知的財産高等裁判所は、本年(平成28年)11月8日、プラバスタチン事件最高裁判決(最判平成27年6月5日民集69巻4号700頁)の射程につき、「当該製造方法が当該物のどのような構造又は特性を表しているのかが,特許請求の範囲,明細書,図面の記載や技術常識から明確であれば,あえて特許法36条6項2号との関係で問題とすべきプロダクト・バイ・プロセス・クレームに当たるとみる必要はない」との判断を示しました(判決全文)。

プラバスタチン事件最高裁判決は、プロダクト・バイ・プロセス・クレームについて、いわゆる物同一性説を採用しつつ、明確性要件を充足するためには、出願時において当該物をその構造または特性により直接特定することが不可能であるか、およそ実際的でないという事情が存在することを要するとしたもので、実務に混乱を招いていました。

本判決は、この最高裁判決の射程を限定するものである点において、今後の特許実務に影響を与えることが予想されます。

ポイント

判示事項

  • いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの場合において,当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは,出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られると解するのが相当である。
  • しかしながら,前記最高裁判決が,前記事情がない限り明確性要件違反になるとした趣旨は,プロダクト・バイ・プロセス・クレームの技術的範囲は,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として確定されるが,そのような特許請求の範囲の記載は,一般的には,当該製造方法が当該物のどのような構造又は特性を表しているのかが不明であり,権利範囲についての予測可能性を奪う結果となることから,これを無制約に許すのではなく,前記事情が存するときに限って認めるとした点にある。
  • そうすると,特許請求の範囲に物の製造方法が記載されている場合であっても,前記の一般的な場合と異なり,当該製造方法が当該物のどのような構造又は特性を表しているのかが,特許請求の範囲,明細書,図面の記載や技術常識から明確であれば,あえて特許法36条6項2号との関係で問題とすべきプロダクト・バイ・プロセス・クレームに当たるとみる必要はない。

判決概要

裁判所 知的財産高等裁判所第3部
判決日 平成28年11月8日
事件番号 平成28年(行ケ)第10025号 審決取消請求事件
原審決 特許庁平成27年12月7日
不服2014-26857号
出願 特願2011-87735号
「ロール苗搭載樋付田植機と内部導光ロール苗。」
裁判官 裁判長裁判官 鶴 岡 稔 彦
裁判官 大 西 勝 滋
裁判官 寺 田 利 彦

解説

明確性要件

明確性要件(特許法36条6項2号)とは、特許出願に際し、願書に添付する特許請求の範囲の記載に関する要件のひとつで、発明が明確に記載されていることを求めるものです。この要件を満たさない場合、出願は拒絶され、すでに特許になっている場合でも、無効理由とされます。

特許法36条6項2号は、以下のとおり定めています。

6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 略
二 特許を受けようとする発明が明確であること。
三 略
四 略

発明のカテゴリー

特許法2条3項は、特許発明を、(1)物の発明、(2)方法の発明、(3)物を生産する方法の発明の3つのカテゴリーに分け、個別に権利が及ぶ実施行為を定めています。

この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
一  物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
二  方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為
三  物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為

請求項の記載と発明のカテゴリー

特許発明がどのカテゴリーにあたるかは、請求項の記載によって決まります。
例えば、請求項の記載が、「文字盤と長針と短針と秒針からなる時計」であれば、「時計」という物の発明にあたりますし、「鍋に水と生卵を入れ、所定時間加熱することによるゆで卵の生産方法」であれば、生産方法の発明となります。

プロダクト・バイ・プロセス・クレームとは

プロダクト・バイ・プロセス・クレームとは、物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合をいいます。物(product)が製法によって(by process)特定されるため、「プロダクト・バイ・プロセス(product by process)」クレームと呼ばれます。
例えば、上記のゆで卵のクレームに少し手を加え、「鍋に水と生卵を入れ、所定時間加熱することによって生産されるゆで卵」とすれば、生産方法が記載されてはいるものの、「ゆで卵」という物の発明となります。

実際のプロダクト・バイ・プロセス・クレームの例

実際の例として、プラバスタチン事件で権利侵害が争われた特許の請求項1は、以下のとおり記載されていました。

次の段階:
a)プラバスタチンの濃縮有機溶液を形成し,
b)そのアンモニウム塩としてプラバスタチンを沈殿し,
c)再結晶化によって当該アンモニウム塩を精製し,
d)当該アンモニウム塩をプラバスタチンナトリウムに置き換え,そして
e)プラバスタチンナトリウム単離すること,
を含んで成る方法によって製造される,プラバスタチンラクトンの混入量が0.5重量%未満であり,エピプラバの混入量が0.2重量%未満であるプラバスタチンナトリウム。

この請求項のうち、「次の段階」としてaからeまで列挙されているのは、経時的な製造ステップですので、生産方法の発明事項が記載されているといえます。

他方、この請求項によって特定される特許発明は、これらのステップ「を含んで成る方法によって製造される・・・プラバスタチンナトリウム」という「物」ですので、発明のカテゴリーとしては、物の発明に該当することとなります。

プロダクト・バイ・プロセスをめぐる論点

プロダクト・バイ・プロセス・クレームをめぐっては、審査及び権利行使のそれぞれにおいて、記載された製法で製造されているかどうかと関係なく物の同一性を基準に判断するのか(物同一性説)、当該製法で生産された物を基準とするのか(製法限定説)が争われていました。

物同一性説に立てば、審査段階では、製法にかかわらず、出願時に同一の物があれば新規性が否定されますが、権利行使段階では、被告の製品がクレームに記載された製法で製造された物でなくても、物として同一であれば技術的範囲に含まれ、権利行使ができることとなります。

他方、製法限定説に立てば、審査段階では、出願時に同一の製法の物がなければ新規性が認められますが、権利行使の対象となるのは、クレームに記載された製法で製造された物に限られます。

特許庁の審査は物同一性説に立っています。

プラバスタチン事件知財高裁判決

知的財産高等裁判所特別部(大合議)は、プロダクト・バイ・プロセス・クレームの技術的範囲につき、平成24年1月27日のプラバスタチン事件高裁判決(平成22年(ネ)第10043号)において、プロダクト・バイ・プロセス・クレームを真正プロダクト・バイ・プロセス・クレームと不真正プロダクト・バイ・プロセス・クレームに分類し、それぞれについて技術的範囲を定めるアプローチを採用しました。

すなわち、「物の特定を直接的にその構造又は特性によることが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在するため、製造方法によりこれを行っているとき」(真正プロダクト・バイ・プロセス・クレーム)と「物の製造方法が付加して記載されている場合において、当該発明の対象となる物を、その構造又は特性により直接的に特定することが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在するとはいえないとき」(不真正プロダクト・バイ・プ ロセス・クレーム)に分け、前者については物同一性説、後者については製法限定説を適用するとの判断をしました。

プラバスタチン事件最高裁判決

これに対し、プラバスタチン事件最高裁判決は、史上初めて知財高裁の大合議判決を破棄し、以下のとおり述べて、プロダクト・バイ・プロセス・クレームについて、物同一性説をとる審査(発明の要旨認定)と権利行使における技術的範囲の平仄を合わせる形で、双方について物同一性説を採用しました。

願書に添付した特許請求の範囲の記載は,これに基づいて,特許発明の技術的範囲が定められ(特許法70条1項),かつ,同法29条等所定の特許の要件について審査する前提となる特許出願に係る発明の要旨が認定される(最高裁昭和 62年(行ツ)第3号平成3年3月8日第二小法廷判決・民集第45巻3号123 頁参照)という役割を有しているものである。そして,特許は,物の発明,方法の発明又は物を生産する方法の発明についてされるところ,特許が物の発明についてされている場合には,その特許権の効力は,当該物と構造,特性等が同一である物であれば,その製造方法にかかわらず及ぶこととなる。
したがって,物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合であっても,その特許発明の技術的範囲は,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として確定されるものと解するのが相当である。

他方、最高裁判決は、以下のように述べて、プロダクト・バイ・プロセス・クレームは、権利範囲を不明確にし、第三者の技術利用に関する予測可能性を奪うとの考えを示しました。

物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されているあらゆる場合に,その特許権の効力が当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物に及ぶものとして特許発明の技術的範囲を確定するとするならば,これにより,第三者の利益が不当に害されることが生じかねず,問題がある。すなわち,物の発明についての特許に係る特許請求の範囲において,その製造方法が記載されていると,一般的には,当該製造方法が当該物のどのような構造若しくは特性を表しているのか,又は物の発明であってもその特許発明の技術的範囲を当該製造方法により製造された物に限定しているのかが不明であり,特許請求の範囲等の記載を読む者において,当該発明の内容を明確に理解することができず,権利者がどの範囲において独占権を有するのかについて予測可能性を奪うことになり,適当ではない。

また、最高裁判決は、以下のとおり、極めて限定された範囲においてプロダクト・バイ・プロセス・クレームの必要性や許容性を認めました。

他方,物の発明についての特許に係る特許請求の範囲においては,通常,当該物についてその構造又は特性を明記して直接特定することになるが,その具体的内容,性質等によっては,出願時において当該物の構造又は特性を解析することが技術的に不可能であったり,特許出願の性質上,迅速性等を必要とすることに鑑みて,特定する作業を行うことに著しく過大な経済的支出や時間を要するなど,出願人にこのような特定を要求することがおよそ実際的でない場合もあり得るところである。そうすると,物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法を記載することを一切認めないとすべきではなく,上記のような事情がある場合には,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として特許発明の技術的範囲を確定しても,第三者の利益を不当に害することがないというべきである。

結論において、最高裁判決は、「出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情が存在するとき」に限ってプロダクト・バイ・プロセス・クレームについて特許性が認められ、そうでない場合には明確性要件を欠くとの判断を示しました。

以上によれば,物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において,当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは,出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られると解するのが相当である。

これは、逆に言うと、「出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情」が存在しない限り、今後特許は付与されず、また、既存の特許も無効になることを意味します。

審査への影響

プラバスタチン事件最高裁判決を受けて、特許庁は、プロダクト・バイ・プロセス・クレームの審査につき、以下の考え方を公表しました。プロダクト・バイ・プロセスから製法への発明カテゴリーの変更を含む補正を認めるなど、衝撃の緩和に努めたものの、基本的には、最高裁判決の考え方に従っています。

  • 物の発明についての請求項にその物の製造方法が記載されている場合は、審査官が「不可能・非実際的事情」があると判断できるときを除き、当該物の発明は不明確であるという拒絶理由を通知します。

※「不可能・非実際的事情」とは、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情をいいます。

※後に無効理由を含む特許となったり、第三者の利益が不当に害されたりすることがないよう、拒絶理由を通知することで、出願人に、「不可能・非実際的事情」が存在することの主張・立証の機会や、反論・補正の機会を与えることとします。

  • 出願人は、当該拒絶理由を解消するために、以下の対応をとることができます。

ア.当該請求項の削除
イ.当該請求項に係る発明を、物を生産する方法の発明とする補正
ウ.当該請求項に係る発明を、製造方法を含まない物の発明とする補正
エ.不可能・非実際的事情についての意見書等による主張・立証
オ.当該請求項は、「その物の製造方法が記載されている場合」に該当しない旨の反論

  • 出願人の「不可能・非実際的事情」についての主張・立証の内容に、合理的な疑問がない限り(通常、拒絶理由通知時又は拒絶査定時に、審査官が具体的な疑義を示せない限り)、審査官は、「不可能・非実際的事情」が存在するものと判断します。

また、すでに成立した特許について、特許庁は、プロダクト・バイ・プロセスから製法へのカテゴリー変更を含む訂正審判も認めています

さらに、特許庁は、平成28年1月、特許・実用新案審査ハンドブックを改訂し、「単に状態を示すことにより構造又は特性を特定しているにすぎない場合」には、プロダクト・バイ・プロセス・クレームには該当しないとの運用を採用することによって、最高裁判決の射程を制限的に解することとしました。

プラバスタチン事件最高裁判決に対する批判

プロダクト・バイ・プロセス・クレームについて、権利範囲が不明確になりうるのは事実であり、プラバスタチン最高裁判決を積極的に評価する声はあります。技術分野によっては、この判決が広く妥当することもありうるでしょう。

他方、技術分野や記載内容を問わず、プロダクト・バイ・プロセス・クレーム全般が原則として不明確だ、とする考え方については、多方面から批判が集まりました。

まず、クレームが明確か否かは個別に判断されるべき事項であって、製法が記載されているかどうかというカテゴリカルな判断に馴染むものではありません。確かに、製法で特定することで分かりにくくなる場合もありますが、逆に、製法で特定することでより明確になる発明もあります。例えば、茹でた卵であるゆで卵を、物の構造で特定すれば、「ゆで卵」(「ゆで」というのはプロセスです。)という特定よりも分かりにくくなるだけでしょう。製法を記載することによって不明確になるかどうかは、あくまでケース・バイ・ケースなのです。

実際、特許のクレームには、クレームを明確にするため、多かれ少なかれプロセスが含まれていることが多々あります。例えば、ふたつの機械的構成を示すのに、単に構成Aと構成Bの存在を示すよりも、「構成Aに接続された構成B」などと記載した方が両者の関係が分かりやすくなることが考えられますが、この場合の「接続された」はプロセスに該当します。つまり、最高裁判決のもとでは、「接続された」との文言を加え、クレームの記載をより明確にしたために、「不明確」であるとして特許が拒絶される(既存の特許は無効にされる)こととなります。

また、審査のハードルが高い反面広い権利が認められるのが本来の物同一性説ですが、プロダクト・バイ・プロセス・クレームが「出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情が存在するとき」に限って認められるとすると、物を特定するために、結局製法を特定する必要があることとなります。もし製法以外で特定できるなら、クレームが不明確であったことになって、特許が無効になってしまうからです。これでは、実質的に製法限定説と変わらず、また、製法の証明負担から、権利行使を困難にする可能性があります。

本判決の判旨

本判決は、プラバスタチン最高裁判決に対する批判が多い中、その射程に対する判断を示しました。

判決は、まず、以下のように述べて、プラバスタチン最高裁判決における明確性要件の考え方を踏襲することを明らかにします。

いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの場合において,当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは,出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか,又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られると解するのが相当である。

その上で、判決は、プラバスタチン最高裁判決の趣旨を以下のとおり述べます。

しかしながら,前記最高裁判決が,前記事情がない限り明確性要件違反になるとした趣旨は,プロダクト・バイ・プロセス・クレームの技術的範囲は,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として確定されるが,そのような特許請求の範囲の記載は,一般的には,当該製造方法が当該物のどのような構造又は特性を表しているのかが不明であり,権利範囲についての予測可能性を奪う結果となることから,これを無制約に許すのではなく,前記事情が存するときに限って認めるとした点にある。

この趣旨を受けて、判決は、特許の記載から特許発明たる物の構造や特性が明確であれば、プラバスタチン最高裁判決にいう「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」には該当しないとの考え方を示しました。

そうすると,特許請求の範囲に物の製造方法が記載されている場合であっても,前記の一般的な場合と異なり,当該製造方法が当該物のどのような構造又は特性を表しているのかが,特許請求の範囲,明細書,図面の記載や技術常識から明確であれば,あえて特許法36条6項2号との関係で問題とすべきプロダクト・バイ・プロセス・クレームに当たるとみる必要はない。

なお、判決は、結論においては、解消されていない明確性要件違反が残るものとして、原告(出願人)の請求を棄却しています。

実務への示唆

プロダクト・バイ・プロセス・クレームに不明確な場合があることは事実であり、最高裁判決の判旨には技術分野によっては適切に作用するものと考えられます。
他方、およそプロダクト・バイ・プロセス・クレーム全般が原則不明確であると断罪したことは、特許実務の現状からあまりに乖離したものと思われます。
本判決は、特許庁による特許・実用新案審査ハンドブックの改訂とも方向を一にするものであり、プラバスタチン最高裁判決の基本的な判断を踏襲しつつ、その問題点を解消する可能性があるものとして評価することができます。

もっとも、最高裁の判旨は、「特段の事情がない限りプロダクト・バイ・プロセス・クレームは不明確である」とするものであるのに対し、本判決の趣旨は、「クレームが明確であれば、(明確性が問題となる)プロダクト・バイ・プロセス・クレームではない」というものといえるため、実質的に、知財高裁が、1年あまり前に示されたばかりの最高裁判決の判旨を否定するものともいえます。今後さらに本判決の考え方が最高裁判所で争われる可能性が生じたことを考えると、プロダクト・バイ・プロセス・クレームの解釈は再び不透明になったといえるかも知れません。

※文中のゆで卵の例は、特許庁に勤務するある方のアイデアですが、大変わかりやすい設例ですので、感謝して使わせていただきました。ありがとうございます。

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(文責・飯島)