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イノベンティア・リーガル・アップデート

年別アーカイブ: 2023年

Innoventier Legal Update
イノベンティア・リーガル・アップデートでは、有益な法律情報をいち早くピックアップし、分かりやすく解説します。
 

令和5年著作権法改正 ~新たな裁定制度の創設、損害賠償額の算定方法の改正等~

令和5年(2023年)5月17日、著作権法を改正する「著作権法の一部を改正する法律」が可決・成立し、同月26日に公布されました。本改正の主な内容は、①著作物の利用に関する新たな裁定制度の創設、②立法・行政における著作物の公衆送信等を可能とする措置、③損害賠償額の算定方法の見直しの3点です。

親出願の設定登録後の分割出願の可否に関する「ギフト資産管理システム」知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部(宮坂昌利裁判長)は、特許法44条1項2号に基づく分割出願が親出願の設定登録後にあったことを理由に当該分割出願を却下した特許庁の処分について、その取消を求めた出願人の主張に理由がないとする判決をしました。

椅子の形態の不正競争防止法上の商品等表示性を否定し、著作権侵害の成立も否定した東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第40部(中島基至裁判長)は、令和5年(2023年)9月28日、「TRIPP TRAPP」という商品名で知られる子供用の椅子の形態が不正競争防止法上の商品等表示に当たらないとし、著作権の侵害の主張も排斥する判断をしました。

除くクレームと新規事項の追加に関する熱伝達組成物事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(清水響裁判長)は、令和5年10月5日、特許無効審判において新規事項の追加を理由に認められなかった「除くクレーム」にかかる訂正について、新規事項の追加には当たらないとの判断をし、審決を取り消す判決をしました。

売買契約における特許権等の非侵害保証・補償条項につき売主の義務違反を否定した知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(本多知成裁判長)は、令和5年11月8日、商品売買契約の買主が購入商品につき第三者から特許権に抵触するとの警告を受けた事案において、売買契約上の特許権等の非侵害保証・補償条項の違反を理由として買主が売主に対して損害賠償を請求した訴訟にて、当該規定に基づく具体的な義務の内容を認定し売主に義務違反はないと判断しました。

科研費により取得した実験装置につき、不正競争防止法2条1項7号、3条1項2項に基づく使用差止等が否定された事例

大阪地方裁判所第4部(裁判長)は、令和5年7月3日、研究者である原告らが交付を受けた科研費により制作された装置に関し、研究機関である被告が、当該装置を第三者との共同研究の用に供しており、これにより、装置に関するノウハウが使用・開示されたとして、装置の使用差止め及び損害賠償等を求めた事案につき、被告が原告らに対して信義則上の秘密保持義務を負うとは言えず、また、不正競争防止法上の営業秘密の該当性について、特定された内容が抽象的にすぎ、具体的な技術思想や技術的意義を含む情報の具体的内容を読み解くことができないと判示しました。

靴上部と靴底の境界部分に黄色の破線を配する位置商標について、識別力の獲得を否定した知的高等裁判所判決について(Dr.Martens事件)

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、知的財産高等裁判所は、令和5年8月10日、靴の上部と靴底の境界部分に黄色のステッチ状の破線を配する位置商標について、商標法3条1項3号該当、同3条2項非該当とした審決の判断を支持し、原告の審決取消請求を棄却しました。

平成16年改正特許法下の職務発明の相当の対価請求権の消滅時効の中断事由に関する「徐放性経口固形製剤」大阪地裁判決について

大阪地方裁判所第21民事部(武宮英子裁判長)は、令和5年8月29日、平成16年改正特許法のもとでの職務発明の相当の対価請求訴訟において、消滅時効の中断の成否に関し、会社が発明者に支払っていた技術指導料や贈呈金が相当の対価には該当せず、債務承認があったとは認められないとの判断をしました。

へアドライヤーの広告表現が品質等誤認惹起行為とは認められないと判断した東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第47部(杉浦正樹裁判長)は、令和5年4月27日、ヘアドライヤーの「髪へのうるおい1.9倍」「水分発生量従来の18倍」等の広告表現について、原告が証拠として提出した実験結果には疑義がある等として、各広告表現は品質等誤認惹起行為とは認められないと判断しました。

令和5年商標法改正~他人の氏名を含む商標の登録要件緩和とコンセント制度の導入~

令和5年(2023年)6月7日、商標法の改正を含む「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が可決・成立し、同月14日に公布されました。本改正により、他人の氏名を含む商標登録の要件が緩和されると同時に、先行商標権者の承諾を得て後行商標を登録できる、いわゆる「コンセント制度」が日本にも導入されることになりました。

ステルスマーケティングの景品表示法「不当表示」への追加

令和5年(2023年)10月1日、ステルスマーケティングを景品表示法の「不当表示」として指定する消費者庁の告示が施行され、景品表示法違反と判断されることになりました。各企業は、当該規制の違反にならないようにマーケティング活動を行うことが求められます。

「マグネットスクリーン装置」の発明につき拡大先願要件違反を認めた知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和5年2月9日、発明の名称を「マグネットスクリーン装置」とする特許に係る特許権侵害訴訟において、拡大先願要件違反により特許は無効とされるべきものとの判決をしました。

政府機関を出願人とする当該政府機関の印章・記号の商標登録の可能性に関する「MALASIA HALAL」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部(菅野雅之裁判長)は、令和5年3月7日、商標の拒絶査定不服審判の不成立審決に対する取消訴訟において、政府機関の監督・証明用の印章・記号として経済産業大臣が指定したものと同一の構成の商標についての同一の商品にかかる登録出願について、当該政府機関が出願人となる場合であっても、商標法4条1項5号に該当するとの判断を示し、原告(出願人)の訴えを棄却しました。

動画配信システムにおけるサーバが日本国外に設置されていた場合において特許権侵害の成立を認めた知財高裁大合議事件判決について

知的財産高等裁判所は、令和5年(2023年)5月26日、「コメント配信システム」とする特許権の侵害の成否が問題となった事案において、原判決を変更し、被疑侵害者の動画配信システムにおけるサーバが日本国外に設置されていた場合において特許権侵害の成立を認める判決をしました。

会社による著作権侵害につき代表取締役に重過失があったとして個人責任を認めた東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第40部(中島基至裁判長)は、令和5年5月18日、各種製品の販売促進資料の制作などを行うデザイン事務所が、第三者の著作物である写真を用いて制作した販売促進資料を自社の実績としてウェブページで紹介するにあたり、著作権者の許諾なく、その写真もウェブページに掲載したことについて、デザイン事務所の運営主体である会社のほか、その代表取締役にも損害賠償を命じる判決をしました。

令和5年不正競争防止法改正②~営業秘密・限定提供データの保護強化等~

令和5年(2023年)6月7日、不正競争防止法の改正を含む「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が可決・成立し、同月14日に公布されました。本改正には、営業秘密・限定提供データの保護強化、外国公務員贈賄の罰則強化・拡充、国外における営業秘密侵害の日本の管轄・日本法適用の明確化等が含まれます。

職務発明の黙示の合意による取得を否定した射出成型装置事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和5年6月22日、職務発明について、会社の求めがあった場合に従業者との協議によって対価を支払うことにより特許を受ける権利を承継する旨の就業規則がある状況において、職務発明を会社が原始取得する旨の黙示の合意があったとは認められず、また、発明完成後に、特許を受ける権利の帰属を原始的に変更することはできないとの判決をしました。

令和5年不正競争防止法改正①~デジタル空間の商品形態保護~

令和5年(2023年)6月7日、不正競争防止法の改正を含む「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が可決・成立し、同月14日に公布されました。本改正により、メタバース等のデジタル空間における商品形態の模倣も、不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当し、保護されることになりました。

美術館の工事による設計者の同一性保持権の侵害が争われた、工事禁止の仮処分申立事件について

令和4年11月25日、東京地方裁判所は、版画美術館(建物)と庭園(敷地)の老朽化に伴う工事について、設計を行った者が工事実施計画者に対し、著作権法112条1項に基づき工事の差止めの仮処分を申し立てた事案において、申立てをいずれも却下しました。版画美術館は「建築の著作物」として保護されるものの、工事は、同一性保持権の適用除外規定である同法20条2項2号の「建築物の・・・改変」に該当すると判断されています。

商標法4条1項11号、15号該当性を否定し、審決取消請求を棄却した知的高等裁判所判決について(Julius Tart事件)

知的財産高等裁判所第4部(菅野雅之裁判長)は、令和5年4月25日、商標登録無効審判を不成立とした審決の取消請求において、被告商標(Julius Tart)について、原告主張の商標法4条1項11号、同15号該当性を否定し、原告請求を棄却しました。

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