タグ : 商標法
商標権侵害の主張の一部が出願経過禁反言により許されないとされた事例
2024年10月25日 裁判例情報(商標・不正競争) 金村 玲奈 (2)
大阪地方裁判所第21民事部(武宮英子裁判長)は、令和5年(2024年)12月14日、被告による商標権侵害が争われた事案につき、原告が出願過程で指定商品・役務の一部を除外して商標の登録を受けた経緯を踏まえ、商標権侵害の主張の一部が禁反言の原則により許されないとの判断を示しました。
結合商標の類否判断において分離観察が許される第3の類型を示した「VENTURE」事件知財高裁判決について
2024年1月10日 裁判例情報(商標・不正競争) 神田 雄 (33)
知的財産高等裁判所第4部(宮坂昌利裁判長)は、令和5年11月30日、結合商標の類否が争点となった審決取消訴訟において、結合商標の分離観察が許される場合として、つつみのおひなっこや事件最高裁判決が示した2つの類型に新たな第3の類型を加える規範を示し、それに基づく判断をしました。
靴上部と靴底の境界部分に黄色の破線を配する位置商標について、識別力の獲得を否定した知的高等裁判所判決について(Dr.Martens事件)
2023年11月10日 裁判例情報(商標・不正競争) 平野 潤 (23)
知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、知的財産高等裁判所は、令和5年8月10日、靴の上部と靴底の境界部分に黄色のステッチ状の破線を配する位置商標について、商標法3条1項3号該当、同3条2項非該当とした審決の判断を支持し、原告の審決取消請求を棄却しました。
令和5年商標法改正~他人の氏名を含む商標の登録要件緩和とコンセント制度の導入~
2023年10月18日 立法・政策動向(知財・IT) 上田 亮祐 (2)
令和5年(2023年)6月7日、商標法の改正を含む「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が可決・成立し、同月14日に公布されました。本改正により、他人の氏名を含む商標登録の要件が緩和されると同時に、先行商標権者の承諾を得て後行商標を登録できる、いわゆる「コンセント制度」が日本にも導入されることになりました。
商標法4条1項11号、15号該当性を否定し、審決取消請求を棄却した知的高等裁判所判決について(Julius Tart事件)
2023年7月6日 裁判例情報(商標・不正競争) 平野 潤 (23)
知的財産高等裁判所第4部(菅野雅之裁判長)は、令和5年4月25日、商標登録無効審判を不成立とした審決の取消請求において、被告商標(Julius Tart)について、原告主張の商標法4条1項11号、同15号該当性を否定し、原告請求を棄却しました。
単一の色彩のみからなる商標の自他商品役務識別力に関する知的高等裁判所判決について (2)ルブタン商標事件
2023年3月28日 裁判例情報(商標・不正競争) 平野 潤 (23)
知的財産高等裁判所第4部(菅野雅之裁判長)は、令和5年1月31日、単一の色彩のみからなる本願商標について、商標法3条2項非該当とした審決判断を支持し、原告の審決取消請求を棄却しました。
単一の色彩のみからなる商標の自他商品役務識別力に関する知的高等裁判所判決について (1)三菱鉛筆商標事件
2023年3月28日 裁判例情報(商標・不正競争) 平野 潤 (23)
知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和5年1月24日、色彩のみからなる本願商標について、商標法3条1項3号該当かつ3条2項非該当とした審決判断を支持し、原告の審決取消請求を棄却しました。
将来の給付を求める訴えの適法性及び商標・商品等表示にかかる役務の提供主体の認定に関する「2ちゃんねる」事件知財高裁判決について
2023年3月24日 裁判例情報(商標・不正競争) 飯島 歩 (129)
知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、本年(令和5年)1月26日、インターネット上の電子掲示板「2ちゃんねる」の創設者が、その商標権を侵害され、また、その商品等表示について周知表示誤認惹起行為・著名表示冒用行為・ドメイン名の不正使用行為をされたとして、「2ちゃんねる」の運用をしていた会社を相手取って提起した訴訟において、被告(被控訴人)に損害賠償を命じる判決をしました。
原告商標が商標法4条1項15号に該当することを理由に、拒絶査定不服審判請求を不成立とした審決の判断を支持した知的高等裁判所判決について
2023年2月13日 裁判例情報(商標・不正競争) 平野 潤 (23)
知的財産高等裁判所第4部(菅野雅之裁判長)は、令和4年11月21日、引用商標の周知性や本願商標との類似性の程度が高いことなどを理由として、原告商標が商標法4条1項15号に該当するとした審決判断を支持し、原告の請求を棄却しました。
先使用商標の周知性を否定し、商標登録無効審判請求を不成立とした審決判断を支持した知的高等裁判所判決について
2023年1月5日 裁判例情報(商標・不正競争) 平野 潤 (23)
知的財産高等裁判所第3部(東海林保裁判長)は、令和4年10月18日、先使用商標が周知性を有することから、商標法4条1項10号、また、同項19号の不登録事由に該当するとした原告の主張を退け、審決取消請求を棄却しました。
商標審決に見る称呼同一商標の類否判断-商標審決アップデート(特別編Vol.3)
2022年9月1日 審決例情報(商標) 前田 幸嗣 (32)
前回、商標審決アップデートの特別編Vol.1として、過去の称呼同一商標関連の審決例をもとに、いくつかの類型に分けて整理、分析し、類否判断の傾向について説明させていただきました。今回のVol.3では、直近の審決例を前回類型分けした類型1~5に当てはめて、更に分析・検討したいと思います。
販売業者による商標の剥離抹消や商品名の変更につき商標権侵害等の成立を否定した「ローラーステッカー」事件大阪高裁判決について
2022年8月10日 裁判例情報(商標・不正競争) 神田 雄 (33)
大阪高等裁判所は、令和4年5月13日、メーカーが製品に付した商品名と別の商品名を卸売業者が付して当該製品を販売した事案において、当該メーカーが付した商品名が商標登録前である場合の不法行為の成立と、商標登録後である場合の商標権侵害の成立を共に否定する判決を言い渡し、製造業者が自ら付した商品名を流通過程で変更されることを防ぐためには、予め商品名の変更を禁止する旨の合意等が必要である旨の原判決の判断を維持しました。
商標審決に見る結合商標の類否判断-商標審決アップデート(特別編Vol.2)
2022年4月19日 審決例情報(商標) 前田 幸嗣 (32)
今回の商標審決アップデートでは、前回のVol.1の称呼同一商標と同様に、過去の結合商標に関する審決例をもとに、いくつかの類型に分けて整理、分析し、最近の結合商標の類否判断の傾向について説明します。
販売業者による商品名の変更につき不法行為及び商標権侵害を否定した「ローラーステッカー」事件大阪地裁判決について
2022年2月25日 裁判例情報(商標・不正競争) 神田 雄 (33)
大阪地方裁判所は、令和3年11月9日、メーカーが製品に付した商品名を卸売業者が変更して当該製品を販売した事案において、当該商品名が商標登録前である場合の不法行為の成立と、商標登録後である場合の商標権侵害の成立を共に否定する判決を言い渡し、製造業者が自ら付した商品名を流通過程で変更されることを防ぐためには、予め商品名の変更を禁止する旨の合意等が必要である旨の判断を示しました。
文字商標における結合商標としての分離観察の可能性及び類否判断に関する「ヒルドマイルド」事件知財高裁判決について
2021年11月29日 裁判例情報(商標・不正競争) 飯島 歩 (129)
知的財産高等裁判所第2部(本多知成裁判長)は、令和3年9月21日、商標登録無効審判の不成立審決に対する取消訴訟において、「ヒルドマイルド」との標準文字商標は、具体的な事実関係のもとで「ヒルド」と「マイルド」からなる結合商標とみることができ、「ヒルド」の部分を分離観察して商標の類否を判断することが許されるとした上で、「ヒルドマイルド」は先行出願にかかる商標「ヒルドイド」と類似すると認定し、両者を非類似とした原審決を取り消しました。
出所混同のおそれを理由に商標登録無効審決を維持した「すしざんまい」事件知財高裁判決について
2021年8月27日 裁判例情報(商標・不正競争) 村上 友紀 (16)
的財産高等裁判所第1部(大鷹一郎裁判長)は、本年(令和3年)4月14日、第30類「すし」を指定商品とする商標「ざんまい」の商標登録無効審判の審決取消訴訟において、同商標は他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるとして、特許庁による商標登録無効審決を支持する判決をしました。
ロシア知的財産法 (6) — 商標権の処分に関する契約の概要と商標権の譲渡及び担保設定
2021年7月15日 外国法制(ロシア)実務ノウハウ(知財・IT) アザマト シャキロフ (10)
ロシアで商標を移転することによって、事業者は、商標の売却から利益を享受したり、事業活動の領域を拡大したり、投資家を誘致したり、企業合併したり、外国企業との取引により税金対策を企画したりする目的がよくみられます。本稿では、その商標を移転することによって、適用されるロシア民法の一般的な規定、商標移転に関する契約種類、契約要件や関連する手続などについて解説します。
立体的形状からなる位置商標の登録を認めなかった「エバラ黄金の味事件」知財高裁判決について
2021年4月28日 裁判例情報(商標・不正競争) 村上 友紀 (16)
知的財産高等裁判所第3部は、令和2年12月15日、焼肉のたれの包装容器に使用されている立体的形状からなる位置商標の登録を認めなかった特許庁の判断を支持しました。本判決では、①商標法3条1項3号該当性(「商品の包装の形状を普通に用いられる方法で表示する標章」)及び②同2項該当性(出所の識別力の獲得)について詳細に検討されています。
商標審決アップデート(Vol.23)一音相違商標の類否に関する審決等
2021年3月25日 審決例情報(商標) 前田 幸嗣 (32)
商標の審査・審判における判断の傾向は時代により変化しますので、その傾向を把握するためには審決や異議の決定を継続的にチェックする必要があります。商標審決アップデートでは、定期的に注目すべき商標審決をピックアップし、情報提供していきます。今回は、一音相違商標の類否の判断において参考になる審決を取り上げております。
令和3年特許法・意匠法・商標法等改正②~海外事業者による模倣品国内持ち込みの違法化~
2021年3月15日 立法・政策動向(知財・IT) 藤田 知美 (31)
令和3年(2021年)3月2日、特許法等の改正について閣議決定されました。本稿では、改正案のうち、海外事業者が模倣品を国内に持ち込む行為の違法化(意匠権・商標権侵害)について解説します。