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イノベンティア・リーガル・アップデート

タグ : 知的財産高等裁判所

Innoventier Legal Update
イノベンティア・リーガル・アップデートでは、有益な法律情報をいち早くピックアップし、分かりやすく解説します。
 

許諾なく社内イントラネット上で大量に共有された新聞記事のうち内容の特定を欠くものの著作物性判断に関する東京新聞事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(大鷹一郎裁判長)は、令和5年6月8日、新聞記事をスキャンした多数の画像データを社内イントラネットで共有していたことから著作権侵害が認められた事案の控訴審判決において、報道を目的とする新聞記事が著作物と認められるためには作成者の何らかの個性が発揮されていれば足りるとする一方、その内容には様々なものがあり得ることから、新聞記事であることをもって直ちに著作物ということはできず、また、著作物であるとしても、新聞社の著作物とは限らないことから、内容を確認できない記事について著作物性を認めることはできないとの判決をしました。

特許権侵害訴訟の提起が紛争の蒸し返しに過ぎないとして信義則違反を理由に訴えを却下した「AQUOS Home」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和5年5月18日、すでに非侵害の確定判決がある製品と実質的に同一の製品について、同一の特許権に基づく損害賠償請求訴訟を提起した事案において、紛争の蒸し返すものであって訴訟上の信義則に反するとし、訴えを却下する判決をしました。

女性用ハイヒールの靴底に赤色を付した商品に関する混同のおそれを否定した「ルブタン」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所は、昨年(令和4年)12月26日、赤い靴底を有する女性用ハイヒールの製造販売等について不正競争防止法違反が主張された事案において、周知表示混同惹起行為は、原告商品との混同のおそれがないとし、著名表示冒用行為は、著名性が認められないとして、原告らの請求を棄却した原判決を維持しました。

他のツイートのスクリーンショットを添付したツイートにつき引用の成立可能性を認め著作権侵害の明白性を否定した知財高裁判決について

知的財産高等裁判所は、令和5年4月13日、ツイッター上の他のツイートのスクリーンショット画像を添付して投稿したツイートについて、著作権法上の引用の要件である公正な慣行に合致し得るものであり、スクリーンショットの形で添付された投稿の著作権を侵害することが明白とは認められない旨の判決を言い渡しました。

「除くクレーム」と訂正要件に関する「ポリエステル樹脂組成物の積層体」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第4部(菅野雅之裁判長)は、令和5年3月9日、特許異議申立ての決定取消訴訟の判決において、いわゆるオープンクレームに対し、引用発明における課題解決手段であって、対象特許の発明特定事項でも願書添付書類で開示されているものでもない事項を「除く」とした訂正について、特許請求の範囲の減縮に該当し、また、新規の技術事項を導入するものではないとする判断を示しました。

単一の色彩のみからなる商標の自他商品役務識別力に関する知的高等裁判所判決について (2)ルブタン商標事件

知的財産高等裁判所第4部(菅野雅之裁判長)は、令和5年1月31日、単一の色彩のみからなる本願商標について、商標法3条2項非該当とした審決判断を支持し、原告の審決取消請求を棄却しました。

単一の色彩のみからなる商標の自他商品役務識別力に関する知的高等裁判所判決について (1)三菱鉛筆商標事件

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和5年1月24日、色彩のみからなる本願商標について、商標法3条1項3号該当かつ3条2項非該当とした審決判断を支持し、原告の審決取消請求を棄却しました。

将来の給付を求める訴えの適法性及び商標・商品等表示にかかる役務の提供主体の認定に関する「2ちゃんねる」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、本年(令和5年)1月26日、インターネット上の電子掲示板「2ちゃんねる」の創設者が、その商標権を侵害され、また、その商品等表示について周知表示誤認惹起行為・著名表示冒用行為・ドメイン名の不正使用行為をされたとして、「2ちゃんねる」の運用をしていた会社を相手取って提起した訴訟において、被告(被控訴人)に損害賠償を命じる判決をしました。

添付した画像がトリミングされて表示されたツイートにつき引用の成立を認め同一性保持権侵害を否定した知財高裁判決について

知的財産高等裁判所は、令和4年10月19日、他者が著作権を有する画像を添付した投稿したツイートについて、著作権法上の引用が成立して適法である旨の判断をするとともに、添付された画像がトリミング等された状態で表示された点につき、やむを得ないと認められる改変であるとして同一性保持権の侵害を否定しました。

商標権行使につき具体的な標章ごとに権利濫用の成否を判断した「守半」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和4年11月30日、明治時代に創業された老舗と関連を有し、それぞれ「守半」の標章を商標として使用してきた2社のうち、同標章について商標登録を受けている一方が他方に対して商標権を行使した場合に、商標登録以前から使用されてきた標章またはそれと社会通念上同一といえる標章の使用を対象とする部分について、権利の濫用に該当するとの判断を示しました。他方、「守半總本舗」のように、「守半」に新たな異なる意味合いを付与した標章の使用については、権利の濫用を否定し、商標権侵害を認めています。

原告商標が商標法4条1項15号に該当することを理由に、拒絶査定不服審判請求を不成立とした審決の判断を支持した知的高等裁判所判決について

知的財産高等裁判所第4部(菅野雅之裁判長)は、令和4年11月21日、引用商標の周知性や本願商標との類似性の程度が高いことなどを理由として、原告商標が商標法4条1項15号に該当するとした審決判断を支持し、原告の請求を棄却しました。

プロダクト・バイ・プロセス(PBP)クレームについて明確性要件違反を認めた「電鋳管の製造方法及び電鋳管」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所(菅野雅之裁判長)は、令和4年11月16日、いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレーム(PBPクレーム)にかかる特許について、特許請求の範囲の記載が、「出願時において当該製造方法により製造される物がどのような構造又は特性を表しているのかが、特許請求の範囲、明細書、図面の記載や技術常識より一義的に明らかな場合」にあたらず、また、「出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情」も存在しないとして、特許無効審判における不成立審決を取り消す判決をしました。

先使用商標の周知性を否定し、商標登録無効審判請求を不成立とした審決判断を支持した知的高等裁判所判決について

知的財産高等裁判所第3部(東海林保裁判長)は、令和4年10月18日、先使用商標が周知性を有することから、商標法4条1項10号、また、同項19号の不登録事由に該当するとした原告の主張を退け、審決取消請求を棄却しました。

特許権侵害に係る損害賠償額につき特許法102条2項3項の重畳適用を認めた知財高裁大合議判決(マッサージ機事件)について

知的財産高等裁判所特別部(大鷹一郎裁判長)は、令和4年10月20日、特許権侵害に基づく損害額の算定に関し、特許法102条2項による損害額の推定が覆滅される部分に対して、特許権者が実施許諾をすることができたと認められる部分については同条3項に基づく実施料相当額の損害賠償を請求することができる旨の大合議判決をしました。

他のツイートのスクリーンショット画像を添付したツイートにつき引用の成立を認め著作権侵害を否定した知財高裁判決について

知的財産高等裁判所は、令和4年11月2日、ツイッター上の他のツイートのスクリーンショットを添付して行ったツイートについて、著作権法上の引用が成立する旨の判断をし、スクリーンショットの形で添付されたツイートのプロフィール画像の著作権を侵害することが明白とはいえないとの判決を言い渡しました。

貸画廊を交互に使用する当事者間における画廊名の商標権行使が権利濫用にあたるとした「GALLERY ART POINT」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部(大鷹一郎裁判長)は、令和4年6月30日、共同で建物を賃借し貸画廊を営んでいた夫婦(後日離婚成立)が、その後の関係悪化により、交互に画廊を使用する旨の合意をしていた状況において、紛争が顕在化した後に画廊の商号を含む標章についてそれぞれ商標権を取得し、相互に権利を行使した事案において、いずれの権利行使も権利の濫用にあたるとする判決をしました。

独占禁止法との抵触を理由に特許権行使が権利濫用に当たるとした原判決を覆した「トナーカートリッジ」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第1部は、令和4年3月29日、電子部品が取り替えられたトナーカートリッジの再生品に対する特許権行使の可否が問題となった事案において、独占禁止法との抵触を理由に電子部品に関する特許権の行使が権利濫用に当たるとした原判決を覆し、権利濫用の成立を否定して、特許権者の請求を一部認容しました。

海賊版サイトへの広告出稿にかかる著作権侵害の幇助行為について著作権法114条1項に基づく損害計算をした漫画村広告事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和4年6月29日、大手海賊版サイト「漫画村」に作品を掲載された漫画家が、漫画村の広告主を募り、広告掲載料を漫画村に提供していた会社らを相手取って損害賠償を求めた訴訟の判決において、漫画村による原告(被控訴人)の漫画作品の送信は公衆送信権の侵害を構成するとの前提のもと、被告ら(控訴人ら)が漫画村に広告を出稿し、広告料を支払った行為は、当該侵害行為に対する過失による幇助行為であるとし、著作権法114条1項に基づいて算出された損害額について賠償を命じました。

知財管理会社による権利行使と特許法102条2項の適用に関する「軟骨下関節表面支持体を備えた骨折固定システム」事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和4年4月20日、グループ企業の知的財産権を管理する外国企業が原告となる特許権の行使について、原告が特許にかかる事業をしていなくとも、親会社の指示管理下で、グループ内の他の事業会社が生産した製品を日本国内の事業会社が販売し、原告が権利行使等を行っているなどの事実をもとに、特許法102条2項を適用し、逸失利益の賠償を命じる判決をしました。

サブコンビネーション発明の要旨認定に関する情報処理装置事件知財高裁判決について

知的財産高等裁判所第3部(東海林保裁判長)は、令和4年2月10日、拒絶査定不服審判の審決取消訴訟において、装置におけるサブコンビネーション発明につき、他のサブコンビネーションとなる装置に関する事項が当該他の装置のみを特定する事項であって、請求項にかかる発明の構造、機能等を特定してない場合は、他の装置に関する事項は、当該請求項にかかる発明を特定するために意味を有しないことになるから、これを除外して当該請求項に係る発明の要旨を認定することが相当であるとの考え方を示し、発明特定事項を限定的に捉えた原審決を維持する判決をしました。

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