタメーカーがトナーカートリッジ再生品の製造等を仕様上制限したうえで、当該仕様に係る部品を取り替えたカートリッジを製造販売した業者に対して特許権侵害を主張した事案において、メーカーの行為が独禁法上の取引妨害であり、特許権行使が権利濫用であると判断しました。

知財高裁が特許登録前の発明の実施に係る職務発明対価請求権の消滅時効に関して判断した「FeliCa(フェリカ)事件」控訴審判決

本年(令和2年)6月30日、知的財産高等裁判所第3部は、非接触型ICカードのための通信技術であるFeliCaを開発したソニーの元従業員からの職務発明対価請求に係る様々な争点につき、判断を示しました。特許登録前の発明の実施に係る職務発明対価請求権の消滅時効に関する争点その他多くの点で原審と異なる判断をしています。

共同出願契約における特許権の「剥奪」の解釈として当事者間における持分権の喪失をもたらすとした「結ばない靴ひも」事件知財高裁判決

知的財産高等裁判所第1部(髙部眞規子裁判長)は、令和3年8月20日、特許権の共有者が当事者となる共同出願契約において、特定の契約違反があると違反当事者の特許権が「剥奪される」との定めがあった場合に、当該違反行為があったときは、違反当事者は、本件各特許権に係る自己の持分権を喪失するものと解するのが相当であるとの判断を示しました。

販売先の債務不存在確認を求める訴えについて確認の利益を否定した「樹脂フィルムの連続製造方法及び装置及び設備」事件最高裁判決について

最高裁判所第2小法廷は、令和2年9月7日、特許権者から通常実施権を受けて製品を製造販売している者が、特許権者に対し、その製品の販売先が特許権侵害に基づく損害賠償債務を負わないことの確認を求めた訴えについて、確認の利益がないとの判断を示しました。

自然法則の利用と発明該当性に関する「電子記録債権の決済方法、および債権管理サーバ」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和2年6月18日、拒絶査定不服審判における不成立審決に対する審決取消訴訟において、特許法29条1項柱書の「発明」の該当性に関し、たとえ「特許を受けようとする発明」に何らかの技術的手段が提示されているとしても、全体として考察した結果、その発明の本質が、単なる精神活動、純然たる学問上の法則、人為的な取決めなど自体に向けられている場合には、同規定にいう「発明」に該当するとはいえないとの判断を示しました。

判断遺脱による手続違背を理由に特許無効審判の審決を取り消した「マッサージ機」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、令和2年1月21日、特許無効審判の審決取消請求訴訟において、審決が明確性要件違反に関する判断を遺脱しているとして、手続違背を理由に審決を取り消す判決をしました。他方、補正要件違反、分割要件違反及びサポート要件違反については審決の判断遺脱があったとは認めませんでした。

特許法102条1項に基づく損害額の認定について判断した知財高裁大合議判決(美容器事件)について

20年2月28日、特許権の侵害訴訟において、特許法102条1項に基づく損害額の認定について判断した知財高裁大合議判決がありました。特許権侵害訴訟における損害論に関しては、2019年6月7日に特許法102項2項及び3項に関する知財高裁の大合議判決があったところですが、今回は102条1項の論点につき、知財高裁が大合議判決により初めて考え方を示した点に意義があります。

原審決の誤った認定とは異なる主引用発明に基づき進歩性を否定した「アクセスポートとその識別方法」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、令和元年12月4日、特許庁が2つの引用例を組み合わせて主引用発明を認定した手法には誤りがあったとしつつ、知財高裁が独自に認定した主引用発明に基づき、発明に進歩性は認められないとする判決をしました。

UFOの飛行原理の実施可能要件に関する「UFO飛行装置」事件審決取消訴訟知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和元年12月25日、発明の名称を「UFOの飛行原理に基づくUFO飛行装置」とする特許出願にかかる拒絶査定不服審判の不成立審決に対する審決取消訴訟において、明細書の記載内容が運動量保存の法則や作用反作用の法則に反し、また、実験結果が示されていないことを理由に、実施可能要件の充足を否定する判決をしました。

専用実施権者に実施義務を認めつつ義務違反は否定した「稚魚を原料とするちりめんの製造法及びその製品」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、本年(令和元年)9月18日、特許権者と専用実施権者との間に、専用実施権者が発明を実施する義務を負う旨の黙示の合意があったことを認定しつつ、当該実施義務の違反は認められないとする判決をしました。

進歩性判断における予測できない顕著な効果の位置付けに関するドキセピン誘導体含有局所的眼科用処方物事件最高裁判決について

最高裁判所第三小法廷(山崎敏充裁判長)は、医薬化合物の進歩性の判断に際して顕著な効果を考慮するときは、当業者が、進歩性判断の対象となる発明の構成がその効果を奏することを予測できたか、また、当業者の予測を超えた効果を奏するかを判断すべきであるとの考え方を示しました。判決は、条文上の根拠が不明確な顕著な効果の位置付けについて、いわゆる独立要件説に近い考え方を採用したものと考えられます。

特許法102条2項及び3項の適用における具体的規範を示した「二酸化炭素含有粘性組成物」事件知財高裁大合議判決について

2019年6月7日知財高裁最高裁判所特別部(大合議)は、特許権の侵害における損害額の推定規定である特許法102条2項及び3項の適用における具体的規範を示す判決を出しました。本判決は、102条2項及び同3項に関する実務上重要ないくつかの論点について一般的な規範及び判断過程を示した点において大きな意義があるといえます。

確定した有効審決の一事不再理効の客観的範囲と特許権侵害訴訟における無効主張の可否に関する「美容器」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和元年6月26日、確定した有効審決と同一の事実及び同一の証拠に基づく無効主張を侵害訴訟ですることは、訴訟上の信義に反し許されないとの判決をしました。また、その背景として、判決は、一事不再理を規定する特許法167条の趣旨は紛争の一回的解決にあるとし、特許無効を求める利益と特許権の安定のバランスにあるというかつての考え方とは異なる考え方を示しました。

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