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イノベンティア・リーガル・アップデート

裁判例情報(特許・意匠)

Innoventier Legal Update
イノベンティア・リーガル・アップデートでは、有益な法律情報をいち早くピックアップし、分かりやすく解説します。
 

専用実施権者に実施義務を認めつつ義務違反は否定した「稚魚を原料とするちりめんの製造法及びその製品」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、本年(令和元年)9月18日、特許権者と専用実施権者との間に、専用実施権者が発明を実施する義務を負う旨の黙示の合意があったことを認定しつつ、当該実施義務の違反は認められないとする判決をしました。

進歩性判断における予測できない顕著な効果の位置付けに関するドキセピン誘導体含有局所的眼科用処方物事件最高裁判決について

最高裁判所第三小法廷(山崎敏充裁判長)は、医薬化合物の進歩性の判断に際して顕著な効果を考慮するときは、当業者が、進歩性判断の対象となる発明の構成がその効果を奏することを予測できたか、また、当業者の予測を超えた効果を奏するかを判断すべきであるとの考え方を示しました。判決は、条文上の根拠が不明確な顕著な効果の位置付けについて、いわゆる独立要件説に近い考え方を採用したものと考えられます。

特許法102条2項及び3項の適用における具体的規範を示した「二酸化炭素含有粘性組成物」事件知財高裁大合議判決について

2019年6月7日知財高裁最高裁判所特別部(大合議)は、特許権の侵害における損害額の推定規定である特許法102条2項及び3項の適用における具体的規範を示す判決を出しました。本判決は、102条2項及び同3項に関する実務上重要ないくつかの論点について一般的な規範及び判断過程を示した点において大きな意義があるといえます。

確定した有効審決の一事不再理効の客観的範囲と特許権侵害訴訟における無効主張の可否に関する「美容器」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、令和元年6月26日、確定した有効審決と同一の事実及び同一の証拠に基づく無効主張を侵害訴訟ですることは、訴訟上の信義に反し許されないとの判決をしました。また、その背景として、判決は、一事不再理を規定する特許法167条の趣旨は紛争の一回的解決にあるとし、特許無効を求める利益と特許権の安定のバランスにあるというかつての考え方とは異なる考え方を示しました。

有効審決が確定した特許無効審判の請求人と同視し得る者による特許無効の抗弁の許否に関する「薬剤分包用ロールペーパ」事件知財高裁判決

令和元年6月27日、知的財産高等裁判所第4部は、特許無効審判の請求不成立審決(有効審決)が確定したときは、特許無効審判の請求人と同視し得る立場にあれば、請求人ではない訴訟の当事者であっても、当該審決で排斥された無効理由による特許無効の抗弁の主張は許されないとする判決を言い渡しました。

特許料(年金)追納期間における不納付の「正当な理由」に関する「ダクトのライニング」事件東京地裁判決について

東京地方裁判所民事第46部(柴田義明裁判長)は、令和元年(2019年)6月18日、特許料の追納期間経過後の追納が認められるための「正当な理由」(特許法112条の2第1項)の意味について、法改正の経緯などを考慮し、要旨、一般に求められる相当な注意を尽くしても避けることができないと認められる客観的な事情により、追納期間内に特許料及び割増特許料を納付することができなかった場合をいう旨の見解を示しました。

映画の著作物の著作権者の認定及び著作者人格権の侵害の成否に関する婚礼ビデオ事件大阪地裁判決について

大阪地方裁判所第26民事部(髙松宏之裁判長)は、平成31年3月26日、結婚式や結婚披露宴の様子を録画した婚礼ビデオについて、著作権者の認定や、著作者人格権の侵害の成否が争われた事案の判決をしました。

再度の審決予告の要否は前の審決予告による実質的な訂正の機会の有無によって決まるとした「液晶表示デバイス」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、平成31年3月20日、特許無効審判で審決の予告がなされ、訂正の請求がなされた後に、審決の予告までに主張されていた無効理由に基づいてなお特許を無効にすべきものと判断される場合において、どのような要件のもとで再度審決の予告をする必要があるかという問題について、前の審決の予告において当該無効理由について予告がなされ、実質的に訂正の機会が与えられているかによって判断すべきであるとの考え方を示しました。

共同無効審判請求人の一部を被告とする無効審決取消訴訟を却下した二次元コード事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、平成30年12月18日、複数の請求人によって請求された特許無効審判において無効の審決がなされたのに対し、特許権者が、一部の請求人のみを被告として審決取消訴訟を提起したという事案において、被告とならなかった請求人との関係においては出訴期間の経過によって無効審決が確定し、その結果特許権は初めから存在しなかったものとみなされるから、審決取消訴訟は訴えの利益を欠くとの理由で訴えを却下しました。

冒認出願を無効理由とする審決取消判決(冒認認定)の拘束力についての判断を示した知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、2019年3月6日、冒認出願を認定した審決取消判決の拘束力に従ってなされた特許無効審決を適法とし、その後の取消請求訴訟事件において、当事者が新たな証拠や主張に基づいて冒認出願であるとの審決判断を争うことは、先になされた審決取消判決の拘束力に反するものであり許されないとして、原告の請求を棄却しました。

確認の訴えの却下判決に対する控訴審における訴えの追加的変更申立てを許さなかった知的財産高等裁判所判決について

知的財産高等裁判所は、訴え却下判決に対する控訴審における訴えの追加的変更の申立てについて、特段事情のない限り、相手方の審級の利益を害し、訴訟手続を著しく遅延させるおそれがあることから、許されない、と判断しました。

原審口頭弁論終結前になされた特許無効審決と同一の無効理由を抗弁とする控訴審主張と時機に後れた攻撃防御方法に関する知財高裁判決について

特許権侵害訴訟においては、提出可能な攻撃防御方法は適時に提出することが重要ですが(適時提出主義)、一定の要件のもとでは、侵害論についての審理終了後であっても、新たな無効抗弁の主張が時機に後れた攻撃防御方法に該当しないと判断されました。

権利不行使の陳述と債務不存在確認の訴えにおける確認の利益に関する「樹脂フィルムの連続製造方法及び装置及び設備」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(高部眞規子裁判長)は、昨年(2018年)12月25日、特許権者が被疑侵害品のメーカーに対して権利を行使しておらず、また、権利行使をしない旨の和解をする意思があると裁判所で述べていても、当該メーカーの顧客に対して米国訴訟が提起されていることや、前提として損害賠償請求権を有していると述べていることを根拠として、メーカーが特許権者に対して提起した債務不存在確認の訴えについて確認の利益を認めました。

特許無効審判で認められなかった訂正にかかる発明の審決取消訴訟における進歩性判断の拘束力に関する導電性材料事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部(大鷹一郎裁判長)は、本年(2019年)2月26日、訂正請求を否定した特許無効審判の審決に対し、審決取消訴訟裁判所が訂正は認められるべきものであるとの判断をし、さらに進んで、原審決ではなされていない訂正発明と引用発明の対比に基づく進歩性判断を行ったという事例において、当該進歩性判断にも特許庁や後訴裁判所に対する拘束力が生じるとの考え方を示しました。

AIA施行後も秘密保持義務を課された者への販売がOn-Sale Barの対象となるとしたHelsinn Healthcare米連邦最高裁判決について

米連邦最高裁判所は、本年(2019年)1月22日、Helsinn Healthcare事件において、リーヒ・スミス米国発明法(AIA)施行後も特許法102条(a)(1)(旧102条(b))の「on sale」の意味は変更されておらず、特許発明の実施品が販売されたときは、その購入者が秘密保持義務を負う者である場合においても、新規性判断における先行技術としての適格性を有するとの判断を示しました。

特許無効審判における有効審決確定後の特許無効の抗弁の主張の許否に関する「美肌ローラ」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、昨年(2018年)12月18日、特許無効審判において有効審決が確定した特許について、同一の事実及び同一の証拠に基づき特許権侵害訴訟における特許無効の抗弁ないし権利濫用の抗弁を主張することは、特段の事情がない限り、訴訟上の信義に反し許されないとの判断を示しました。

サブコンビネーション発明にかかる特許権の間接侵害を認めた「薬剤分包用ロールペーパ」事件大阪地裁判決について

大阪地方裁判所第21民事部(谷有恒裁判長)は、平成30年12月18日、サブコンビネーション発明にかかる特許権の間接侵害を認める判決をしました。同判決は、他のサブコンビネーションに「用いられ」との記載が用途による限定をしたものでなく、また、間接侵害について、実質的な観点から「のみ」要件の充否の認定を行っています。異なる2つの観点から用途について判断を示した判決として参考になります。

控訴審における新規性欠如の主張と時機に後れた攻撃防御方法に関する「連続貝係止具とロール状連続貝係止具」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(森義之裁判長)は、本年(2018年)11月26日、具体的事実関係に照らして、控訴審における新規性喪失の主張が時機に後れた攻撃防御方法に該当すると認めつつも、訴訟の完結を遅延させることになると認めるに足りる事情はないとして、被控訴人の主張を却下し、原判決を取り消して被控訴人(一審原告)の請求を棄却しました。

「ステーキの提供システム」は特許法上の発明に該当しないとした特許庁の決定を、知財高裁が取り消した判決について

平成30年10月17日、知財高裁第2部(森義之裁判長)は、「ステーキの提供システム」にかかる発明が特許法上の「発明」に該当するか否かを争点とした特許取消決定取消請求事件において、特許庁による発明該当性なしとの判断に誤りがあったとして、特許庁の決定を取り消しました。本判決は、いわゆる「ビジネス関連発明」の発明該当性の判断事例として興味深い争点を含みますので、紹介致します。

刊行物公知における刊行物の記載の程度に関するマイコプラズマ・ニューモニエ検出用試験デバイス事件知財高裁判決

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、本年(2018年)11月6日、特許法29条1項3号の「刊行物に記載された発明」は引例から抽出可能な具体的な技術的思想であって、物の発明の場合には刊行物の記載と技術常識から当業者がその物を作れることが必要であるとの規範を示し、その適用を示す判決をしました。

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