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タグ : 知的財産高等裁判所

Innoventier Legal Update
イノベンティア・リーガル・アップデートでは、有益な法律情報をいち早くピックアップし、分かりやすく解説します。
 

商標「キリンコーン」を結合商標としたうえで分離観察し、商標法4条1項11号に該当するものと判断した知的財産高等裁判所判決について

知的財産高等裁判所第2部は、平成31年3月12日、商標「キリンコーン」について、結合商標に該当するものとして、「キリン」と「コーン」に分離観察したうえで、「引用商標と類似であって、かつ引用商標の指定商品と同一又は類似の本件指定商品について使用するものであるから」「商標法4条1項11号に該当する」と判断をしました。

再度の審決予告の要否は前の審決予告による実質的な訂正の機会の有無によって決まるとした「液晶表示デバイス」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、平成31年3月20日、特許無効審判で審決の予告がなされ、訂正の請求がなされた後に、審決の予告までに主張されていた無効理由に基づいてなお特許を無効にすべきものと判断される場合において、どのような要件のもとで再度審決の予告をする必要があるかという問題について、前の審決の予告において当該無効理由について予告がなされ、実質的に訂正の機会が与えられているかによって判断すべきであるとの考え方を示しました。

共同無効審判請求人の一部を被告とする無効審決取消訴訟を却下した二次元コード事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、平成30年12月18日、複数の請求人によって請求された特許無効審判において無効の審決がなされたのに対し、特許権者が、一部の請求人のみを被告として審決取消訴訟を提起したという事案において、被告とならなかった請求人との関係においては出訴期間の経過によって無効審決が確定し、その結果特許権は初めから存在しなかったものとみなされるから、審決取消訴訟は訴えの利益を欠くとの理由で訴えを却下しました。

冒認出願を無効理由とする審決取消判決(冒認認定)の拘束力についての判断を示した知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、2019年3月6日、冒認出願を認定した審決取消判決の拘束力に従ってなされた特許無効審決を適法とし、その後の取消請求訴訟事件において、当事者が新たな証拠や主張に基づいて冒認出願であるとの審決判断を争うことは、先になされた審決取消判決の拘束力に反するものであり許されないとして、原告の請求を棄却しました。

確認の訴えの却下判決に対する控訴審における訴えの追加的変更申立てを許さなかった知的財産高等裁判所判決について

知的財産高等裁判所は、訴え却下判決に対する控訴審における訴えの追加的変更の申立てについて、特段事情のない限り、相手方の審級の利益を害し、訴訟手続を著しく遅延させるおそれがあることから、許されない、と判断しました。

登録商標「LOG」(標準文字)について、商標登録無効審判請求に対する請求不成立審決を取り消した知的財産高等裁判所判決について

知的財産高等裁判所は、商標法3条1項3号のうち、「役務の質、提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」該当性について、「需要者又は取引者によって、当該商標が、当該指定役務の質又は提供の用に供する物を表示するものであろうと一般に認識され得る」か否かという判断基準を示しました。

原審口頭弁論終結前になされた特許無効審決と同一の無効理由を抗弁とする控訴審主張と時機に後れた攻撃防御方法に関する知財高裁判決について

特許権侵害訴訟においては、提出可能な攻撃防御方法は適時に提出することが重要ですが(適時提出主義)、一定の要件のもとでは、侵害論についての審理終了後であっても、新たな無効抗弁の主張が時機に後れた攻撃防御方法に該当しないと判断されました。

育成者権侵害による損害賠償額を大幅に減額した「しいたけ」事件知財高裁判決について

平成31年3月6日、知的財産高等裁判所第3部は、登録品種であるしいたけが無断譲渡等をされたという育成者権侵害の成否が争われた事案について、原判決を変更して、損害賠償額を大幅に減額し、差止請求を棄却する判決を言い渡しました。差止め及び損害賠償について原判決と異なる判断を示した点で実務上参考になります。

権利不行使の陳述と債務不存在確認の訴えにおける確認の利益に関する「樹脂フィルムの連続製造方法及び装置及び設備」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(高部眞規子裁判長)は、昨年(2018年)12月25日、特許権者が被疑侵害品のメーカーに対して権利を行使しておらず、また、権利行使をしない旨の和解をする意思があると裁判所で述べていても、当該メーカーの顧客に対して米国訴訟が提起されていることや、前提として損害賠償請求権を有していると述べていることを根拠として、メーカーが特許権者に対して提起した債務不存在確認の訴えについて確認の利益を認めました。

特許無効審判で認められなかった訂正にかかる発明の審決取消訴訟における進歩性判断の拘束力に関する導電性材料事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部(大鷹一郎裁判長)は、本年(2019年)2月26日、訂正請求を否定した特許無効審判の審決に対し、審決取消訴訟裁判所が訂正は認められるべきものであるとの判断をし、さらに進んで、原審決ではなされていない訂正発明と引用発明の対比に基づく進歩性判断を行ったという事例において、当該進歩性判断にも特許庁や後訴裁判所に対する拘束力が生じるとの考え方を示しました。

特許無効審判における有効審決確定後の特許無効の抗弁の主張の許否に関する「美肌ローラ」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、昨年(2018年)12月18日、特許無効審判において有効審決が確定した特許について、同一の事実及び同一の証拠に基づき特許権侵害訴訟における特許無効の抗弁ないし権利濫用の抗弁を主張することは、特段の事情がない限り、訴訟上の信義に反し許されないとの判断を示しました。

控訴審における新規性欠如の主張と時機に後れた攻撃防御方法に関する「連続貝係止具とロール状連続貝係止具」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(森義之裁判長)は、本年(2018年)11月26日、具体的事実関係に照らして、控訴審における新規性喪失の主張が時機に後れた攻撃防御方法に該当すると認めつつも、訴訟の完結を遅延させることになると認めるに足りる事情はないとして、被控訴人の主張を却下し、原判決を取り消して被控訴人(一審原告)の請求を棄却しました。

「ステーキの提供システム」は特許法上の発明に該当しないとした特許庁の決定を、知財高裁が取り消した判決について

平成30年10月17日、知財高裁第2部(森義之裁判長)は、「ステーキの提供システム」にかかる発明が特許法上の「発明」に該当するか否かを争点とした特許取消決定取消請求事件において、特許庁による発明該当性なしとの判断に誤りがあったとして、特許庁の決定を取り消しました。本判決は、いわゆる「ビジネス関連発明」の発明該当性の判断事例として興味深い争点を含みますので、紹介致します。

商標登録異議申立てにおける維持決定の取消と取消決定の義務付けを求める訴えを却下した「APPLE WATCH」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、本年(2018年)7月10日、商標登録異議申立てにおける維持決定の取消や、取消決定の義務付け、維持決定に対する不服申立てを制限する商標法43条の3第5項の違憲確認等を求める訴えがいずれも不適法であるとして却下しました。

刊行物公知における刊行物の記載の程度に関するマイコプラズマ・ニューモニエ検出用試験デバイス事件知財高裁判決

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、本年(2018年)11月6日、特許法29条1項3号の「刊行物に記載された発明」は引例から抽出可能な具体的な技術的思想であって、物の発明の場合には刊行物の記載と技術常識から当業者がその物を作れることが必要であるとの規範を示し、その適用を示す判決をしました。

職務発明の相当の対価請求権の消滅時効の起算点と債務承認の成否に関する「ネットワークリアルタイムオークション方法」事件知財高裁判決

知的財産高等裁判所第4部(高部眞規子裁判長)は、平成30年5月14日、職務発明規程のない会社で生じた職務発明について特許を受ける権利を会社が承継した場合の相当の対価請求権について、その消滅時効期間の起算日は特許を受ける権利が会社に承継された日であるとするとともに、会社が、その後に設けられた職務発明規程に基づいて報奨金の支払いを提案したとしても、具体的な事情に照らして消滅時効の中断事由には該当せず、また、交渉決裂後に消滅時効を援用することは信義則に反しないとの判断を示しました。

非充足を理由とする特許権侵害訴訟の棄却判決確定後の訂正審決と再審請求の許否に関する「装飾品鎖状端部の留め具」事件知財高裁決定について

知的財産高等裁判所第2部(森義之裁判長)は、平成30年9月18日、特許権侵害訴訟で敗訴が確定した特許権者が後に訂正審決を得て再審請求をした事案において、特許権者の主張は、特許法104条の4の規定の趣旨にかなわないものとして許されないとの判断を示しました。侵害訴訟では無効主張がなされず、特許権者は非充足で敗訴していました。

出所明示を欠く映像利用と適法引用の成否及び利用許諾拒絶と独禁法の関係が争われた「沖縄 うりずんの雨」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、平成30年8月23日、琉球朝日放送株式会社が著作権を有する映画の著作物(ニュース映像)をドキュメンタリー映画の中で出所明示なく利用することが引用の例外にあたらず、また、許諾の交渉経緯に鑑み、同社が利用を許諾しなかったことは独占禁止法に反するものではないとして、映画制作会社の主張を排斥する判決をしました。

補正における新規事項の追加を理由とする拒絶審決を取り消した染毛剤事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(森義之裁判長)は、平成30年8月22日、拒絶査定不服審判において新規事項の追加を理由に補正を却下し、請求不成立とした拒絶審決を取り消す判決をしました。判決は、ソルダーレジスト事件知財高裁大合議判決に沿って、特許請求の範囲に、明細書に明示的記載がない限定を付加するに際し、第三者が製造販売する特定の製品の構成を技術常識として考慮し、明細書の記載から自明の事項を認定しています。

審決の判断に遺漏はなかったと判示したカプコン対コーエーテクモゲームス審決取消訴訟事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部は、平成30年(2018年)7月19日、カプコンが保有する「遊戯装置、およびその制御方法」の特許の有効性について争われた審決取消訴訟において、審決の判断に遺漏はなく、審決が認定したとおり、特許有効(無効審判請求不成立)と判断しました。

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