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イノベンティア・リーガル・アップデート

タグ : 知的財産高等裁判所

Innoventier Legal Update
イノベンティア・リーガル・アップデートでは、有益な法律情報をいち早くピックアップし、分かりやすく解説します。
 

引用発明に内在する自明の課題を認めるとともに、比較例の解釈に基づいて発明の効果を否定した「ワクチンアジュバントの製造の間の親水性濾過」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(清水響裁判長)は、主引用発明に記載されていない自明の課題を認定して、本件発明の構成は容易想到であるとし、さらに本件効果が顕著なものであったと評価できず、本件発明の効果は予測可能であるとして、本件発明の進歩性を否定し、無効審判不成立とする審決を取り消しました。

「Nepal Tiger」の標準文字商標は商標法3条1項3号にも同法4条1項16号にも該当しないとした「Nepal Tiger」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(東海林保裁判長)は、令和6年(2024年)4月11日、「Nepal Tiger」の文字を標準文字で表してなり、指定商品を第27類「じゅうたん、敷物、マット、ラグ、ヨガ用マット、織物製壁紙、壁掛け(織物製のものを除く。)」とする商標についての商標登録出願にかかる拒絶査定不服審判の審決取消訴訟において、原審決を取り消す判決をしました。同商標出願は、商標法3条1項3号及び同法4条1項16号を理由として拒絶査定を受けていたところ、本判決は、「Nepal Tiger」の語は一体の造語であって、取引者・需要者が指定商品に係る商品の産地、販売地又は品質を表示したものと認識するとはいえず、また、ネパール産のトラ柄のラグ等以外の指定商品に使用されても、商品の品質の誤認を生ずるおそれはないと判断しています。

クレームの数値範囲を備えた実施例がない発明について技術常識に基づきサポート要件の充足を認めた「鋼管杭式桟橋」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(本多知成裁判長)は、令和6年/2024年1月23日、サポート要件違反を理由とする特許庁の無効審決を取り消す判決をしました。特許請求の範囲に記載された数値範囲を備えた実施例が明細書に記載されていない発明について、特許庁はサポート要件に違反するとの判断をしましたが、本判決は、明細書の記載と技術常識に基づいてサポートが認められるとし、無効審決を取り消しました。

製法に明確性要件違反ありとして特許無効審判における不成立審決を取り消した「セレコキシブ組成物」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部(宮坂昌利裁判長)は、令和6年3月18日、特許無効審判の不成立審決に対する取消訴訟において、プロダクトバイプロセスクレームは不可能・非実際的事情の存在が要求されるが、本件においては、不可能・非実際的事情を検討する以前の問題として、「セレコキシブ粒子が、ピンミルのような衝撃式ミルで粉砕されたものであり、」と規定されたプロセス部分「本件ピンミル構成」」の記載が不明確であるとして、特許無効審判における不成立審決を取り消す判決をしました。

平成16年改正特許法における職務発明の相当の対価請求権の消滅時効の起算点及び中断に関する「吹矢の矢」知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(東海林保裁判長)は、令和6年2月1日、平成16年改正特許法の適用を受ける職務発明の相当の対価請求訴訟において、職務発明規程が存在しない会社が就業規則における表彰の規定に基づいて発明者にクオカードを授与した事案において、その授与の時期が消滅時効の起算点となるものではなく、またその授与をもって消滅時効の中断があったとは認められないとの判断をしました。

登録商標が商標法3条1項3号に該当するとして登録無効審判における不成立審決を取り消した「くるんっと前髪カーラー」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(清水響裁判長)は、令和5年(2023年)9月7日、登録商標「くるんっと前髪カーラー」について、指定商品である「頭飾品、ヘアカーラー(電気式のものを除く。)」(第26類)との関係で、商品の品質、効能等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるとし、当該商標登録は、商標法3条1項3号に基づき無効にされるべきものであるとの判断を示しました。

拒絶査定不服審判請求時の補正を却下した拒絶審決を取り消した「経皮的分析物センサを適用するためのアプリケータ」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(清水響裁判長)は、令和6年(2024年)1月22日、拒絶査定不服審判の拒絶審決に対する取消訴訟において、特許庁が、新規事項の追加の禁止及び独立特許要件の違反があるとして拒絶査定不服審判の請求と同時にした補正を却下したのは不相当であるとして、審決を取り消す判決をしました。

競合先の顧客に対する特許権侵害の通知が不正競争行為に該当すると判断した知財高裁判決について

知的財産高等裁判所民事第2部は、令和5年4月27日、競合先の顧客に対し、競合先の製品が特許権を侵害していると通知した控訴人らの行為について、正当な権利行使とは認められず、不正競争防止法違反(虚偽事実告知行為)に該当するとして、被控訴人の差止及び損害賠償請求を認容した原判決を維持しました。

不使用取消審判の取消審決に対する取消訴訟において新たに登録商標の使用の証明をすることの許否に関する「プレジャー」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(東海林保裁判長)は、令和6年(2024年)1月30日、商標登録の不使用取消審判において被請求人である商標権者が登録商標の使用の事実を証明しなければ商標登録は取消しを免れない旨規定する商標法50条2項本文の趣旨について、登録商標の使用の事実をもって商標登録の取消しを免れるための要件としつつ立証責任の分配を図ったものであって、商標権者が審決時において使用の事実を証明したことをもって商標登録の取消しを免れるための要件としたものではないとの考え方を示し、審決取消訴訟において商標の使用の事実が証明されたことを根拠として、不使用取消を認めた審決を取り消しました。

意匠法4条2項の新規性喪失の例外と公開意匠の証明書記載の意匠と引用意匠の同一性に関する「バッグ」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(本多知成裁判長)は、令和5年(2023年)12月25日、意匠法4条2項の新規性喪失の例外の適用を受けるために提出される公開意匠の証明書に記載された意匠は、引用意匠と同一であることを要し、仮に相違するとしても、「物品の性質や機能に照らして実質的にみて同一であると十分理解できる範囲内」の相違であることを要するとの考え方を示しました。

結合商標の類否判断において分離観察が許される第3の類型を示した「VENTURE」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部(宮坂昌利裁判長)は、令和5年11月30日、結合商標の類否が争点となった審決取消訴訟において、結合商標の分離観察が許される場合として、つつみのおひなっこや事件最高裁判決が示した2つの類型に新たな第3の類型を加える規範を示し、それに基づく判断をしました。

親出願の設定登録後の分割出願の可否に関する「ギフト資産管理システム」知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部(宮坂昌利裁判長)は、特許法44条1項2号に基づく分割出願が親出願の設定登録後にあったことを理由に当該分割出願を却下した特許庁の処分について、その取消を求めた出願人の主張に理由がないとする判決をしました。

除くクレームと新規事項の追加に関する熱伝達組成物事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(清水響裁判長)は、令和5年10月5日、特許無効審判において新規事項の追加を理由に認められなかった「除くクレーム」にかかる訂正について、新規事項の追加には当たらないとの判断をし、審決を取り消す判決をしました。

売買契約における特許権等の非侵害保証・補償条項につき売主の義務違反を否定した知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(本多知成裁判長)は、令和5年11月8日、商品売買契約の買主が購入商品につき第三者から特許権に抵触するとの警告を受けた事案において、売買契約上の特許権等の非侵害保証・補償条項の違反を理由として買主が売主に対して損害賠償を請求した訴訟にて、当該規定に基づく具体的な義務の内容を認定し売主に義務違反はないと判断しました。

靴上部と靴底の境界部分に黄色の破線を配する位置商標について、識別力の獲得を否定した知的高等裁判所判決について(Dr.Martens事件)

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、知的財産高等裁判所は、令和5年8月10日、靴の上部と靴底の境界部分に黄色のステッチ状の破線を配する位置商標について、商標法3条1項3号該当、同3条2項非該当とした審決の判断を支持し、原告の審決取消請求を棄却しました。

「マグネットスクリーン装置」の発明につき拡大先願要件違反を認めた知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和5年2月9日、発明の名称を「マグネットスクリーン装置」とする特許に係る特許権侵害訴訟において、拡大先願要件違反により特許は無効とされるべきものとの判決をしました。

政府機関を出願人とする当該政府機関の印章・記号の商標登録の可能性に関する「MALASIA HALAL」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部(菅野雅之裁判長)は、令和5年3月7日、商標の拒絶査定不服審判の不成立審決に対する取消訴訟において、政府機関の監督・証明用の印章・記号として経済産業大臣が指定したものと同一の構成の商標についての同一の商品にかかる登録出願について、当該政府機関が出願人となる場合であっても、商標法4条1項5号に該当するとの判断を示し、原告(出願人)の訴えを棄却しました。

動画配信システムにおけるサーバが日本国外に設置されていた場合において特許権侵害の成立を認めた知財高裁大合議事件判決について

知的財産高等裁判所は、令和5年(2023年)5月26日、「コメント配信システム」とする特許権の侵害の成否が問題となった事案において、原判決を変更し、被疑侵害者の動画配信システムにおけるサーバが日本国外に設置されていた場合において特許権侵害の成立を認める判決をしました。

職務発明の黙示の合意による取得を否定した射出成型装置事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和5年6月22日、職務発明について、会社の求めがあった場合に従業者との協議によって対価を支払うことにより特許を受ける権利を承継する旨の就業規則がある状況において、職務発明を会社が原始取得する旨の黙示の合意があったとは認められず、また、発明完成後に、特許を受ける権利の帰属を原始的に変更することはできないとの判決をしました。

商標法4条1項11号、15号該当性を否定し、審決取消請求を棄却した知的高等裁判所判決について(Julius Tart事件)

知的財産高等裁判所第4部(菅野雅之裁判長)は、令和5年4月25日、商標登録無効審判を不成立とした審決の取消請求において、被告商標(Julius Tart)について、原告主張の商標法4条1項11号、同15号該当性を否定し、原告請求を棄却しました。

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