商標の審査・審判における判断の傾向は時代により変化しますので、その傾向を把握するためには審決や異議の決定を継続的にチェックする必要があります。商標審決アップデートでは、定期的に注目すべき商標審決をピックアップし、情報提供していきます。 
 
今回は、キャッチフレーズに関する審決を中心に、その他商標又は商品の類否に関する審決を取り上げております。

不服2017-12018(燗して冴える/キャッチフレーズの識別力)

審決分類

商標法第3条第1項第6号(その他識別力のないもの)

商標

本願商標:燗して冴える

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

本願商標は、自他商品の識別機能を持たない、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきであり、商標法第3条第1項第6号に該当する。

審決等の要点

本願商標は、「燗して冴える」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、その構成文字全体が一連で辞書類に掲載されている語句であるとは認められないものの、構成中、前半の「燗して」の文字が「酒をあたためる。燗をつける。」を意味する動詞「燗する」の連用形「し」に接続詞「て」を付した語として、後半の「冴える」の文字が「(ア)月や星が寒い夜空にくっきりとみえる。(イ)楽器の澄んだ音色がはっきり聞こえる。(ウ)色がくっきり鮮やかに感じられる。また、顔色や表情が生き生きとする。(エ)意識がはっきりする。(オ)腕前や技術が際立って鮮やかである。(カ)にぎやかに盛り上がる。(キ)寒さがきびしくなる。冷える。」(いずれも株式会社三省堂発行「大辞林第三版」)を意味する語として、いずれも一般に広く親しまれた二つの語を組み合わせてなるものと容易に理解させるものであり、それぞれの意味合いから、全体として「酒を燗することで、(味が)際立つ」ほどの意味合いを容易に看取させるものである。

そして、原審説示のように、本願の指定商品を取り扱う業界において、「酒の燗をすると(味が)際立つ」程の意味合いの宣伝広告として、「燗して冴える」、「燗で冴える」及び「お燗で冴える」などの表示が、取引上普通に用いられている事実がある。

そうすると、本願商標に接する指定商品の需要者は、その構成文字の意味合い、本願指定商品を取り扱う業界の宣伝広告における「燗して冴える」等の文字の使用に関する取引の実情からすれば、本願商標から「酒の燗をすると(味が)際立つ」程度の意味合いの商品の宣伝広告を表示したものとしてのみ認識、理解するというべきであって、このことは、当合議体による職権調査においても裏付けられるところである。加えて、本願商標は標準文字で表してなるものであって、その態様上顕著な特徴は認められない。

コメント

本願の指定商品を取り扱う業界において、本願商標とつづりがすべて同一の文字の使用は限られていたようですが、審決では、「燗」及び「冴える」の語を使用して宣伝文句とすることが普通に行われている実情を考慮して、本願商標に接する需要者は、単に商品の宣伝広告を表示したものとしてのみ認識、理解すると判断されております。

不服2017-7863(世界の命を、技術で守りたい。/キャッチフレーズの識別力)

審決分類

商標法第3条第1項第6号(その他識別力のないもの)

商標

本願商標:世界の命を、技術で守りたい。

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標というべきであり、商標法第3条第1項第6号に該当する。

審決等の要点

本願商標は、「世界の命を、技術で守りたい。」の文字を標準文字で表してなるところ、それぞれの構成文字は意味合いの理解が容易な語及び句読点を組みあわせてなるもの、すなわち、「地球上の人間社会のすべて。世の中。」の意味を有する「世界」の語及び「寿命。一生。」の意味を有する「命」の語を、場所を示す格助詞「の」でつなぎ、対象を示す格助詞「を」を語尾に配置した「世界の命を」の文字と、「科学を実地に応用して自然の事物を改変・加工し、人間生活に役立てるわざ。」の意味を有する「技術」の語及び「保護する。」の意味を有する「守る」の語尾に願望を示す助動詞「たい」を結合させ活用変化した「守りたい」の語を、手段を示す格助詞「で」でつないだ「技術で守りたい」の文字を、両文字の間に読点を配置し、語尾には句点を配してなるものである(広辞苑第6版)。

そうすると、本願商標全体としては、その構成中の句読点の存在が、全体として記述的な文章を表してなるものとの印象を与えることもあり、それぞれの構成文字の語義に相応して、「技術をもって、世界にある命を守る」という程度の願望を表した記述的な文章であると容易に認識、理解できるものである。

近年、企業活動に際して、企業理念や経営方針等を策定し、企業の宣伝広告の一環として、ウェブサイトやインタビュー記事などにおいて、会社や経営者からのメッセージとして表明することは一般的に行われており、中でも、人の「命」を「守る」ことを企業理念、経営方針、活動方針等として採択する事例もあり、例えば「この世界のあらゆる命を守る活動を行います。」、「より多くの命を守る」、「ひとの命を守る。」、「ドライバーの命を守りたい。」、「お客様や第三者の命を守る」、「船乗りの命を守りたい」、「大切な人の命を守りたい」、「大切な命を守る」、「・・・人と車と企業の『命』を守ります」等のような表現が採択されている。加えて、上記のような理念や方針を、「技術」によって実現を目指したとする表現を採用した事例もあり、例えば「生命を守る技術・・・」、「私達の技術は命を守るもの・・・」、「・・・新技術で『人と地球のいのちを守る』」、「人の命を守る技術とは」等のような表現が採択されている。そうすると、「命」、「技術」及び「守る」の語は、企業の経営理念や経営方針等を表示するために類型的に採用されているものであり、それらの語を結合して、技術をもって人などの命を守ることを企業理念や経営方針として表現することも、少なからず行われている実情がうかがえる。

上記を踏まえると、本願商標は、「技術をもって、世界にある命を守る」という程度の願望を表した記述的な文章であり、その構成文字である「命」、「技術」及び「守る」の語は、企業の経営理念や経営方針等を表示するために類型的に採用されている実情があり、請求人による本願商標と関連した広告宣伝も、本願商標をして使用による識別性を獲得したというに十分ではないから、これに接する需要者は、自他商品役務の識別標識として認識するのではなく、上記意味合いを有する企業理念や経営方針等を表示した一類型として認識、理解するというべきである。

コメント

上記「燗して冴える」の事案とも共通しますが、本願商標を構成する各文字が企業理念や経営方針を表示するために採用、使用されている実情にあることが考慮されて、本願商標は、企業理念や経営方針等を表示した一類型として認識、理解されると判断されております。なお、同時期に出願された商標として「この惑星を、技術で守りたい。」「次の世代に、明るい未来を届けたい。」がありますが、これらも同様の理由により拒絶されております。

不服2017-9945(お客様第一主義の/キャッチフレーズの識別力)

審決分類

商標法第3条第1項第6号(その他識別力のないもの)

商標

本願商標:お客様第一主義の

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。

審決等の要点

本願商標は、「お客様第一主義の」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「お客様第一主義」の文字は、「お客様を第一(最も大切)にする主義」ほどの意味合いを理解させるものであり、また、「の」の文字は、「後に付く体言が省略され、体言に準じて使われることもある。後の体言が省略されたもの。」等の意味を有する助詞である(広辞苑第6版参照)。

そして、別掲で摘示した事実によれば、「お客様第一主義」の文字が、様々な業界において、企業の経営理念や目標等を表す標語(キャッチフレーズ、スローガン)として使用されている実情が認められる。

そうすると、本願商標は、企業の経営理念や目標等を表す標語(キャッチフレーズ、スローガン)として広く使用されている「お客様第一主義」の文字と、体言の省略ないしは代用として使用される「の」の文字からなるものであるから、これに接する需要者は、構成全体として「お客様を第一(最も大切)にする主義に基づき提供されるもの(役務等)」ほどの意味合いを表したものとして理解するというべきである。

してみれば、本願商標をその指定役務について使用すると、これに接した需要者は、当該役務の提供者の経営理念等をうたった標語の一種として認識、理解するにとどまるものである。また、本願商標は標準文字で表してなるから、その態様上顕著な特徴は認められない。そうすると、本願商標は、役務の出所識別標識としては機能しないというのが相当である。

コメント

請求人は、本願商標は「お客様第一主義」ではなく「お客様第一主義の」という構成からなるため、原査定で述べられているような意味合いを容易に理解できない旨主張しましたが、審決でも標語の一種として認識、理解されると判断されております。なお、同時期に出願された商標として「サービス第一」「すべてはお客様の「ありがとう!」のために」がありますが、これらも同様の理由により拒絶されております。

不服2017-9145(Plus Care/結合商標の類否)

審決分類

商標法第4条第1項第11号(同一又は類似)

商標

本願商標:
引用商標:プラスケア(標準文字)

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

本願商標は、引用商標と類似の商標であって、かつ、引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

審決等の要点

本願商標の構成中、「New」の文字は「新しい」の意味を、「スーパーガード」の片仮名は、外来語の「スーパー」及び「ガード」の語を結合したものであって、「とびぬけて保護する」程の意味を、「マスク」の片仮名は、本願商標の指定商品である「衛生マスク」の意味を認識させるものであり、全体として「新しい、とびぬけて保護する衛生マスク」程の意味合いを認識させるものであるから、「衛生マスク」を取り扱う分野において、その取引者、需要者は、自他商品の識別力がないか、又は、極めて弱いものと判断するのが相当であり、本願商標の構成中の左上段に、十字と楕円形とを組み合わせた図形の内部から外部にはみ出るように「Plus」及び「Care」の欧文字を上下二段に配してなる部分が商品の出所識別標識として認識されるものというのが相当である。さらに、当該十字と楕円形とを組み合わせた図形の内部から外部にはみ出るように「Plus」及び「Care」の欧文字を上下二段に配してなる部分について、その文字部分が比較的平易な英語「Plus」及び「Care」の語であり、看者の注意を引くものといえるから、十字と楕円形とを組み合わせた図形の配置や大きさなどを考慮しても、「Plus」及び「Care」の文字部分が商品の出所識別標識として、最も強く支配的な印象を与えるものといえる。

そうすると、「Plus」及び「Care」の文字部分は、まとまりよく一体的に表されており、これより一連に「プラスケア」の称呼をも生じるものである。また、「Plus」の文字は「加える」の意味を、「Care」の文字は「世話」の意味を有する我が国において一般に親しまれた平易な英語であり、「世話を加える」程の観念を生じるものである。

本願商標と引用商標との類否について検討するに、本願商標と引用商標とは、外観については、その全体の構成において相違するものの、称呼については、本願商標から生じる「プラスケア」の称呼と引用商標から生じる「プラスケア」の称呼は同一であり、観念については、「世話を加える」程の観念を共通にするものである。

そうすると、本願商標と引用商標とは、外観における差異が、称呼、観念の同一性からくる紛らわしさを凌駕して、これらを明らかに識別することができるものともいい難く、互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。

コメント

本願商標の構成中「Plus」及び「Care」の文字部分は、構成全体において小さく表示されておりますが、他の文字部分が、いずれも自他商品識別力を有しないか、又は、極めて弱いものであることが影響して、当該「Plus」及び「Care」の文字部分が商品の出所識別標識として、最も強く支配的な印象を与えると判断され、引用商標に類似するという結論となったものと思われます。

不服2017-13602(天神いなり/結合商標の類否)

審決分類

商標法第4条第1項第11号(同一又は類似)

商標

本願商標:
引用商標:天神(標準文字)

結論

原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。

本願商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

審決等の要点

本願商標は、「天神いなり」の文字が同じ書体、大きさ及び間隔をもって表され、視覚上、まとまりある一体的なものとして看取される外観を有しており、その構成全体から生じる「テンジンイナリ」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。また、本願商標を構成する「天神」の文字と「いなり」の文字とは、いずれも多義的な既成の語であり、両語の組合せ全体から特定の意味合いを想起、理解させるとはいい難い。そうすると、本願商標は、その構成態様及び称呼からすれば、その構成全体をもって、一連一体のものとして看取、把握されるものであり、また、その構成全体から特定の観念を生じないものとみるのが相当である。してみると、本願商標は、その構成全体に相応して、「テンジンイナリ」の称呼のみを生じるものであり、特定の観念を生じないものである。

引用商標は、「天神」の文字を標準文字で表してなるものであり、「テンジン」の称呼を生じ、「天の神。菅原道真の神号。天満宮。」等の観念を生じるものである。

本願商標と引用商標とは、「いなり」の文字の有無という明らかな差異があるから、外観上、相紛れるおそれはない。また、本願商標から生じる「テンジンイナリ」の称呼と引用商標から生じる「テンジン」の称呼とは、「イナリ」の音の有無という明らかな差異があるから、両商標は、称呼上、相紛れるおそれはない。さらに、本願商標は特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は「天の神。菅原道真の神号。天満宮。」等の観念を生じるものであるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはない。

したがって、本願商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれはないから、非類似の商標というべきである。

コメント

原査定では、本願商標の指定商品は第30類「いなりずし、いなりずし弁当」であり、その構成中「いなり」の文字が自他商品識別力を有しないか、又は、極めて弱いものであるため、引用商標に類似すると判断されましたが、審決では、本願商標は一連一体のものとして看取、把握されると判断され、非類似の結論となっております。「いなり」の文字が多義的な語であることが判断に影響を与えたものと思われます。 

不服2017-18042(MOWLAS/称呼同一商標の類否)

審決分類

商標法第4条第1項第11号(同一又は類似)

商標

本願商標:MOWLAS(標準文字)
引用商標:

結論

原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。

本願商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。

審決等の要点

本願商標は、「MOWLAS」の欧文字からなり、該文字は、一般的な辞書に掲載がなく、また、特定の意味合いを有する語として知られているとも認められないものであるから、これを称呼する場合には、我が国において親しまれたローマ字の読み又は英語における発音に倣って称呼されるとみるのが相当である。そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「モウラス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

本願商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、本願商標は欧文字のみを一段に表してなるのに対し、引用商標は片仮名と欧文字を二段に表してなるものであり、また、それぞれの構成文字の書体が相違することから、その印象が大きく異なり、さらに、本願商標と引用商標の欧文字部分を比較してみても、両者は、語頭の「MO」と語尾の「S」の文字を共通にするものの、中間部において「WLA」と「HRU」の3文字の差異を有し、その差異が共に6文字という比較的短い文字構成からなる両者の視覚的印象に与える影響は大きいことから、両商標は、外観上、明確に区別し得るものである。

次に、称呼においては、本願商標から生じる「モウラス」の称呼と引用商標から生じる「モーラス」の称呼を比較すると、両者は第2音において「ウ」と長音の差異を有するものの、「ウ」の音がその前音「モ」と二重母音の関係となり、長音のように発音されることから、両商標は、称呼上、相紛れるおそれがあるものである。

そして、観念においては、本願商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両商標は、観念上、比較することができない。

そうすると、本願商標と引用商標とは、称呼において相紛れるおそれがあるとしても、観念において比較することができず、外観において明確に区別できるものであり、その外観における相違が顕著であることから、称呼の類似性が外観における差異を凌駕するものとはいい難く、外観、称呼及び観念を総合して考察すると、両商標は、役務の出所の誤認、混同を生ずるおそれのないものであり、全体として非類似の商標というのが相当である。

コメント

本願商標と引用商標から生じる称呼は、「モウラス」と「モーラス」であり、ほぼ同一の称呼といえますが、それぞれの欧文字を構成する六つのローマ字のうち半分に当たる三つが異なり、外観における相違が顕著であるとの理由から、両商標は非類似であると判断されております。

不服2017-650031(RITUAL/商品の類否)

審決分類

商標法第4条第1項第11号(同一又は類似)

商標

本願商標:RITUAL
引用商標1:RITUALS
引用商標2:

結論

原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。

本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と類似するとはいえないものであるから、本願商標と引用商標とが、称呼において類似する商標であるとしても、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないため、本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

審決等の要点

本願商標と引用商標の類否について検討すると、本願商標は、「RITUAL」の欧文字を、引用商標1は、「RITUALS」の欧文字を表してなるものであるから、両商標は、語尾における「S」の文字の有無の差異を有し、さほど冗長とはいえない6文字と7文字の構成にあっては、当該文字の有無は容易に認識することができ、外観において相紛れるおそれはない。また、引用商標2は、「RITUALS・・・」の欧文字及び記号を表してなるものであるから、本願商標とは「S・・・」の有無の差異を有し、外観上区別し得るものである。次に、本願商標から生じる「リチュアル」の称呼と、引用商標1及び引用商標2から生じる「リチュアルズ」の称呼とは、語頭における「リチュアル」の音を共通にし、比較的聴取しがたい語尾における「ズ」の音の有無という差異を有するにすぎないものであるから、語調語感が近似し、称呼において、相紛れるおそれがあるものと認められる。また、本願商標と引用商標とは、いずれも特定の観念が生じないものであるから、観念において比較することができない。そうすると、本願商標と引用商標とは、称呼において類似する商標と認められる。

本願商標の指定商品は、「Field hockey sticks; field hockey gloves; shin guards for field hockey; field hockey balls; grips for field hockey sticks; bags adapted for field hockey sticks; goal keeping equipment for use in hockey.」(仮訳:フィールドホッケー用スティック、フィールドホッケー用グローブ、フィールドホッケー用すね当て、フィールドホッケー用ボール、フィールドホッケー用スティック用グリップ、フィールドホッケー用スティック専用バッグ、ホッケー用のゴール守備装置)であり、当該商品はフィールドホッケーの競技において使用される用具であって、主にフィールドホッケー専門のメーカーにより製造され、フィールドホッケー用具を取り扱う専門店により取り扱われる商品である。そして、その需要者は、フィールドホッケー競技を行う者といえる。

引用商標1の指定商品中、第25類「運動用特殊被服、運動用特殊靴」及び引用商標2の指定商品又は指定役務中、第25類「footwear」に含まれる「運動用特殊靴」は、スポーツの種類によって用途が限定され、競技を行う者が身につけて使用する特殊な衣服及び靴類であって、スポーツ用品メーカーにより製造され、各種の運動用品を取り扱う小売店又は百貨店やショッピングセンターなどにおいて販売されるものである。そして、その需要者は、それぞれのスポーツ競技を行う者といえる。

本願商標の指定商品と引用商標の上記指定商品とは、例え両者がスポーツ競技に使用される商品であるとしても、上記のとおり、本願商標の指定商品は、フィールドホッケーの競技において使用される用具であって、引用商標1の第25類「運動用特殊被服、運動用特殊靴」及び引用商標2の指定商品又は指定役務中、第25類「footwear」に含まれる「運動用特殊靴」とは、用途が明確に異なり、その商品の生産部門、販売場所及び需要者も異なる商品といえるから、両商品は、類似するとはいえないものである。

コメント

本願商標の指定商品(フィールドホッケーの競技において使用される用具)と引用商標の指定商品中の「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」とは、類似商品・役務審査基準において、いずれも「24C01」の類似群コードが付与される類似商品とされておりますが、審決では、用途が明確に異なり、商品の生産部門、販売部門及び需要者も異なるため、両商品は類似しないと判断しております。同じ類似群コードが付与されている商品は、審査において類似と推定されますが、本件のように用途、生産部門、需要者等が明確に異なる場合、類似の推定が覆され、非類似と判断されることがあります。

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(文責・前田)