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イノベンティア・リーガル・アップデート

年別アーカイブ: 2019年

Innoventier Legal Update
イノベンティア・リーガル・アップデートでは、有益な法律情報をいち早くピックアップし、分かりやすく解説します。
 

現実に適用されている再放送使用料の1.5倍の額を有線放送権侵害に基づく損害額に認定した知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和元年10月23日、ケーブルテレビ事業者がテレビ放送事業者から著作権等の管理の委託を受けた著作権等管理事業者の著作権・著作隣接権を侵害した事案において、運用されていない使用料規程に基づく損害計算を否定し、現実に当該著作権等管理事業者とケーブルテレビ事業者の間の使用料を規律している合意に基づき、その1.5倍の額を損害と認定する判決をしました。

非純正品を販売するウェブサイトの記載について商品等表示性を肯定したタカギ事件控訴審判決

知的財産高等裁判所第2部(森義之裁判長)は、本年(令和元年)10月10日、非純正品を販売するウェブサイトに用いられている「タカギ社製 浄水蛇口の交換用カートリッジを お探しのお客様へ」の記載における「タカギ社製」の表示について、東京地裁の判決を変更し、不正競争防止法2条1項1号の商品等表示に該当すると判示しました。

非純正品である旨の打消し表示と商標権侵害の成立に関する「薬剤分包用ロールペーパ」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(森義之裁判長)は、本年(令和元年)10月10日、他人の登録商標が付される一方、非純正品である旨を商品に表示したいわゆる打消し表示がなされていた商品を巡る商標権侵害の成否に関し、具体的な事実関係のもとでは、商標権侵害が問題となっている商品の購入者のすべてが非純正品であることを正確に認識していたとは認められないとして、商標権侵害を認めました。

専用実施権者に実施義務を認めつつ義務違反は否定した「稚魚を原料とするちりめんの製造法及びその製品」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、本年(令和元年)9月18日、特許権者と専用実施権者との間に、専用実施権者が発明を実施する義務を負う旨の黙示の合意があったことを認定しつつ、当該実施義務の違反は認められないとする判決をしました。

ウェブサイトのリニューアルの委託契約と著作権合意の解釈等に関する「ライズ株式スクール」事件大阪地裁判決について

大阪地方裁判所第21民事部(谷有恒裁判長)は、ウェブサイト制作委託契約の注文書において、ウェブサイト制作者に著作権が帰属する旨の記載があったにもかかわらず、証人尋問の結果に加え、契約の背景や内容などの実態を考慮して、当該記載にかかる合意の成立を否定する判断を示しました。

商標「KENKIKUCHI」は「他人の氏名」(商標法4条1項8号)を含む商標に該当すると判断した知的財産高等裁判所判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和元年7月8日、商標法4条1項8号の「他人の氏名」にはローマ字表記された氏名も含まれると判断したうえで、商標「KENKIKUCHI」に関して、「他人の氏名」を含む商標に該当すると判断しました。

進歩性判断における予測できない顕著な効果の位置付けに関するドキセピン誘導体含有局所的眼科用処方物事件最高裁判決について

最高裁判所第三小法廷(山崎敏充裁判長)は、医薬化合物の進歩性の判断に際して顕著な効果を考慮するときは、当業者が、進歩性判断の対象となる発明の構成がその効果を奏することを予測できたか、また、当業者の予測を超えた効果を奏するかを判断すべきであるとの考え方を示しました。判決は、条文上の根拠が不明確な顕著な効果の位置付けについて、いわゆる独立要件説に近い考え方を採用したものと考えられます。

商標審決アップデート(Vol.17)称呼同一商標の類否に関する審決等

商標の審査・審判における判断の傾向は時代により変化しますので、その傾向を把握するためには審決や異議の決定を継続的にチェックする必要があります。商標審決アップデートでは、定期的に注目すべき商標審決をピックアップし、情報提供していきます。今回は、称呼同一商標の類否に関する審決と、一音相違商標の類否に関する審決を取り上げております。

特許法102条2項及び3項の適用における具体的規範を示した「二酸化炭素含有粘性組成物」事件知財高裁大合議判決について

2019年6月7日知財高裁最高裁判所特別部(大合議)は、特許権の侵害における損害額の推定規定である特許法102条2項及び3項の適用における具体的規範を示す判決を出しました。本判決は、102条2項及び同3項に関する実務上重要ないくつかの論点について一般的な規範及び判断過程を示した点において大きな意義があるといえます。

口コミランキングサイトを利用したステルスマーケティングが品質等誤認表示に該当すると判断した大阪地裁判決について

大阪地方裁判所は、平成31年4月11日、口コミランキングサイト中のランキング表示を操作することによりステルスマーケティングが行われた事例において、操作されたランキング表示につき不正競争防止法2条1項20号の品質等誤認行為に該当するとの判決を下しました。本判決は、なりすまし型のステルスマーケティングの品質等誤認表示に関する裁判例として、実務上参考になるものと思われます。

「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン【第6版】」の公表

総務省は、令和元年8月9日、「放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドライン【第6版】」を公表しました。本ガイドラインは、テレビジョン放送を行なう放送事業者と製作会社との間で行われる番組製作委託取引に関して、主に下請法及び独占禁止法との関係で注意すべき点をまとめたものです。

確定した有効審決の一事不再理効の客観的範囲と特許権侵害訴訟における無効主張の可否に関する「美容器」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和元年6月26日、確定した有効審決と同一の事実及び同一の証拠に基づく無効主張を侵害訴訟ですることは、訴訟上の信義に反し許されないとの判決をしました。また、その背景として、判決は、一事不再理を規定する特許法167条の趣旨は紛争の一回的解決にあるとし、特許無効を求める利益と特許権の安定のバランスにあるというかつての考え方とは異なる考え方を示しました。

商標審決アップデート(Vol.16)歴史上の人物名、識別力の有無に関する審決等

商標の審査・審判における判断の傾向は時代により変化しますので、その傾向を把握するためには審決や異議の決定を継続的にチェックする必要があります。商標審決アップデートでは、定期的に注目すべき商標審決をピックアップし、情報提供していきます。今回は、歴史上の人物名に関する審決と、識別力の有無に関する審決を取り上げております。

有効審決が確定した特許無効審判の請求人と同視し得る者による特許無効の抗弁の許否に関する「薬剤分包用ロールペーパ」事件知財高裁判決

令和元年6月27日、知的財産高等裁判所第4部は、特許無効審判の請求不成立審決(有効審決)が確定したときは、特許無効審判の請求人と同視し得る立場にあれば、請求人ではない訴訟の当事者であっても、当該審決で排斥された無効理由による特許無効の抗弁の主張は許されないとする判決を言い渡しました。

特許料(年金)追納期間における不納付の「正当な理由」に関する「ダクトのライニング」事件東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第46部(柴田義明裁判長)は、令和元年(2019年)6月18日、特許料の追納期間経過後の追納が認められるための「正当な理由」(特許法112条の2第1項)の意味について、法改正の経緯などを考慮し、要旨、一般に求められる相当な注意を尽くしても避けることができないと認められる客観的な事情により、追納期間内に特許料及び割増特許料を納付することができなかった場合をいう旨の見解を示しました。

映画の著作物の著作権者の認定及び著作者人格権の侵害の成否に関する婚礼ビデオ事件大阪地裁判決について

大阪地方裁判所第26民事部(髙松宏之裁判長)は、平成31年3月26日、結婚式や結婚披露宴の様子を録画した婚礼ビデオについて、著作権者の認定や、著作者人格権の侵害の成否が争われた事案の判決をしました。

公正取引委員会「製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査報告書」について

令和元年(2019年)6月14日、公正取引委員会は、「製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査報告書」を公表しました。製造業者から寄せられた多数の具体的事例が掲載されており、知的財産に関するいかなる行為が優越的地位の濫用等に該当するかを検討するための重要な資料です。

商標的使用を否定したミニオンキャラクターグッズ「BELLO」事件大阪地裁判決について

大阪地方裁判所第26民事部(髙松宏之裁判長)は、平成30年11月5日、「BELLO!」(ミニオン語で「HELLO!」の意味)との語を付したUSJのキャラクターであるミニオンのキャラクターグッズについて、個別具体的な取引の事情等を考慮した上で、被告各標章につき「需要者が何人かの業務に係る商品…であることを認識できる態様により使用されていない商標」(商標法26条1項6号)に該当するとの判決を下しました。

令和元年(2019年)意匠法改正~保護対象の拡充/関連意匠制度の見直し/存続期間の変更/出願手続の簡素化/間接侵害規定の拡充~

令和元年(2019年)5月10日、改正特許法が成立し、同月17日、公布されました。今回、意匠法が大幅に改正されることになり、物品に記録・表示されていない画像や、建築物の外観・内装のデザインが新たに意匠法の保護対象とされるほか、関連意匠の出願可能期間の延長、存続期間の変更、複数の意匠の一括出願を認める等の出願手続の簡素化、侵害品を構成部品に分割して製造・輸入等する行為を取り締まるための間接侵害規定の拡充がなされます。

令和元年(2019年)特許法改正~査証制度の新設/損害賠償算定方法の見直し~

令和元年(2019年)5月10日、改正特許法が成立し、同月17日、公布されました。今回の改正では、第三者の専門家が工場等に立ち入って調査を行う新たな証拠収集制度(査証制度)が新設されるとともに、損害賠償の算定方法について見直しがなされました。

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