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イノベンティア・リーガル・アップデート

飯島 歩 の投稿記事一覧

Innoventier Legal Update
イノベンティア・リーガル・アップデートでは、有益な法律情報をいち早くピックアップし、分かりやすく解説します。
 

拒絶査定不服審判請求時の補正を却下した拒絶審決を取り消した「経皮的分析物センサを適用するためのアプリケータ」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(清水響裁判長)は、令和6年(2024年)1月22日、拒絶査定不服審判の拒絶審決に対する取消訴訟において、特許庁が、新規事項の追加の禁止及び独立特許要件の違反があるとして拒絶査定不服審判の請求と同時にした補正を却下したのは不相当であるとして、審決を取り消す判決をしました。

意匠法4条2項の新規性喪失の例外と公開意匠の証明書記載の意匠と引用意匠の同一性に関する「バッグ」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(本多知成裁判長)は、令和5年(2023年)12月25日、意匠法4条2項の新規性喪失の例外の適用を受けるために提出される公開意匠の証明書に記載された意匠は、引用意匠と同一であることを要し、仮に相違するとしても、「物品の性質や機能に照らして実質的にみて同一であると十分理解できる範囲内」の相違であることを要するとの考え方を示しました。

親出願の設定登録後の分割出願の可否に関する「ギフト資産管理システム」知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部(宮坂昌利裁判長)は、特許法44条1項2号に基づく分割出願が親出願の設定登録後にあったことを理由に当該分割出願を却下した特許庁の処分について、その取消を求めた出願人の主張に理由がないとする判決をしました。

平成16年改正特許法下の職務発明の相当の対価請求権の消滅時効の中断事由に関する「徐放性経口固形製剤」大阪地方裁判所判決について

大阪地方裁判所第21民事部(武宮英子裁判長)は、令和5年8月29日、平成16年改正特許法のもとでの職務発明の相当の対価請求訴訟において、消滅時効の中断の成否に関し、会社が発明者に支払っていた技術指導料や贈呈金が相当の対価には該当せず、債務承認があったとは認められないとの判断をしました。

会社による著作権侵害につき代表取締役に重過失があったとして個人責任を認めた東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第40部(中島基至裁判長)は、令和5年5月18日、各種製品の販売促進資料の制作などを行うデザイン事務所が、第三者の著作物である写真を用いて制作した販売促進資料を自社の実績としてウェブページで紹介するにあたり、著作権者の許諾なく、その写真もウェブページに掲載したことについて、デザイン事務所の運営主体である会社のほか、その代表取締役にも損害賠償を命じる判決をしました。

職務発明の黙示の合意による取得を否定した射出成型装置事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和5年6月22日、職務発明について、会社の求めがあった場合に従業者との協議によって対価を支払うことにより特許を受ける権利を承継する旨の就業規則がある状況において、職務発明を会社が原始取得する旨の黙示の合意があったとは認められず、また、発明完成後に、特許を受ける権利の帰属を原始的に変更することはできないとの判決をしました。

許諾なく社内イントラネット上で大量に共有された新聞記事のうち内容の特定を欠くものの著作物性判断に関する東京新聞事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(大鷹一郎裁判長)は、令和5年6月8日、新聞記事をスキャンした多数の画像データを社内イントラネットで共有していたことから著作権侵害が認められた事案の控訴審判決において、報道を目的とする新聞記事が著作物と認められるためには作成者の何らかの個性が発揮されていれば足りるとする一方、その内容には様々なものがあり得ることから、新聞記事であることをもって直ちに著作物ということはできず、また、著作物であるとしても、新聞社の著作物とは限らないことから、内容を確認できない記事について著作物性を認めることはできないとの判決をしました。

特許権侵害訴訟の提起が紛争の蒸し返しに過ぎないとして信義則違反を理由に訴えを却下した「AQUOS Home」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和5年5月18日、すでに非侵害の確定判決がある製品と実質的に同一の製品について、同一の特許権に基づく損害賠償請求訴訟を提起した事案において、紛争の蒸し返すものであって訴訟上の信義則に反するとし、訴えを却下する判決をしました。

「除くクレーム」と訂正要件に関する「ポリエステル樹脂組成物の積層体」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部(菅野雅之裁判長)は、令和5年3月9日、特許異議申立ての決定取消訴訟の判決において、いわゆるオープンクレームに対し、引用発明における課題解決手段であって、対象特許の発明特定事項でも願書添付書類で開示されているものでもない事項を「除く」とした訂正について、特許請求の範囲の減縮に該当し、また、新規の技術事項を導入するものではないとする判断を示しました。

将来の給付を求める訴えの適法性及び商標・商品等表示にかかる役務の提供主体の認定に関する「2ちゃんねる」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、本年(令和5年)1月26日、インターネット上の電子掲示板「2ちゃんねる」の創設者が、その商標権を侵害され、また、その商品等表示について周知表示誤認惹起行為・著名表示冒用行為・ドメイン名の不正使用行為をされたとして、「2ちゃんねる」の運用をしていた会社を相手取って提起した訴訟において、被告(被控訴人)に損害賠償を命じる判決をしました。

プロダクト・バイ・プロセス(PBP)クレームについて明確性要件違反を認めた「電鋳管の製造方法及び電鋳管」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所(菅野雅之裁判長)は、令和4年11月16日、いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレーム(PBPクレーム)にかかる特許について、特許請求の範囲の記載が、「出願時において当該製造方法により製造される物がどのような構造又は特性を表しているのかが、特許請求の範囲、明細書、図面の記載や技術常識より一義的に明らかな場合」にあたらず、また、「出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情」も存在しないとして、特許無効審判における不成立審決を取り消す判決をしました。

研究委託契約の成果帰属協議条項違反に基づく損害賠償請求と特許権に関する訴えの専属管轄に関する活性型GcMAF事件大阪高裁判決について

大阪高等裁判所第8民事部(森崎英二裁判長)は、令和4年9月30日、研究委託契約違反の債務不履行を理由として神戸地方裁判所に提起された損害賠償請求訴訟につき、争点は特許を受ける権利に関係するものであって、契約違反の成否の判断には専門技術的事項の理解を要するものと認められることから、当該事件は民事訴訟法6条1項の「特許権に関する訴え」に該当するとして、管轄違いを理由に、神戸地方裁判所による原判決を取り消した上で、事件を大阪地方裁判所に移送する判決をしました。

社内イントラネットにおける新聞記事の共有につき公衆送信権等の侵害に基づく損害賠償を命じた東京新聞事件東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第46部(柴田義明裁判長)は、令和4年10月6日、新聞記事をスキャンした多数の画像データを社内イントラネットで共有していた事案につき、新聞社の著作権を侵害するものとして、被告となった会社に対し、損害賠償として、192万3000円と遅延損害金を原告に支払うよう命じる判決をしました。

商品の形態が特別顕著性及び周知性を欠くとして「商品等表示」該当性を否定した海釣り用棒うき事件大阪地裁判決について

大阪地方裁判所第21民事部(武宮英子裁判長)は、令和4年8月25日、海釣り用の棒うきの形態が不正競争防止法2条1項1号にいう商品等表示に該当するか、という争点に関し、商品の形態は、特別顕著性と周知性がない限り商品等表示には該当しない、との考え方を示すとともに、具体的な事案において、これらの要件のいずれも認められないとの判断を示しました。

貸画廊を交互に使用する当事者間における画廊名の商標権行使が権利濫用にあたるとした「GALLERY ART POINT」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(大鷹一郎裁判長)は、令和4年6月30日、共同で建物を賃借し貸画廊を営んでいた夫婦(後日離婚成立)が、その後の関係悪化により、交互に画廊を使用する旨の合意をしていた状況において、紛争が顕在化した後に画廊の商号を含む標章についてそれぞれ商標権を取得し、相互に権利を行使した事案において、いずれの権利行使も権利の濫用にあたるとする判決をしました。

海賊版サイトへの広告出稿にかかる著作権侵害の幇助行為について著作権法114条1項に基づく損害計算をした漫画村広告事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和4年6月29日、大手海賊版サイト「漫画村」に作品を掲載された漫画家が、漫画村の広告主を募り、広告掲載料を漫画村に提供していた会社らを相手取って損害賠償を求めた訴訟の判決において、漫画村による原告(被控訴人)の漫画作品の送信は公衆送信権の侵害を構成するとの前提のもと、被告ら(控訴人ら)が漫画村に広告を出稿し、広告料を支払った行為は、当該侵害行為に対する過失による幇助行為であるとし、著作権法114条1項に基づいて算出された損害額について賠償を命じました。

知財管理会社による権利行使と特許法102条2項の適用に関する「軟骨下関節表面支持体を備えた骨折固定システム」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和4年4月20日、グループ企業の知的財産権を管理する外国企業が原告となる特許権の行使について、原告が特許にかかる事業をしていなくとも、親会社の指示管理下で、グループ内の他の事業会社が生産した製品を日本国内の事業会社が販売し、原告が権利行使等を行っているなどの事実をもとに、特許法102条2項を適用し、逸失利益の賠償を命じる判決をしました。

サブコンビネーション発明の要旨認定に関する情報処理装置事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(東海林保裁判長)は、令和4年2月10日、拒絶査定不服審判の審決取消訴訟において、装置におけるサブコンビネーション発明につき、他のサブコンビネーションとなる装置に関する事項が当該他の装置のみを特定する事項であって、請求項にかかる発明の構造、機能等を特定してない場合は、他の装置に関する事項は、当該請求項にかかる発明を特定するために意味を有しないことになるから、これを除外して当該請求項に係る発明の要旨を認定することが相当であるとの考え方を示し、発明特定事項を限定的に捉えた原審決を維持する判決をしました。

ツイートを引用して批評した書籍における適法引用の成否に関する「#KuToo」事件東京地裁・知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(大鷹一郎裁判長)は、令和4年3月29日、「#KuToo」活動に対する批判的なツイートを引用し、批評した書籍について、引用は適法であって著作権侵害は成立しないとの判断を示しました。原判決である東京地裁令和3年5月26日(佐藤達文裁判長)と合わせて紹介します。

懲戒請求に対する反論記事における懲戒請求書へのリンクと著作権・著作者人格権の権利濫用に関する弁護士懲戒請求書事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第部(東海林保裁判長)は、令和3年12月22日、懲戒請求を受け、新聞記事にも懲戒請求にかかる記事が掲載された弁護士が、ブログで反論するに際し、別途アップロードした懲戒請求書全文のPDFファイルへのリンクを張った行為につき、懲戒請求人が懲戒請求書にかかる著作権や著作者人格権を主張するのは権利の濫用にあたり、許されないとする判決をしました。

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