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イノベンティア・リーガル・アップデート

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Innoventier Legal Update
イノベンティア・リーガル・アップデートでは、有益な法律情報をいち早くピックアップし、分かりやすく解説します。
 

営業秘密管理指針の改訂について

2025年3月、経済産業省が公表している営業秘密管理指針が改訂されました。今回の改訂では、営業秘密を取り巻く環境の変化や、不正競争防止法の見直し、裁判例の動向等を踏まえた加筆や修正が行われており、実務上も把握をしておく必要があると思われるため紹介いたします。

部品の製造販売事業者である原告が完成品の製造販売事業者である被告に対して部品の発明に係る特許権を行使した事案において、特許法102条2項による損害額の算定を認めた知財高裁判決について

知的財産高等裁判所(宮坂昌利裁判長)は、令和6年(2024年)4月24日、「レーザー加工装置」「レーザ加工方法及びレーザ加工装置」との名称の特許に係る特許権侵害を理由とする事案の損害賠償の算定につき、原告が特許発明の完成品ではなく部品を製造販売していた場合において、102条2項を適用し、被告製品中の特許発明の実施品の価格に相当する割合に基づき損害額を認定しました。

ネットワーク関連発明の構成要素となるサーバの一部が海外にあっても国内での実施行為の存在を肯定したドワンゴ事件最高裁判決について

最高裁判所第二小法廷(草野耕一裁判長)は、令和7年(2025年)3月3日、ネットワーク関連発明を構成するサーバが海外にあるために、我が国における実施行為といえるかが争われた事案において、日本国内の端末で効果を生じ、サーバが日本国外にあることに特段の意味がないこと、及び、特許権者に経済的な影響を及ぼさないというべき事情がないことを根拠に、実質的に我が国の領域内で実施行為が行われていると評価するのが相当であるとの判断を示しました。

AIの利用・開発に関する契約チェックリストの公表について

経済産業省は、令和7年(2025年)2月、「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を公表しました。本チェックリストは、AI利活用に関するユーザ・ベンダ間の契約における条項のチェックリストを提示し、留意点の説明を付しています。

新聞に掲載された写真を撮影した画像をツイッターに投稿した行為につき引用の成立を認め著作権侵害を否定した東京地裁判決について

東京地方裁判所は、令和6年9月26日、新聞紙面に掲載された写真をスマートフォンで撮影し、その画像を被告が自らの投稿文章と併せてツイッターに投稿した行為につき、原告が保有する新聞掲載写真の著作権の侵害が争点となった訴訟において、著作権法上の引用に該当し適法である旨の判断をしました。

競業避止義務及び秘密保持義務に違反した代理店及びその役員に対して限界利益相当額の損害賠償を命じた「レキシル」事件東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第47部(杉浦正樹裁判長)は、令和6年(2024年)10月10日、代理店契約に違反して競業行為を行った代理店に対し、競業避止義務違反及び秘密保持義務違反があったとし、代理商の競業避止義務違反に関する会社法17条2項を適用して、被告会社が得た限界利益に相当する額の賠償を命じる判決をしました。判決は、被告会社の代表取締役についても、会社法429条1項に基づき同額の損害賠償を命じ、両者の支払義務の関係を連帯債務としています。

営業秘密を理由とする訴訟記録閲覧制限の申立てを却下したテレビ宮崎事件最高裁決定について

最高裁判所第一小法廷(深山卓也裁判長)は、令和6年(2024年)7月8日、訴訟記録の記載が不正競争防止法上の営業秘密に該当することを理由とする閲覧制限の申立てを却下する決定をしました。同決定には、深山卓也裁判官による補足意見が付されているところ、同補足意見は、改めて不正競争防止法にいう「営業秘密」の意義を確認し、閲覧制限が認められるためにはその該当性について疎明が求められることを示すとともに、「近年、民事訴訟法92条1項2号による訴訟記録の閲覧等の制限の申立てにおいて、申立てに係る部分が営業秘密に該当することの疎明が十分にされていない事案が少なからず見受けられることに鑑み、本件申立てが却下を免れない所以を補足した次第である。」と述べています。

特許権に係る事業を行わない持株会社による権利行使に特許法102条2項の適用を認めた知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(本多知成裁判長)は、令和6年7月4日、特許権侵害における損害額の算定に関し、権利行使をした特許権者が事業を行わない純粋持株会社であって特許発明はグループ内の他の会社が実施していた事案において、特許法102条2項の適用を認める判断をしました。

引用発明に内在する自明の課題を認めるとともに、比較例の解釈に基づいて発明の効果を否定した「ワクチンアジュバントの製造の間の親水性濾過」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(清水響裁判長)は、主引用発明に記載されていない自明の課題を認定して、本件発明の構成は容易想到であるとし、さらに本件効果が顕著なものであったと評価できず、本件発明の効果は予測可能であるとして、本件発明の進歩性を否定し、無効審判不成立とする審決を取り消しました。

椅子の形態の不正競争防止法上の商品等表示性を認めたTRIPP TRAPP事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所(清水響裁判長)は、令和6年(2024年)9月25日、「TRIPP TRAPP」という商品名で知られる子供用の椅子の形態が不正競争防止法上の商品等表示に当たると判断しました。

婦人服につき不正競争防止法上の商品形態模倣の成立を否定した大阪地裁判決について

大阪地方裁判所第21部(武宮英子裁判長)は、令和5年10月31日、原告が製作・販売していた商品(婦人服)について、被告がこれを模倣した商品を販売したと主張した事案において、被告商品は不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に当たらないと判示しました。

商標権侵害の主張の一部が出願経過禁反言により許されないとされた事例

大阪地方裁判所第21民事部(武宮英子裁判長)は、令和5年(2024年)12月14日、被告による商標権侵害が争われた事案につき、原告が出願過程で指定商品・役務の一部を除外して商標の登録を受けた経緯を踏まえ、商標権侵害の主張の一部が禁反言の原則により許されないとの判断を示しました。

「知的財産取引に関するガイドライン」の改正 ~知財訴訟等のリスクの転嫁について~

中小企業庁は、令和6年10月、「知的財産取引に関するガイドライン」を改正しました。今回の改正は、同ガイドラインにおける「第三者との間に生じる知財訴訟等のリスクの転嫁」の項目を加筆するものであり、契約における知的財産権の非侵害保証・補償にも関連します。

女性向けドレスにつき不正競争防止法上の商品形態模倣の成立を認めた東京地裁判決について

東京地方裁判所第46部(柴田義明裁判長)は、令和5年10月28日、原告が製作・販売していた女性用ドレスについて、被告がそのドレスを模倣したドレスを製作させて輸入し、自らのインターネット通信販売サイト等で販売したことが不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に当たると判示しました。

AIを発明者とする特許出願却下処分取消請求を棄却した東京地裁令和5年(行ウ)第5001号について

東京地方裁判所民事第40部(中島基至裁判長)は、令和6年/2024年5月16日、発明者を「ダバス、本発明を自律的に発明した人工知能」(本件出願にかかる発明を発明したとするAI(人工知能)の名称)と記載した特許出願(特願2020-543051号)についてなされた出願却下処分に対する取消請求について、請求棄却の判断をしました。

情報流通プラットフォーム対処法について-令和6年改正プロバイダ責任制限法(法律名変更、内容一部改正)

本年(令和6年)5月17日、通称「プロバイダ責任制限法」の改正法が公布されました。来年の春頃までに施行される予定です。 今回の改正では、インターネット上の誹謗中傷等による被害回復が実効的になされるよう、大規模プラットフォーム事業者に対し、投稿の削除対応の迅速化、その運用状況の透明化に関し、具体的措置を求めるとともに、法律の名称を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」(通称「情報流通プラットフォーム対処法」)に変更しています。

「AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」の公表について

令和6(2024)年5月、政府の「AI時代の知的財産権検討会」は「中間とりまとめ」を公表しました。現時点の実務において、生成AIと知的財産の関係についてガイドラインとしての役割を果たす資料となります。本稿では、「中間とりまとめ」において整理がされた法的な論点のうち、知的財産権を中心にご紹介します。

「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」について

「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」 が令和6年6月27日に公表されました。この中間整理は、個人情報保護法の次期改正のたたき台になるものと思われます。本稿では、当該中間整理の内容を確認していきたいと思います。

「Nepal Tiger」の標準文字商標は商標法3条1項3号にも同法4条1項16号にも該当しないとした「Nepal Tiger」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(東海林保裁判長)は、令和6年(2024年)4月11日、「Nepal Tiger」の文字を標準文字で表してなり、指定商品を第27類「じゅうたん、敷物、マット、ラグ、ヨガ用マット、織物製壁紙、壁掛け(織物製のものを除く。)」とする商標についての商標登録出願にかかる拒絶査定不服審判の審決取消訴訟において、原審決を取り消す判決をしました。同商標出願は、商標法3条1項3号及び同法4条1項16号を理由として拒絶査定を受けていたところ、本判決は、「Nepal Tiger」の語は一体の造語であって、取引者・需要者が指定商品に係る商品の産地、販売地又は品質を表示したものと認識するとはいえず、また、ネパール産のトラ柄のラグ等以外の指定商品に使用されても、商品の品質の誤認を生ずるおそれはないと判断しています。

クレームの数値範囲を備えた実施例がない発明について技術常識に基づきサポート要件の充足を認めた「鋼管杭式桟橋」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(本多知成裁判長)は、令和6年/2024年1月23日、サポート要件違反を理由とする特許庁の無効審決を取り消す判決をしました。特許請求の範囲に記載された数値範囲を備えた実施例が明細書に記載されていない発明について、特許庁はサポート要件に違反するとの判断をしましたが、本判決は、明細書の記載と技術常識に基づいてサポートが認められるとし、無効審決を取り消しました。

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