イノベンティア・リーガル・アップデート アーカイブ

立体商標における使用による自他商品識別力獲得の判断基準等に関するランプシェード事件東京地裁判決について
2019年3月13日 裁判例情報(商標・不正競争) 平野 潤 (23)
東京地方裁判所民事第46部(柴田義昭裁判長)は、商品の形状のみからなる商標について、使用により自他商品識別力を獲得したといえるか否か(商標法3条2項該当性)の判断基準として、「当該商品の形状、使用開始時期及び使用期間、使用地域、商品の販売数量、広告宣伝のされた期間・地域及び規模、当該形状に類似した他の商品の存否などの事情を総合考慮して判断するのが相当である。」との判断を示しました。
権利不行使の陳述と債務不存在確認の訴えにおける確認の利益に関する「樹脂フィルムの連続製造方法及び装置及び設備」事件知財高裁判決について
2019年3月11日 裁判例情報(特許・意匠) 町野 静 (40)
知的財産高等裁判所第3部(高部眞規子裁判長)は、昨年(2018年)12月25日、特許権者が被疑侵害品のメーカーに対して権利を行使しておらず、また、権利行使をしない旨の和解をする意思があると裁判所で述べていても、当該メーカーの顧客に対して米国訴訟が提起されていることや、前提として損害賠償請求権を有していると述べていることを根拠として、メーカーが特許権者に対して提起した債務不存在確認の訴えについて確認の利益を認めました。
特許無効審判で認められなかった訂正にかかる発明の審決取消訴訟における進歩性判断の拘束力に関する導電性材料事件知財高裁判決について
2019年3月4日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (135)
知的財産高等裁判所第4部(大鷹一郎裁判長)は、本年(2019年)2月26日、訂正請求を否定した特許無効審判の審決に対し、審決取消訴訟裁判所が訂正は認められるべきものであるとの判断をし、さらに進んで、原審決ではなされていない訂正発明と引用発明の対比に基づく進歩性判断を行ったという事例において、当該進歩性判断にも特許庁や後訴裁判所に対する拘束力が生じるとの考え方を示しました。
「CHAMPAGNE(シャンパン)」の文字を含む商標が公序良俗に反すると判断した「envie CHAMPAGNE GRAY」事件知財高裁判決について
2019年3月1日 裁判例情報(商標・不正競争) 前田 幸嗣 (32)
知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、平成31年2月6日、「CHAMPAGNE(シャンパン)」の文字を含む商標の商標法第4条第1項第7号該当性が争われた事案について判決をしました。
ロシア知的財産法 (5) – ロシア商標制度の概要(Товарный знак)
2019年2月13日 外国法制(ロシア)実務ノウハウ(知財・IT) アザマト シャキロフ (10)
本稿では、ロシアにおける商標制度について紹介するとともに、一般の事業者が商標(サービスマークを含む)のような識別手段の使用や保護を受ける際に直面する主要な問題について解説します。
AIA施行後も秘密保持義務を課された者への販売がOn-Sale Barの対象となるとしたHelsinn Healthcare米連邦最高裁判決について
2019年2月12日 外国法制(米国)裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (135)
米連邦最高裁判所は、本年(2019年)1月22日、Helsinn Healthcare事件において、リーヒ・スミス米国発明法(AIA)施行後も特許法102条(a)(1)(旧102条(b))の「on sale」の意味は変更されておらず、特許発明の実施品が販売されたときは、その購入者が秘密保持義務を負う者である場合においても、新規性判断における先行技術としての適格性を有するとの判断を示しました。
商標審決アップデート(Vol.13)称呼同一商標の類否、商品の類否に関する審決等
2019年2月7日 審決例情報(商標) 前田 幸嗣 (32)
商標の審査・審判における判断の傾向は時代により変化しますので、その傾向を把握するためには審決や異議の決定を継続的にチェックする必要があります。商標審決アップデートでは、定期的に注目すべき商標審決をピックアップし、情報提供していきます。今回は、称呼同一商標の類否と商品の類否に関する審決を中心に、周知著名商標「ぐるなび」に関する審決等を取り上げております。
働き方改革~改正労働基準法等の施行が迫る(2019年4月)
2019年1月25日 立法・政策動向(労働法) 平野 潤 (23)
「働き方改革関連法案」のうち、改正された労働基準法等が2019年4月1日に施行されます。長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等を目的として、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の取得義務化、勤務間インターバル制度の導入促進や高度プロフェッショナル制度の創設など、従来の規制・制度の見直し・強化にとどまらず、新たな制度の創設を含む大幅な法改正となります。
特許無効審判における有効審決確定後の特許無効の抗弁の主張の許否に関する「美肌ローラ」事件知財高裁判決について
2019年1月9日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (135)
知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、昨年(2018年)12月18日、特許無効審判において有効審決が確定した特許について、同一の事実及び同一の証拠に基づき特許権侵害訴訟における特許無効の抗弁ないし権利濫用の抗弁を主張することは、特段の事情がない限り、訴訟上の信義に反し許されないとの判断を示しました。
サブコンビネーション発明にかかる特許権の間接侵害を認めた「薬剤分包用ロールペーパ」事件大阪地裁判決について
2019年1月8日 裁判例情報(特許・意匠) 町野 静 (40)
大阪地方裁判所第21民事部(谷有恒裁判長)は、平成30年12月18日、サブコンビネーション発明にかかる特許権の間接侵害を認める判決をしました。同判決は、他のサブコンビネーションに「用いられ」との記載が用途による限定をしたものでなく、また、間接侵害について、実質的な観点から「のみ」要件の充否の認定を行っています。異なる2つの観点から用途について判断を示した判決として参考になります。
控訴審における新規性欠如の主張と時機に後れた攻撃防御方法に関する「連続貝係止具とロール状連続貝係止具」事件知財高裁判決について
2018年12月27日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (135)
知的財産高等裁判所第2部(森義之裁判長)は、本年(2018年)11月26日、具体的事実関係に照らして、控訴審における新規性喪失の主張が時機に後れた攻撃防御方法に該当すると認めつつも、訴訟の完結を遅延させることになると認めるに足りる事情はないとして、被控訴人の主張を却下し、原判決を取り消して被控訴人(一審原告)の請求を棄却しました。
商標審決アップデート(Vol.12)結合商標の類否に関する審決等
2018年12月26日 審決例情報(商標) 前田 幸嗣 (32)
商標の審査・審判における判断の傾向は時代により変化しますので、その傾向を把握するためには審決や異議の決定を継続的にチェックする必要があります。商標審決アップデートでは、定期的に注目すべき商標審決をピックアップし、情報提供していきます。今回は、商品の一般名称とその他の文字を組み合わせた結合商標の類否に関する審決を中心に取り上げております。
ソフトウェアの画面が不正競争防止法2条1項3号の「商品の形態」に該当し得ることを認めた「教育用教材ソフト」事件東京地裁判決について
2018年12月25日 裁判例情報(商標・不正競争) 溝上 武尊 (32)
平成30年8月17日、東京地方裁判所民事第40部は、教育用教材に関するソフトウェアに対する不正競争防止法上の商品形態模倣行為の成否が問題となった事案について、判決を言い渡しました。請求棄却判決ではあるものの、東京地裁は、ソフトウェアの画面が同法2条1項3号の「商品の形態」に該当し得ることを明言しました。
「ステーキの提供システム」は特許法上の発明に該当しないとした特許庁の決定を、知財高裁が取り消した判決について
2018年12月18日 裁判例情報(特許・意匠) 川上 桂子 (1)
平成30年10月17日、知財高裁第2部(森義之裁判長)は、「ステーキの提供システム」にかかる発明が特許法上の「発明」に該当するか否かを争点とした特許取消決定取消請求事件において、特許庁による発明該当性なしとの判断に誤りがあったとして、特許庁の決定を取り消しました。本判決は、いわゆる「ビジネス関連発明」の発明該当性の判断事例として興味深い争点を含みますので、紹介致します。
商標登録異議申立てにおける維持決定の取消と取消決定の義務付けを求める訴えを却下した「APPLE WATCH」事件知財高裁判決について
2018年12月17日 裁判例情報(商標・不正競争)裁判例情報(憲法・行政法) 飯島 歩 (135)
知的財産高等裁判所第1部(高部眞規子裁判長)は、本年(2018年)7月10日、商標登録異議申立てにおける維持決定の取消や、取消決定の義務付け、維持決定に対する不服申立てを制限する商標法43条の3第5項の違憲確認等を求める訴えがいずれも不適法であるとして却下しました。
営業秘密領得罪における図利加害目的の認定に関する日産自動車営業秘密漏洩事件最高裁決定について
2018年12月12日 裁判例情報(商標・不正競争) 飯島 歩 (135)
最高裁判所第二小法廷(山本庸幸裁判長)は、本年(平成30年)12月3日、日産自動車営業秘密漏洩事件の刑事事件において、営業秘密領得罪を規定する不正競争防止法21条1項3号の「不正の利益を得る目的」の認定を示しました。
刊行物公知における刊行物の記載の程度に関するマイコプラズマ・ニューモニエ検出用試験デバイス事件知財高裁判決
2018年11月30日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (135)
知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、本年(2018年)11月6日、特許法29条1項3号の「刊行物に記載された発明」は引例から抽出可能な具体的な技術的思想であって、物の発明の場合には刊行物の記載と技術常識から当業者がその物を作れることが必要であるとの規範を示し、その適用を示す判決をしました。
商標審決アップデート(Vol.11)商標の識別力に関する審決等
2018年11月19日 審決例情報(商標) 前田 幸嗣 (32)
商標の審査・審判における判断の傾向は時代により変化しますので、その傾向を把握するためには審決や異議の決定を継続的にチェックする必要があります。商標審決アップデートでは、定期的に注目すべき商標審決をピックアップし、情報提供していきます。今回は、3条拒絶(識別力を有しないことを理由とする拒絶)に関する異議の決定及び審決を取り上げております。
職務発明の相当の対価請求権の消滅時効の起算点と債務承認の成否に関する「ネットワークリアルタイムオークション方法」事件知財高裁判決
2018年11月15日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (135)
知的財産高等裁判所第4部(高部眞規子裁判長)は、平成30年5月14日、職務発明規程のない会社で生じた職務発明について特許を受ける権利を会社が承継した場合の相当の対価請求権について、その消滅時効期間の起算日は特許を受ける権利が会社に承継された日であるとするとともに、会社が、その後に設けられた職務発明規程に基づいて報奨金の支払いを提案したとしても、具体的な事情に照らして消滅時効の中断事由には該当せず、また、交渉決裂後に消滅時効を援用することは信義則に反しないとの判断を示しました。
テレビゲームの名称及びキャラクターに関する不正競争行為を認めた「マリカー」事件東京地裁判決について
2018年11月7日 裁判例情報(商標・不正競争) 溝上 武尊 (32)
平成30年9月27日、東京地方裁判所民事第46部は、テレビゲームの名称及びキャラクターに関する不正競争行為及び著作権侵害行為が問題となった事案について、被告会社の行為の一部に不正競争防止法上の周知表示混同惹起行為及びドメイン名に係る不正行為の成立を認め、各使用行為の差止め及び1000万円の損害賠償を命じました。









