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イノベンティア・リーガル・アップデート

タグ : 特許法

Innoventier Legal Update
イノベンティア・リーガル・アップデートでは、有益な法律情報をいち早くピックアップし、分かりやすく解説します。
 

自然法則の利用と発明該当性に関する「電子記録債権の決済方法、および債権管理サーバ」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和2年6月18日、拒絶査定不服審判における不成立審決に対する審決取消訴訟において、特許法29条1項柱書の「発明」の該当性に関し、たとえ「特許を受けようとする発明」に何らかの技術的手段が提示されているとしても、全体として考察した結果、その発明の本質が、単なる精神活動、純然たる学問上の法則、人為的な取決めなど自体に向けられている場合には、同規定にいう「発明」に該当するとはいえないとの判断を示しました。

判断遺脱による手続違背を理由に特許無効審判の審決を取り消した「マッサージ機」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、令和2年1月21日、特許無効審判の審決取消請求訴訟において、審決が明確性要件違反に関する判断を遺脱しているとして、手続違背を理由に審決を取り消す判決をしました。他方、補正要件違反、分割要件違反及びサポート要件違反については審決の判断遺脱があったとは認めませんでした。

特許法102条1項に基づく損害額の認定について判断した知財高裁大合議判決(美容器事件)について

20年2月28日、特許権の侵害訴訟において、特許法102条1項に基づく損害額の認定について判断した知財高裁大合議判決がありました。特許権侵害訴訟における損害論に関しては、2019年6月7日に特許法102項2項及び3項に関する知財高裁の大合議判決があったところですが、今回は102条1項の論点につき、知財高裁が大合議判決により初めて考え方を示した点に意義があります。

原審決の誤った認定とは異なる主引用発明に基づき進歩性を否定した「アクセスポートとその識別方法」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、令和元年12月4日、特許庁が2つの引用例を組み合わせて主引用発明を認定した手法には誤りがあったとしつつ、知財高裁が独自に認定した主引用発明に基づき、発明に進歩性は認められないとする判決をしました。

専用実施権者に実施義務を認めつつ義務違反は否定した「稚魚を原料とするちりめんの製造法及びその製品」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、本年(令和元年)9月18日、特許権者と専用実施権者との間に、専用実施権者が発明を実施する義務を負う旨の黙示の合意があったことを認定しつつ、当該実施義務の違反は認められないとする判決をしました。

進歩性判断における予測できない顕著な効果の位置付けに関するドキセピン誘導体含有局所的眼科用処方物事件最高裁判決について

最高裁判所第三小法廷(山崎敏充裁判長)は、医薬化合物の進歩性の判断に際して顕著な効果を考慮するときは、当業者が、進歩性判断の対象となる発明の構成がその効果を奏することを予測できたか、また、当業者の予測を超えた効果を奏するかを判断すべきであるとの考え方を示しました。判決は、条文上の根拠が不明確な顕著な効果の位置付けについて、いわゆる独立要件説に近い考え方を採用したものと考えられます。

確定した有効審決の一事不再理効の客観的範囲と特許権侵害訴訟における無効主張の可否に関する「美容器」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和元年6月26日、確定した有効審決と同一の事実及び同一の証拠に基づく無効主張を侵害訴訟ですることは、訴訟上の信義に反し許されないとの判決をしました。また、その背景として、判決は、一事不再理を規定する特許法167条の趣旨は紛争の一回的解決にあるとし、特許無効を求める利益と特許権の安定のバランスにあるというかつての考え方とは異なる考え方を示しました。

有効審決が確定した特許無効審判の請求人と同視し得る者による特許無効の抗弁の許否に関する「薬剤分包用ロールペーパ」事件知財高裁判決

令和元年6月27日、知的財産高等裁判所第4部は、特許無効審判の請求不成立審決(有効審決)が確定したときは、特許無効審判の請求人と同視し得る立場にあれば、請求人ではない訴訟の当事者であっても、当該審決で排斥された無効理由による特許無効の抗弁の主張は許されないとする判決を言い渡しました。

特許料(年金)追納期間における不納付の「正当な理由」に関する「ダクトのライニング」事件東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第46部(柴田義明裁判長)は、令和元年(2019年)6月18日、特許料の追納期間経過後の追納が認められるための「正当な理由」(特許法112条の2第1項)の意味について、法改正の経緯などを考慮し、要旨、一般に求められる相当な注意を尽くしても避けることができないと認められる客観的な事情により、追納期間内に特許料及び割増特許料を納付することができなかった場合をいう旨の見解を示しました。

令和元年(2019年)意匠法改正~保護対象の拡充/関連意匠制度の見直し/存続期間の変更/出願手続の簡素化/間接侵害規定の拡充~

令和元年(2019年)5月10日、改正特許法が成立し、同月17日、公布されました。今回、意匠法が大幅に改正されることになり、物品に記録・表示されていない画像や、建築物の外観・内装のデザインが新たに意匠法の保護対象とされるほか、関連意匠の出願可能期間の延長、存続期間の変更、複数の意匠の一括出願を認める等の出願手続の簡素化、侵害品を構成部品に分割して製造・輸入等する行為を取り締まるための間接侵害規定の拡充がなされます。

令和元年(2019年)特許法改正~査証制度の新設/損害賠償算定方法の見直し~

令和元年(2019年)5月10日、改正特許法が成立し、同月17日、公布されました。今回の改正では、第三者の専門家が工場等に立ち入って調査を行う新たな証拠収集制度(査証制度)が新設されるとともに、損害賠償の算定方法について見直しがなされました。

再度の審決予告の要否は前の審決予告による実質的な訂正の機会の有無によって決まるとした「液晶表示デバイス」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、平成31年3月20日、特許無効審判で審決の予告がなされ、訂正の請求がなされた後に、審決の予告までに主張されていた無効理由に基づいてなお特許を無効にすべきものと判断される場合において、どのような要件のもとで再度審決の予告をする必要があるかという問題について、前の審決の予告において当該無効理由について予告がなされ、実質的に訂正の機会が与えられているかによって判断すべきであるとの考え方を示しました。

共同無効審判請求人の一部を被告とする無効審決取消訴訟を却下した二次元コード事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、平成30年12月18日、複数の請求人によって請求された特許無効審判において無効の審決がなされたのに対し、特許権者が、一部の請求人のみを被告として審決取消訴訟を提起したという事案において、被告とならなかった請求人との関係においては出訴期間の経過によって無効審決が確定し、その結果特許権は初めから存在しなかったものとみなされるから、審決取消訴訟は訴えの利益を欠くとの理由で訴えを却下しました。

冒認出願を無効理由とする審決取消判決(冒認認定)の拘束力についての判断を示した知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、2019年3月6日、冒認出願を認定した審決取消判決の拘束力に従ってなされた特許無効審決を適法とし、その後の取消請求訴訟事件において、当事者が新たな証拠や主張に基づいて冒認出願であるとの審決判断を争うことは、先になされた審決取消判決の拘束力に反するものであり許されないとして、原告の請求を棄却しました。

確認の訴えの却下判決に対する控訴審における訴えの追加的変更申立てを許さなかった知的財産高等裁判所判決について

知的財産高等裁判所は、訴え却下判決に対する控訴審における訴えの追加的変更の申立てについて、特段事情のない限り、相手方の審級の利益を害し、訴訟手続を著しく遅延させるおそれがあることから、許されない、と判断しました。

原審口頭弁論終結前になされた特許無効審決と同一の無効理由を抗弁とする控訴審主張と時機に後れた攻撃防御方法に関する知財高裁判決について

特許権侵害訴訟においては、提出可能な攻撃防御方法は適時に提出することが重要ですが(適時提出主義)、一定の要件のもとでは、侵害論についての審理終了後であっても、新たな無効抗弁の主張が時機に後れた攻撃防御方法に該当しないと判断されました。

権利不行使の陳述と債務不存在確認の訴えにおける確認の利益に関する「樹脂フィルムの連続製造方法及び装置及び設備」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(高部眞規子裁判長)は、昨年(2018年)12月25日、特許権者が被疑侵害品のメーカーに対して権利を行使しておらず、また、権利行使をしない旨の和解をする意思があると裁判所で述べていても、当該メーカーの顧客に対して米国訴訟が提起されていることや、前提として損害賠償請求権を有していると述べていることを根拠として、メーカーが特許権者に対して提起した債務不存在確認の訴えについて確認の利益を認めました。

特許無効審判で認められなかった訂正にかかる発明の審決取消訴訟における進歩性判断の拘束力に関する導電性材料事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部(大鷹一郎裁判長)は、本年(2019年)2月26日、訂正請求を否定した特許無効審判の審決に対し、審決取消訴訟裁判所が訂正は認められるべきものであるとの判断をし、さらに進んで、原審決ではなされていない訂正発明と引用発明の対比に基づく進歩性判断を行ったという事例において、当該進歩性判断にも特許庁や後訴裁判所に対する拘束力が生じるとの考え方を示しました。

AIA施行後も秘密保持義務を課された者への販売がOn-Sale Barの対象となるとしたHelsinn Healthcare米連邦最高裁判決について

米連邦最高裁判所は、本年(2019年)1月22日、Helsinn Healthcare事件において、リーヒ・スミス米国発明法(AIA)施行後も特許法102条(a)(1)(旧102条(b))の「on sale」の意味は変更されておらず、特許発明の実施品が販売されたときは、その購入者が秘密保持義務を負う者である場合においても、新規性判断における先行技術としての適格性を有するとの判断を示しました。

特許無効審判における有効審決確定後の特許無効の抗弁の主張の許否に関する「美肌ローラ」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、昨年(2018年)12月18日、特許無効審判において有効審決が確定した特許について、同一の事実及び同一の証拠に基づき特許権侵害訴訟における特許無効の抗弁ないし権利濫用の抗弁を主張することは、特段の事情がない限り、訴訟上の信義に反し許されないとの判断を示しました。

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