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イノベンティア・リーガル・アップデート

年別アーカイブ: 2024年

Innoventier Legal Update
イノベンティア・リーガル・アップデートでは、有益な法律情報をいち早くピックアップし、分かりやすく解説します。
 

引用発明に内在する自明の課題を認めるとともに、比較例の解釈に基づいて発明の効果を否定した「ワクチンアジュバントの製造の間の親水性濾過」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(清水響裁判長)は、主引用発明に記載されていない自明の課題を認定して、本件発明の構成は容易想到であるとし、さらに本件効果が顕著なものであったと評価できず、本件発明の効果は予測可能であるとして、本件発明の進歩性を否定し、無効審判不成立とする審決を取り消しました。

椅子の形態の不正競争防止法上の商品等表示性を認めたTRIPP TRAPP事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所(清水響裁判長)は、令和6年(2024年)9月25日、「TRIPP TRAPP」という商品名で知られる子供用の椅子の形態が不正競争防止法上の商品等表示に当たると判断しました。

婦人服につき不正競争防止法上の商品形態模倣の成立を否定した大阪地裁判決について

大阪地方裁判所第21部(武宮英子裁判長)は、令和5年10月31日、原告が製作・販売していた商品(婦人服)について、被告がこれを模倣した商品を販売したと主張した事案において、被告商品は不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に当たらないと判示しました。

商標権侵害の主張の一部が出願経過禁反言により許されないとされた事例

大阪地方裁判所第21民事部(武宮英子裁判長)は、令和5年(2024年)12月14日、被告による商標権侵害が争われた事案につき、原告が出願過程で指定商品・役務の一部を除外して商標の登録を受けた経緯を踏まえ、商標権侵害の主張の一部が禁反言の原則により許されないとの判断を示しました。

「知的財産取引に関するガイドライン」の改正 ~知財訴訟等のリスクの転嫁について~

中小企業庁は、令和6年10月、「知的財産取引に関するガイドライン」を改正しました。今回の改正は、同ガイドラインにおける「第三者との間に生じる知財訴訟等のリスクの転嫁」の項目を加筆するものであり、契約における知的財産権の非侵害保証・補償にも関連します。

女性向けドレスにつき不正競争防止法上の商品形態模倣の成立を認めた東京地裁判決について

東京地方裁判所第46部(柴田義明裁判長)は、令和5年10月28日、原告が製作・販売していた女性用ドレスについて、被告がそのドレスを模倣したドレスを製作させて輸入し、自らのインターネット通信販売サイト等で販売したことが不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に当たると判示しました。

AIを発明者とする特許出願却下処分取消請求を棄却した東京地裁令和5年(行ウ)第5001号について

東京地方裁判所民事第40部(中島基至裁判長)は、令和6年/2024年5月16日、発明者を「ダバス、本発明を自律的に発明した人工知能」(本件出願にかかる発明を発明したとするAI(人工知能)の名称)と記載した特許出願(特願2020-543051号)についてなされた出願却下処分に対する取消請求について、請求棄却の判断をしました。

情報流通プラットフォーム対処法について-令和6年改正プロバイダ責任制限法(法律名変更、内容一部改正)

本年(令和6年)5月17日、通称「プロバイダ責任制限法」の改正法が公布されました。来年の春頃までに施行される予定です。 今回の改正では、インターネット上の誹謗中傷等による被害回復が実効的になされるよう、大規模プラットフォーム事業者に対し、投稿の削除対応の迅速化、その運用状況の透明化に関し、具体的措置を求めるとともに、法律の名称を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」(通称「情報流通プラットフォーム対処法」)に変更しています。

「AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」の公表について

令和6(2024)年5月、政府の「AI時代の知的財産権検討会」は「中間とりまとめ」を公表しました。現時点の実務において、生成AIと知的財産の関係についてガイドラインとしての役割を果たす資料となります。本稿では、「中間とりまとめ」において整理がされた法的な論点のうち、知的財産権を中心にご紹介します。

「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」について

「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」 が令和6年6月27日に公表されました。この中間整理は、個人情報保護法の次期改正のたたき台になるものと思われます。本稿では、当該中間整理の内容を確認していきたいと思います。

「Nepal Tiger」の標準文字商標は商標法3条1項3号にも同法4条1項16号にも該当しないとした「Nepal Tiger」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(東海林保裁判長)は、令和6年(2024年)4月11日、「Nepal Tiger」の文字を標準文字で表してなり、指定商品を第27類「じゅうたん、敷物、マット、ラグ、ヨガ用マット、織物製壁紙、壁掛け(織物製のものを除く。)」とする商標についての商標登録出願にかかる拒絶査定不服審判の審決取消訴訟において、原審決を取り消す判決をしました。同商標出願は、商標法3条1項3号及び同法4条1項16号を理由として拒絶査定を受けていたところ、本判決は、「Nepal Tiger」の語は一体の造語であって、取引者・需要者が指定商品に係る商品の産地、販売地又は品質を表示したものと認識するとはいえず、また、ネパール産のトラ柄のラグ等以外の指定商品に使用されても、商品の品質の誤認を生ずるおそれはないと判断しています。

クレームの数値範囲を備えた実施例がない発明について技術常識に基づきサポート要件の充足を認めた「鋼管杭式桟橋」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(本多知成裁判長)は、令和6年/2024年1月23日、サポート要件違反を理由とする特許庁の無効審決を取り消す判決をしました。特許請求の範囲に記載された数値範囲を備えた実施例が明細書に記載されていない発明について、特許庁はサポート要件に違反するとの判断をしましたが、本判決は、明細書の記載と技術常識に基づいてサポートが認められるとし、無効審決を取り消しました。

製法に明確性要件違反ありとして特許無効審判における不成立審決を取り消した「セレコキシブ組成物」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部(宮坂昌利裁判長)は、令和6年3月18日、特許無効審判の不成立審決に対する取消訴訟において、プロダクトバイプロセスクレームは不可能・非実際的事情の存在が要求されるが、本件においては、不可能・非実際的事情を検討する以前の問題として、「セレコキシブ粒子が、ピンミルのような衝撃式ミルで粉砕されたものであり、」と規定されたプロセス部分「本件ピンミル構成」」の記載が不明確であるとして、特許無効審判における不成立審決を取り消す判決をしました。

景表法事件レポート(Vol.5):ステルスマーケティング告示に係る不当表示に対する初の措置命令

景表法事件レポートでは、消費者庁や都道府県による法執行(行政指導、措置命令、課徴金納付命令等)をモニターし、注目すべき事件につき皆様にご紹介いたします。 今回は、いわゆるステルスマーケティング告示に係る不当表示に対する初の措置命令(2024年6月6日)について解説します。

「AIと著作権に関する考え方について」の公表について② ~生成・利用段階、生成物の著作物性~

令和6(2024)年3月、文化審議会 著作権分科会 法制度小委員会が作成した「AI と著作権に関する考え方について」が公表されました。これは、現時点の実務において、生成AIと著作権の関係についてガイドラインとしての役割を果たす資料となります。本稿では、このうち、生成AIの生成・利用段階と生成物の著作物性の整理についてご紹介します。

「AIと著作権に関する考え方について」の公表について① ~開発・学習段階~

令和6(2024)年3月、文化審議会 著作権分科会 法制度小委員会が作成した「AI と著作権に関する考え方について」が公表されました。本考え方は、現時点の実務において、生成AIと著作権の関係についてガイドラインとしての役割を果たす資料となります。本稿では、このうち、生成AIの開発・学習段階の整理についてご紹介します。

平成16年改正特許法における職務発明の相当の対価請求権の消滅時効の起算点及び中断に関する「吹矢の矢」知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(東海林保裁判長)は、令和6年2月1日、平成16年改正特許法の適用を受ける職務発明の相当の対価請求訴訟において、職務発明規程が存在しない会社が就業規則における表彰の規定に基づいて発明者にクオカードを授与した事案において、その授与の時期が消滅時効の起算点となるものではなく、またその授与をもって消滅時効の中断があったとは認められないとの判断をしました。

登録商標が商標法3条1項3号に該当するとして登録無効審判における不成立審決を取り消した「くるんっと前髪カーラー」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(清水響裁判長)は、令和5年(2023年)9月7日、登録商標「くるんっと前髪カーラー」について、指定商品である「頭飾品、ヘアカーラー(電気式のものを除く。)」(第26類)との関係で、商品の品質、効能等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるとし、当該商標登録は、商標法3条1項3号に基づき無効にされるべきものであるとの判断を示しました。

ファッション商品写真にかかる著作権及び著作者人格権の侵害に関するBEEPSHEEPSHAMP事件東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第47部(杉浦正樹裁判長)は、令和5年5月18日、ファッション商品の販売のための写真の著作物について著作物性を肯定し、著作権侵害及び著作者人格権侵害を認める判決をしましたが、一部の写真については、「客観的に見て通常の著作者であれば特に名誉感情を害されることがないと認められる程度」の改変は著作者の意に反する改変とはいえないとして、同一性保持権の侵害を否定しました。

販売実績に係る表示が商品の品質誤認惹起表示に該当し不正競争と判断した生ごみ処理機事件東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第29部(國分隆文裁判長)は、令和5年11月10日、生ごみ処理機の販売実績について事実と異なる表示をした被告の行為が、品質を誤認させる表示をしたものとして不正競争防止法2条1項20号の品質等誤認惹起行為に該当するとの判決を言い渡しました。

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