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イノベンティア・リーガル・アップデート

裁判例情報(著作権)

Innoventier Legal Update
イノベンティア・リーガル・アップデートでは、有益な法律情報をいち早くピックアップし、分かりやすく解説します。
 

会社による著作権侵害につき代表取締役に重過失があったとして個人責任を認めた東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第40部(中島基至裁判長)は、令和5年5月18日、各種製品の販売促進資料の制作などを行うデザイン事務所が、第三者の著作物である写真を用いて制作した販売促進資料を自社の実績としてウェブページで紹介するにあたり、著作権者の許諾なく、その写真もウェブページに掲載したことについて、デザイン事務所の運営主体である会社のほか、その代表取締役にも損害賠償を命じる判決をしました。

美術館の工事による設計者の同一性保持権の侵害が争われた、工事禁止の仮処分申立事件について

令和4年11月25日、東京地方裁判所は、版画美術館(建物)と庭園(敷地)の老朽化に伴う工事について、設計を行った者が工事実施計画者に対し、著作権法112条1項に基づき工事の差止めの仮処分を申し立てた事案において、申立てをいずれも却下しました。版画美術館は「建築の著作物」として保護されるものの、工事は、同一性保持権の適用除外規定である同法20条2項2号の「建築物の・・・改変」に該当すると判断されています。

許諾なく社内イントラネット上で大量に共有された新聞記事のうち内容の特定を欠くものの著作物性判断に関する東京新聞事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(大鷹一郎裁判長)は、令和5年6月8日、新聞記事をスキャンした多数の画像データを社内イントラネットで共有していたことから著作権侵害が認められた事案の控訴審判決において、報道を目的とする新聞記事が著作物と認められるためには作成者の何らかの個性が発揮されていれば足りるとする一方、その内容には様々なものがあり得ることから、新聞記事であることをもって直ちに著作物ということはできず、また、著作物であるとしても、新聞社の著作物とは限らないことから、内容を確認できない記事について著作物性を認めることはできないとの判決をしました。

他のツイートのスクリーンショットを添付したツイートにつき引用の成立可能性を認め著作権侵害の明白性を否定した知財高裁判決について

知的財産高等裁判所は、令和5年4月13日、ツイッター上の他のツイートのスクリーンショット画像を添付して投稿したツイートについて、著作権法上の引用の要件である公正な慣行に合致し得るものであり、スクリーンショットの形で添付された投稿の著作権を侵害することが明白とは認められない旨の判決を言い渡しました。

添付した画像がトリミングされて表示されたツイートにつき引用の成立を認め同一性保持権侵害を否定した知財高裁判決について

知的財産高等裁判所は、令和4年10月19日、他者が著作権を有する画像を添付した投稿したツイートについて、著作権法上の引用が成立して適法である旨の判断をするとともに、添付された画像がトリミング等された状態で表示された点につき、やむを得ないと認められる改変であるとして同一性保持権の侵害を否定しました。

他のツイートのスクリーンショット画像を添付したツイートにつき引用の成立を認め著作権侵害を否定した知財高裁判決について

知的財産高等裁判所は、令和4年11月2日、ツイッター上の他のツイートのスクリーンショットを添付して行ったツイートについて、著作権法上の引用が成立する旨の判断をし、スクリーンショットの形で添付されたツイートのプロフィール画像の著作権を侵害することが明白とはいえないとの判決を言い渡しました。

社内イントラネットにおける新聞記事の共有につき公衆送信権等の侵害に基づく損害賠償を命じた東京新聞事件東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第46部(柴田義明裁判長)は、令和4年10月6日、新聞記事をスキャンした多数の画像データを社内イントラネットで共有していた事案につき、新聞社の著作権を侵害するものとして、被告となった会社に対し、損害賠償として、192万3000円と遅延損害金を原告に支払うよう命じる判決をしました。

ウェブサイト制作の委託先による違法画像アップロードに関する委託元の侵害主体性を認めた「浴衣の写真」事件東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第29部は、令和4年7月13日、ウェブサイト制作の委託先が原告の写真を基に作成した画像を無断でウェブサイトに掲載したという事案において、被告自らによるアップロードと同視できること、当該写真にはクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの表示等があり、被告には過失が認められることを示しました。

住宅地図を著作物と認めて著作権侵害を肯定した東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第29部(國分隆文裁判長)は、令和4年5月27日、原告が作成販売する住宅地図を広告物のポスティング等を行う会社である被告が複製等して利用した事案において、住宅地図を著作物と認め、著作権侵害が成立するとの判決を言い渡しました。

海賊版サイトへの広告出稿にかかる著作権侵害の幇助行為について著作権法114条1項に基づく損害計算をした漫画村広告事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和4年6月29日、大手海賊版サイト「漫画村」に作品を掲載された漫画家が、漫画村の広告主を募り、広告掲載料を漫画村に提供していた会社らを相手取って損害賠償を求めた訴訟の判決において、漫画村による原告(被控訴人)の漫画作品の送信は公衆送信権の侵害を構成するとの前提のもと、被告ら(控訴人ら)が漫画村に広告を出稿し、広告料を支払った行為は、当該侵害行為に対する過失による幇助行為であるとし、著作権法114条1項に基づいて算出された損害額について賠償を命じました。

フェイスブック上に貼られたインラインリンクが著作権侵害に該当しないとした東京地裁判決について

東京地方裁判所(令和4年4月22日判決平成31年(ワ)8969号)は、フェイスブック上の、ゲームに関する公式ページにおけるインラインリンクの設定行為について、原告画像を有形的に再製するものとも、公衆送信するものともいえないとして、著作権侵害に該当しないと判断しました。

ツイートを引用して批評した書籍における適法引用の成否に関する「#KuToo」事件東京地裁・知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(大鷹一郎裁判長)は、令和4年3月29日、「#KuToo」活動に対する批判的なツイートを引用し、批評した書籍について、引用は適法であって著作権侵害は成立しないとの判断を示しました。原判決である東京地裁令和3年5月26日(佐藤達文裁判長)と合わせて紹介します。

懲戒請求に対する反論記事における懲戒請求書へのリンクと著作権・著作者人格権の権利濫用に関する弁護士懲戒請求書事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第部(東海林保裁判長)は、令和3年12月22日、懲戒請求を受け、新聞記事にも懲戒請求にかかる記事が掲載された弁護士が、ブログで反論するに際し、別途アップロードした懲戒請求書全文のPDFファイルへのリンクを張った行為につき、懲戒請求人が懲戒請求書にかかる著作権や著作者人格権を主張するのは権利の濫用にあたり、許されないとする判決をしました。

被写体の配置や構成の創作性を検討して商品写真の類似性を否定した「スティック春巻」事件東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第29部(國分隆文裁判長)は、本年(令和4年)3月30日、被告が商品に付した「スティック春巻」の写真が原告写真に係る著作権を侵害するか否かが問題となった事案において、両写真の共通部分はいずれもありふれたものであるとして類似性を否定し、原告の差止め・損害賠償請求を棄却しました。

他のツイートのスクリーンショット画像を添付したツイートにつき著作権侵害を認め引用の成立を否定した東京地裁判決について

東京地方裁判所は、令和3年12月10日、ツイッター上の他のツイートのスクリーンショットを添付して行ったツイッター上のツイートについて、スクリーンショットの形で添付された投稿の著作権を侵害するものであり、公正な慣行に合致せず正当な目的の範囲内でもないため、著作権法上の引用にも該当しない旨の判決を言い渡しました。

動画テロップの著作権侵害による発信者情報開示を認めた「YouTube動画字幕」事件大阪地裁判決

大阪地方裁判所第26民事部(杉浦正樹裁判長)は、令和3年9月6日、YouTubeの動画テロップ(字幕)の無断転載行為が著作権侵害に該当するとして、プロバイダに対する発信者情報開示請求を認容しました。

漫画村に広告を出稿する行為が著作権侵害の幇助に該当するとした「漫画村広告」事件東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第47部(田中孝一裁判長)は、令和3年12月21日、漫画村に作品を掲載された漫画家が、漫画村に掲載する広告を募集し、出稿していた会社らに損害賠償を求めた訴訟において、被告らが漫画村に広告を出稿し、広告料を支払った行為は、原告の漫画の公衆送信権の侵害行為を幇助しまたは容易ならしめる行為であるとして、被告らに対し、その損害賠償として、連帯して1100万円を支払うよう命じる判決をしました。

応用美術の著作物性に関する「タコの滑り台」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(大鷹一郎裁判長)は、令和3年12月8日、応用美術の著作物性について、美術工芸品以外のものであっても、実用目的を達成するために必要な機能に係る構成と分離して美的鑑賞の対象となり得る美的特性である創作的表現を備えている部分を把握できるものについては、当該部分を含む作品全体が美術の著作物として保護され得るとの判断を示しました。

著作権等管理事業法16条の「正当な理由」の解釈に関する「Live Bar X.Y.Z.→A」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部(菅野雅之裁判長)は、本年(令和3年)10月28日、演奏家は、演奏家の自己表現ないし自己実現にかかわる人格的利益として、JASRACの管理楽曲を演奏することができる利益を有しており、JASRACが演奏家の希望する楽曲の利用の許諾を拒否する行為は、著作権等管理事業法16条が規定する「正当な理由」がない限り、不法行為を構成するというべきであるとの前提のもと、「正当な理由」の有無は、個々の委託者の利害や実情にとどまらず、著作権等に関する適正な管理と管理団体業務への信頼の維持の必要性等についても勘案した上で、利用者からの演奏利用許諾の申込みを許諾することが通常の委託者の合理的意思に反するか否かの観点から判断されるべきであるとの解釈を示しました。結論としては、本件において、JASRACが利用許諾を拒んだことについて正当な理由があったと認め、JASRACの責任を否定しています。

陳述前の訴状を被告がブログ等で公表する行為が原告代理人弁護士の公表権及び公衆送信権の侵害を構成するとした東京地裁判決について

東京地方裁判所第40部(佐藤達文裁判長)は、令和3年7月15日、訴訟の被告が、第一回口頭弁論期日における原告による陳述の前に訴状をブログ等を通じて公表するのは、訴状を作成した弁護士の著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(公表権)を侵害するものであるとして、被告に対し、著作者人格権侵害に基づく慰謝料2万円の支払いを命じる判決をしました。

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