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イノベンティア・リーガル・アップデート

裁判例情報(特許・意匠)

Innoventier Legal Update
イノベンティア・リーガル・アップデートでは、有益な法律情報をいち早くピックアップし、分かりやすく解説します。
 

審決取消判決による進歩性判断の拘束力の客観的範囲に関するドキセピン誘導体含有局所的眼科用処方物事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部(髙部眞規子裁判長)は、本年11月21日、特許無効審判の審決取消訴訟において審決が取り消された場合の判決の拘束力に関し、「付言」の形ながら、前の審判における進歩性欠如の議論において主張されず、審決取消訴訟裁判所が明示的に判断しなかった顕著な効果に関する主張であっても、特許庁がこれを後の審判手続で審理したのは、一回的解決や訴訟経済に反し、取消判決の拘束力に関する行政事件訴訟法33条1項の趣旨に照らして問題があった、との判断を示しました。

新規性喪失の例外の手続要件と国内優先権主張出願との関係に関する「NK細胞活性化剤」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(森義之裁判長)は、本年(2017年)11月30日、基礎出願において新規性喪失の例外の適用を求めつつ、国内優先権主張出願において書類の提出を怠った場合について、その後の分割出願においても新規性喪失の例外の適用を受けられないとの判決をしました。

特許法74条1項に基づく移転登録請求権(発明者取戻請求権)の立証責任に関する「臀部拭き取り装置」事件大阪地裁判決について

大阪地方裁判所民事第26部(高松宏之裁判長)は、本年(2017年)11月9日、特許法74条1項に基づく移転登録請求訴訟(いわゆる発明者取戻請求)において原告に求められる主張立証責任の内容を示しました。

物の組成と物性によって特定される発明のサポート要件及び実施可能要件の充足に関する「光学レンズ」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部は、本年10月25日、構造(組成)と特性(物性)の双方を数値限定によって特定した物の発明について、サポート要件及び実施可能要件の判断の枠組みを示す判決をしました。

医薬の用途発明における実施可能要件の充足について判断を示した「脂質含有組成物」事件知財高裁判決について

本年(平成29年)10月13日、知的財産高等裁判所は、「脂質含有組成物」という名称の医薬の特許出願に対し、実施可能要件を満たさないとして拒絶した特許庁の判断に誤りはないと判断しました。

特許無効審判の請求人適格(利害関係)に関する「パンツ型使い捨ておむつ」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、本年10月23日、特許無効審判の請求人適格として要求される利害関係の有無が問題となった事案において、直接的に対象特許の実施行為を行おうとしているわけではなく、また、自ら事業化のための設備等を有していなくとも、製造委託等の方法により関連発明の実施に向けて行動し、抵触がありうるのであれば利害関係が認められるとの判断を示しました。

明確性要件の充足について判断した無洗米製造装置事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部は、本年(2017年)9月21日、明確性要件違反を理由として、特許無効審判における請求不成立審決を取り消しました。

実施可能要件とサポート要件の関係について触れた葉酸代謝拮抗薬組合せ療法事件における知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部は、本年2月2日、サポート要件の判断手法や、実施可能要件とサポート要件の関係に触れた判決をしました。

AIビジネスによる特許権侵害の存否に関する東京地裁判決(freee対マネーフォワード事件)について

東京地裁は、freee株式会社(原告)がマネーフォワード株式会社(被告)に対して提起した特許権侵害に基づく差止等請求を棄却しました。ITベンチャー企業間の訴訟として耳目を集めた本件ですが、AI関連ビジネスが採りうる特許戦略の在り方を検討する上で参考となる事件です。

特許権の侵害訴訟において訂正の再抗弁が認められるための要件を確認した東京地裁判決について

東京地裁は、特許権侵害訴訟の無効の抗弁に対する訂正の再抗弁が認められるための4つの要件を示した上で、再抗弁の成立を認めました。この4要件についてはすでに過去の裁判例でも言及されていましたが、本判決はその内容を確認したものといえます。

米国特許権に基づく損害賠償債務の不存在確認請求の国際裁判管轄に関する東京地裁判決(ワイラン・インク国際裁判管轄事件)について

東京地方裁判所は、本年(2017年)7月27日、米国特許権に基づく米国内の特許権侵害訴訟に対応して日本国内で提起した債務不存在確認請求訴訟について、日本国の裁判所には国際裁判管轄がなく、また、訴えを却下すべき特別の事情もあるとの判断を示しました。

トマト含有飲料の特許についてサポート要件違反の無効理由があると判断した知財高裁判決(トマト含有飲料事件)について

知的財産高等裁判所は、本年(2017年)6月8日、特許庁が無効審判不成立(特許有効)と判断したトマト含有飲料の特許について、サポート要件違反の無効理由があると判断し、審決を取り消す判決を下しました。

事実審の口頭弁論終結後の訂正審決の確定を理由に事実審の判断を争う主張を退けた最高裁判決(シートカッター事件)について

平成29年(本年)7月10日、最高裁は、特許権者が事実審で訂正の再抗弁を主張しなかった場合に、後の訂正審決等の確定が再審理由にあたるとの主張を退ける判決を下しました。本判決は、訂正の再抗弁の早期の主張を促すものとして、実務上重大な影響を有するものです。

特許権の消尽に関するLexmark事件米連邦最高裁判所判決について (2) – 特許権の国際消尽

Lexmark事件最高裁判決の続編です。今回は、同判決で判断が示された特許権の消尽を巡る2つの重要な論点のうち、国際消尽の問題について解説します。

特許法上の期間制限内に生じた損害賠償請求に対するラッチェス(懈怠)抗弁の適用を否定した米国連邦最高裁判所判決について

米国連邦裁判所は、2017年(平成29年)3月21日、特許権侵害に基づく損害賠償請求について、訴え提起前6年間に行われた侵害行為に基づくものは、ラッチェス(laches・懈怠)抗弁により排斥することができないと判断しました

特許権の消尽に関するLexmark事件米連邦最高裁判所判決について (1) – 販売後制限(post-sale restrictions)と特許権の消尽

米連邦最高裁判所は、本年(2017年)5月30日、特許権の消尽を巡る2つの重要な論点に関し、連邦巡回控訴裁判所(CAFC)の判断を覆しました。消耗部材のリサイクル品の適法性に影響する重要な判決といえます。今回は、販売後制限(post-sale restrictions)と国内消尽の問題を取り上げます。

米国内企業を被告とする特許権侵害訴訟の管轄を制限的に解釈した米国連邦最高裁判所判決(TC Heartland 事件)について

米国連邦最高裁判所は、2017年5月17日、特許権侵害訴訟における裁判地のうち、「被告の居住する地区」とは、米国内企業の場合、会社の設立地のみに限るとの判断を示しました。この決定により、特許権侵害に係る民事訴訟が提起できるのは、被告である会社が設立された地区、または、被告が侵害行為を行いかつ恒常的に確立した事業所を有する地区に限定されることとなりました。

特許権の侵害主体を規範的判断により認定するものとした東京地裁判決(ふぐ刺身機事件)

東京地方裁判所(民事第29部)は、本年(平成29年)4月29日、特許権の共有者による実施行為か否かの判断に際し、特許権の侵害主体の認定は、物理的な行為者ではなく、実施行為の法的帰属主体を規範的に判断して行うべきとするとともに、実施行為の法的帰属主体というためには、通常、自己の名義及び計算で実施行為を行なっていることが必要であるとの判断を示しました。

均等論第5要件(特段の事情)に関するマキサカルシトール最高裁判決(最二判平成29年3月24日)について

最高裁判所は、均等侵害の成立に関し、容易に想到可能な均等の構成が特許請求の範囲に記載されていなかった場合に、そのような構成をあえて記載しなかったことが表示されていない限り、均等第5要件の「特段の事情」が認められないとの判断を示しました。

特許権侵害による損害額の推定に関する特許法102条2項の「利益」に消費税が含まれ得るとした知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(鶴岡稔彦裁判長)は、平成29年(2017年)2月22日、特許権侵害訴訟において、消費税法基本通達5-2-5に依拠し、特許権侵害行為によって侵害者が得た利益を特許権者の損害額と推定することを定めた特許法102条2項の「利益」に消費税が含まれ得るとの判断を示しました。

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