知的財産高等裁判所第1部(髙部眞規子裁判長)は、令和3年(2020年)8月20日、特許権の共有者が当事者となる共同出願契約において、特定の契約違反があると違反当事者の特許権が「剥奪される」との定めがあった場合に、当該違反行為があったときは、違反当事者は、本件各特許権に係る自己の持分権を喪失するものと解するのが相当であるとの判断を示しました。

本判決は、具体的な事案に表れた契約文言の解釈について判断を示したものではあるものの、比較的珍しい契約文言の解釈を示したものであることに加え、特許権の得喪について登録が効力要件とされていることとの関係についても触れられているため、紹介します。

ポイント

骨子

  • 本件定めの「剥奪される。」との文理からすると,他の共有者の事前の協議・許可を経由することなく,本件各特許権に係る発明を,自ら実施して,製品の生産又は販売をした共有者は,本件各特許権に係る自己の持分権を喪失するものと解するのが相当である。
  • 特許権の移転,放棄による消滅が登録しなければ効力を生じないことを定めた特許法98条1項は,権利の得喪に伴い権利の帰属が問題となる当事者間において,当該権利の得喪の効果を認めることの支障にはならない。

判決概要

裁判所 知的財産高等裁判所第1部
判決言渡日 令和2年(2020年)8月20日
事件番号 令和2年(ネ)第10016号
特許権侵害差止等請求控訴事件
原判決 東京地方裁判所平成31年(ワ)第4944号
裁判官 裁判長裁判官 髙 部 眞規子
裁判官    小 林 康 彦
裁判官    髙 橋   彩

解説

特許権の得喪

特許権の得喪の原因

特許権は、さまざまな原因によって取得し、また失うことがあります。

具体的には、特許権は、特許庁による特許によって生じる権利で、出願人は、設定登録によって原始的に権利を取得し、存続期間が満了すると、消滅によってこれを喪失します。また、特許権は、存続期間中に移転したり、質権を設定したりすることが可能ですので、その場合にも譲渡当事者間で権利の変動が生じ、さらに、特許が特許異議申立てによって取り消され、または、特許無効審判によって無効にされた場合にも特許権が消滅し、特許権者は権利を失うことになります。珍しい例にはなりますが、特許異議申立てに基づく取り消し決定や、特許無効審判における無効審決などが確定した後に、再審によって権利を回復することもあります。

特許法における登録制度

特許権の得喪と登録制度

特許権の得喪は、登録制度と強く結びついています。例えば、特許権は特許庁による特許に基づいて生じる権利ですが、具体的に特許権が生じるのは、下記の特許法66条に定められているとおり、設定の登録がなされたときです。

(特許権の設定の登録)
第六十六条 特許権は、設定の登録により発生する。

不動産についても登記制度がありますが、不動産登記と比較すると、特許法の登録制度は大きく異なるものとなっています。

登録の根拠法令と登録事項

特許権の登録については、特許法27条に規定があり、同条1項により、特許権の設定や移転、変更、消滅のほか、専用実施権や質権、仮専用実施権に関する事項が特許原簿への登録事項とされています。

(特許原簿への登録)
第二十七条 次に掲げる事項は、特許庁に備える特許原簿に登録する。
 特許権の設定、存続期間の延長、移転、信託による変更、消滅、回復又は処分の制限
 専用実施権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限
 特許権又は専用実施権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅又は処分の制限
 仮専用実施権の設定、保存、移転、変更、消滅又は処分の制限

また、この特許法27条を受けて、政令である特許登録令(昭和35年政令第39号)は、特許異議申立てや審決に関する事項も登録事項とすることを定めています。

(登録事項)
第一条 特許に関する登録は、特許法第二十七条第一項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項についてする。
 特許異議の申立てについての確定した決定
 特許無効審判、延長登録無効審判又は訂正審判の確定審決
 再審の確定した決定又は確定審決

なお、特許登録令においては、上記の各登録事項のほか、登録申請に不備があった場合や権利移転の保全を目的とするような場合の仮登録(同2条)、特許異議申立てや特許無効審判、訂正審判の請求、いわゆる取戻権に基づく移転登録請求訴訟の提起等があった場合における予告登録(同3条)、登録名義人の表示の変更等があった場合の付記登録(同4条)についても規定が置かれています。

登録の効果

特許権の登録制度において特徴的なのは、上述のとおり、登録によって特許権が発生するほか、下記の特許法98条に見られるとおり、ほとんどの場合において、特許権や専用実施権の得喪がその効力を生じる上で登録が要求されていることです。特許権そのものについて見ると、登録が権利変動の効力発生要件となっていないのは、包括承継の場合と保護期間満了による消滅の場合に限られています。

(登録の効果)
第九十八条 次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。
 特許権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、信託による変更、放棄による消滅又は処分の制限
 専用実施権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は特許権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
 特許権又は専用実施権を目的とする質権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
 前項各号の相続その他の一般承継の場合は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。

同様の規定は、以下のとおり、仮専用実施権についても置かれています。

(登録の効果)
第三十四条の四 仮専用実施権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は第三十四条の二第六項の規定によるものを除く。)又は処分の制限は、登録しなければ、その効力を生じない。
 前項の相続その他の一般承継の場合は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。

また、類似の規定として、特許出願後の特許を受ける権利、つまり、出願後設定登録がなされるまでの間の出願人の権利を承継する場合についても、包括承継の場合を除き、届出が必要とされていますが、出願段階での特許を受ける権利は特許原簿の登録事項ではないため(特許法27条1項、特許登録令1条)、特許権に変動が生じた場合とは異なり、届出に基づいて「登録」がなされるわけではありません。

第三十四条 (略)
 特許出願後における特許を受ける権利の承継は、相続その他の一般承継の場合を除き、特許庁長官に届け出なければ、その効力を生じない。

対抗要件制度と特許法上の登録制度の相違

登録制度と対抗要件制度

上述のとおり、特許権の得喪は、多くの場合、登録しなければその効力を生じません。つまり、特許権については、登録が、権利変動の「効力要件」となっています。例えば、ある会社が持っている特許権を他社に譲渡する場合、単に契約を締結し、代金を決済しただけでは権利は移転せず、移転登録をしてはじめて権利の移転が生じます。

これは、不動産登記などの制度と大きく異なる点です。不動産登記は、すでに効力を生じた権利の変動を、第三者にも分かるように公示するもので、原則として、契約を締結すれば、不動産の移転の効果は生じます。つまり、不動産の権利の変動は、登記をしなくても生じるのです。

では、不動産登記にはどのような効果があるかというと、登記をすることによって、権利の変動を第三者に「対抗」することができるようになります。「対抗」というのは少々難解な法律用語ですが、要は、権利を取得した人が、契約当事者だけでなく、第三者に対しても、取得した権利を主張することができるようになるのです。この意味で、不動産登記は、「対抗要件」である、といういわれ方をします。

具体的な条文についてみると、この点について、民法177条は、以下のとおり規定しています。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

この規定のもと、例えば、不動産の所有者であるAからBに所有権が譲渡され、登記を怠っている間にAがさらにCにも所有権の譲渡をする、といった二重譲渡が生じると、いずれも登記をしていない状況では、BもCも、互いに相手方に対し、その不動産が自分のものであることを主張できません。他方、いずれかが登記をした場合、それがたとえ不動産を後で取得したCであっても、Bに対して、その不動産は自分のものだと主張できるようになり、Bは、Cとの関係で権利を失います。この場合、Cは、不動産を買い受けていないB以外のすべての人々に対しても権利を主張できますので、結果として、Cが権利者であることが確定します。「対抗」とは、このような法律関係を表現した用語です。

特許法上、この意味における「対抗」という言葉は、下記の特許法34条1項において、特許出願前の特許を受ける権利の承継について用いられています。特許出願前の特許を受ける権利は譲渡することが可能ですが(特許法33条1項)、二重譲渡のような状況が生じた場合には、特許出願が、不動産における登記と同様の機能を果たし、先に出願した者が確定的に権利を取得することとなります。

第三十四条 特許出願前における特許を受ける権利の承継は、その承継人が特許出願をしなければ、第三者に対抗することができない。

もっとも、例外として、出願前の特許を受ける権利の二重譲渡があった場合において、後に権利譲渡を受けながら先に出願をした者が背信的悪意者に該当する場合には、先に譲渡を受けた者は、出願で劣後した場合においても後の譲受人に権利を主張することができるとした裁判例もあります(知財高判平成22年2月24日「バリ取りホルダー」事件)。

なお、特許法99条では、その表題に「対抗」という言葉が用いられていますが、これは、上述の民法177条とは異なり、矛盾する権利変動が生じた場合の優劣を定めるものではなく、通常実施権の許諾後に特許権などが移転された場合に、新しい特許権者との関係でも通常実施権が効力を有することを定めた規定です。

(通常実施権の対抗力)
第九十九条 通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。

同様の規定は、仮通常実施権についても置かれています。

(仮通常実施権の対抗力)
第三十四条の五 仮通常実施権は、その許諾後に当該仮通常実施権に係る特許を受ける権利若しくは仮専用実施権又は当該仮通常実施権に係る特許を受ける権利に関する仮専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。

相違が顕在化した例

登録についての効力要件制度と対抗要件制度の相違が顕著に表れた事例として、最三判平成18年1月24日平成17年(受)第541号・集民第219号329頁があります。この判決自体は、国家賠償請求における損害賠償額の認定に関するものではありますが、その背景として、特許庁の職員による登録上の過失が問題となっているのです。

この事案は、A(特許権者)が、金融機関Bから融資を受けるに際し、特許権の上にBのための質権を設定するとともに、Cに特許権を譲渡により移転した、という二重譲渡の事例でした。契約締結は、まず特許権の移転、次いで質権設定という順序でしたが、登録申請は、まず質権設定についてなされ、その後に移転についてなされました。この順序で登録がなされれば、契約時期で後れていても、登録で先行した質権設定がまず効力を有するはずでした。ここまでは、効力要件主義でも対抗要件主義でも差が生じることはありません。

ところが、この事案では、特許庁の職員が、過失により、質権設定の登録を怠ったため、実際にはまず移転について特許原簿に登録されることになりました。しかも、Cは、その後、この特許権をさらに第三者Dに譲渡しており、当該譲渡に基づく移転登録がなされたのちに、ようやく質権設定の登録がなされました。その際、特許庁は、当初は日付を遡って質権設定登録をしましたが、その後、登録日そのものは正しい日付に更正したうえで、順位を変更する更正登録をしました。

このような場合、不動産登記であれば、質権設定(不動産であれば抵当権等の設定)の登録について、順位変更の更正登記をすることで、本来の申請順位を回復することが可能です。担保設定の効力は契約により生じており、登記申請もなされている以上、法務局職員の過誤を正せば済むのです。特許庁もこれに倣った対応をしようとしたのでしょう。

しかし、Dが、特許庁を相手取り、質権設定登録の抹消を求めて訴訟を提起したところ、東京地裁は、この訴えを認容しました。特許法の登録は、権利変動の効力要件なので、上記の事実関係のもとでは、たとえ質権設定の登録申請が先になされ、特許庁の職員の過失によって登録を怠ったという状況であったとしても、その後に申請された移転登録が先になされてしまうと、その段階で移転登録の効力が生じる一方、質権者は、登録時点での特許権者から質権設定を受けない限り、質権設定の効力を受けることができなくなるのです。

なお、抹消登録請求にかかる上記判決は現在裁判所のウェブサイトで公表されていませんが、訴え提起が平成10年5月であるのに対し、請求内容が特に争われず、同年7月24日に判決がなされています。

共同出願契約とは

特許法38条は、ある発明についての特許を受ける権利を複数の者が共有する場合、その共有者全員が共同で特許出願する必要があることを規定しています。

(共同出願)
第三十八条 特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。

このように、複数の者が共同で特許出願をする場合、その権利の持分や、出願手続、将来の実施権限、実施許諾権限、処分権限等について、あらかじめ契約で定めておくことがしばしば行われます。一般に、このような契約は、共同出願契約と呼ばれます。

合理的意思解釈とは

契約書の規定は、ときにその記載が曖昧で、法的な意味を一義的に特定できない場合があります。そのような場合について、最判昭和51年7月19日集民118号291頁は、「法律行為の解釈にあたっては、当事者の目的、当該法律行為をするに至った事情、慣習及び取引の通念などを斟酌しながら合理的にその意味を明らかにすべきものである」と述べています。

ここでいう「法律行為」とは、契約の要素となる意思表示を指していますので、文書化された契約の内容が争いとなることが多い企業実務においては、ほとんどの場合、「契約書の文言」と置き換えて読んでも差し支えないでしょう。要するに、契約書の記載が曖昧な場合には、必ずしも文言を字面通りに読むのではなく、諸般の事情を考慮して、当事者がどのような意思を有していたかを探求することで合意内容を認定するという考え方です。このような考え方は、一般に「合理的意思解釈」と呼ばれています。

事案の概要

本件は、「結ばない靴ひも」にかかる特許権の共有者間の訴訟で、当該特許権は、訴訟当事者となった2名を加えて計4名の間で共有され、また、その4名の間では、共同出願契約が締結されていました。

当該共同出願契約においては、出願にかかる発明の権利を4名が共有し、かつ、4名の均等の費用負担のもと、4名で共同出願する旨の合意がなされていました。

また、同契約第7条では、本件発明の実施について、協議の後別途に定める旨の合意がなされ、また、同第8条では、他のすべての当事者の同意なくして、本件発明の実施はできない旨の合意がなされていました。さらに、同第13条では、いずれかの当事者が、事前の協議・許可なく上記発明に関する権利を新たに取得し、または生産・販売行為を行った場合には、本件の各権利が剥奪される旨の合意がありました。

その後、本訴訟の原告(控訴人)と、他の3名との関係は悪化し、控訴人は、他の3名の同意を得ることなく、日本国内で独自に実施品の製造販売を開始したところ、他の共有者の1名が、控訴人に対し、本件とは別の特許権侵害訴訟を提起し、その控訴審の中間判決で、特許権侵害が認定されました。

他方、当該特許権侵害訴訟を提起した共有者は、本訴訟の控訴人以外の2名の共有者から同意を得て、やはり日本国内で実施品の製造販売を始めたため、控訴人との間に競争関係が生じていました。そこで、控訴人が原告となり、上記別件訴訟の原告を被告として、同じ特許権の侵害を理由に逆提訴しましたが、これを受訴した東京地方裁判所は、控訴人(原告)の請求を棄却しました。これに対して控訴人が控訴したのが、本判決にかかる訴訟です。

本訴訟の争点は多岐にわたりますが、ここで取り上げるのは、上記の共同出願契約書第13条に基づき、控訴人の権利が「剥奪」され、特許権侵害の主張をすることができないのではないか、という問題です。

判旨

判決は、まず、以下のとおり、上記共同出願契約は、結ばない靴ひもの製造販売にかかる権利関係について取り決めることを目的とした者であり、また、第7条が、本件発明の実施は共有者が協議の上別途定めると規定する一方、第13条は、事前の協議・許可なく本件特許権を実施して生産・販売行為を行った場合、その特許権が剥奪されると定めていることを認定しています。

控訴人,被控訴人Y,B及びAの間において締結された平成25年4月15日付け本件共同出願契約についてみると,同契約は,・・・上記4名の間において,既に平成24年7月から共同事業が開始されている製品のほか,今後,事業を行うものも含めて,結ばない靴ひもの製造販売に関し,その権利関係等について取り決めるため締結されたものであると解される。本件共同出願契約の約定のうち「本件発明の実施」との見出しを有する第7条は,各共有者が協議の上で別途定めるとするものの,「違反行為」との見出しを有する第13条が,事前の協議・許可なく,本件特許権を実施して生産・販売行為を行った場合,その特許権が剥奪されるとしている(本件定め)。

その上で、判決は、上記合意の趣旨は、明示・黙示に合意されていない事業形態について、事前の協議・許可なく特許発明の実施をすることを誓約したものであるとの認定をしました。

そして,上記各約定を併せて読み,本件共同出願契約が締結された上記の経緯や,靴ひもの製造販売に関する共同事業の前提となる権利関係等を確認するための法的合意文書であるという契約書の性格にも照らせば,各共有者は,既に明示又は黙示的に合意されている事業形態(商流)に沿って発明を実施することは,各共有者においてすることができる一方,それと異なる態様での自己実施については,別途の協議,すなわち,事前の協議・許可を要し,これをすることなく,既に取得された特許権の実施として製品の生産・販売行為をすることは許されないとして制約したものと解される。

以上を前提に、判決は、共有権が「剥奪される」との文言について、他の共有者の同意なく特許発明を実施した場合には、共有持分権を喪失することが規定されているとの解釈をしました。これは、「剥奪」との文言について合理的意思解釈を示したものといえます。

また,本件定めの「剥奪される。」との文理からすると,他の共有者の事前の協議・許可を経由することなく,本件各特許権に係る発明を,自ら実施して,製品の生産又は販売をした共有者は,本件各特許権に係る自己の持分権を喪失するものと解するのが相当である。

また、判決は、特許権の得喪について、登録が効力要件となっており、保護期間満了の場合以外、登録が権利消滅の要件とされていることとの関係について、以下のとおり、権利の帰属が問題となる当事者間においては、効力要件主義のもとでも、権利の得喪の効果を認めることに支障はない旨述べました。

なお,特許権の移転,放棄による消滅が登録しなければ効力を生じないことを定めた特許法98条1項は,権利の得喪に伴い権利の帰属が問題となる当事者間において,当該権利の得喪の効果を認めることの支障にはならない。

その結論として、他の共有者の同意を得ずに独自の実施行為をした控訴人は、他の共有者との間では共有持分権が失われていたため、他の共有者に対して特許権を行使することはできず、控訴人の請求を棄却した原判決の結論が維持されました。

コメント

本件は、あくまで個別具体的な事案に対する判断を示したものではありますが、特許権の得喪について、登録を効力要件とする特許法のもと、特定の契約当事者間における特許権の得喪について、効力要件主義が契約の効果を生じる上で障害とならないことを示したものとして参考になるため、紹介します。

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(文責・飯島)