裁判例情報(その他知的財産)
パブリシティ権を原始的に帰属させる条項等につき公序良俗に反するとし、芸能事務所による芸名の使用の差止めを認められないとした判決
2023年3月15日 裁判例情報(その他知的財産) 秦野 真衣 (18)
東京地方裁判所第44部(飛澤知行裁判長)は、昨年(令和4年)12月18日、芸能事務所である原告が、専属契約の約定に反し芸名を使用して芸能活動を行っているとして、被告の芸名使用の差止めを求めた事案につき、当該専属契約のうち、被告のパブリシティ権を原告に原始的に帰属させる部分、及び当該専属契約の終了後も無期限に原告に本件芸名の使用の諾否の権限を認めている部分は、社会的相当性を欠き、公序良俗に反するものとして、無効であると判示しました。
有名ファッションデザイナーのパブリシティ権侵害を認めた「ジル・スチュアート事件」(第1事件)知財高裁判決について
2020年5月26日 裁判例情報(その他知的財産) 増田 昂治 (12)
知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和2年2月20日、有名ファッションデザイナーの氏名や肖像写真をウェブサイト上で表示した行為について、パブリシティ権侵害を認める一方で、差止めの必要性を否定し、またパブリシティ権侵害に基づく使用料相当損害に係る損害額につき100万円の限度でのみ認めた第一審の判断を維持する判決を下しました。
育成者権侵害による損害賠償額を大幅に減額した「しいたけ」事件知財高裁判決について
2019年3月19日 裁判例情報(その他知的財産) 溝上 武尊 (32)
平成31年3月6日、知的財産高等裁判所第3部は、登録品種であるしいたけが無断譲渡等をされたという育成者権侵害の成否が争われた事案について、原判決を変更して、損害賠償額を大幅に減額し、差止請求を棄却する判決を言い渡しました。差止め及び損害賠償について原判決と異なる判断を示した点で実務上参考になります。
育成者権侵害を理由に差止め及び6678万円余の損害賠償を命じた「しいたけ」事件東京地裁判決について
2018年10月25日 裁判例情報(その他知的財産) 溝上 武尊 (32)
平成30年6月8日、東京地方裁判所民事第40部は、登録品種であるしいたけが無断譲渡等をされたという育成者権侵害の成否が争われた事案について、収穫物(しいたけ)の生産等の差止め及び6678万円余の損害賠償を命じる判決を言い渡しました。種苗法関係の裁判例は数が少ないうえ、請求が認容された点で実務上参考になります。