本年(令和8年・2026年)6月17日、第221回国会(特別会)において、「著作権法の一部を改正する法律」が成立し、同月24日、令和8年法律第48号として公布されました。この改正法は、商業用レコードを店舗等で公に再生し、または公に伝達する行為について、実演家及びレコード製作者に二次使用料を受ける権利を新設するなどしています。本改正は、店舗等で商業用レコードを音源とするBGMを利用する事業者に対し、これまで音楽著作権管理事業者に支払ってきた著作権使用料に加えて、実演家及びレコード製作者の指定管理団体に対する二次使用料の支払義務を課すものとなり、店舗営業を営むさまざまな事業者に影響する可能性があります。

ポイント

骨子

  • 商業用レコードの「公の再生」及び「公の伝達」について、実演家及びレコード製作者に二次使用料を受ける権利(レコード演奏・伝達権)が新設されました(第95条の2、第95条の3、第97条の2、第97条の3)。
  • これにより、店舗でCDやBGM配信を流す行為には、著作権者の演奏権・公の伝達権に加えて、実演家等の権利が及ぶことになりました。
  • 非営利かつ無料の再生・伝達や、通常の家庭用受信装置を用いた公の伝達には、レコード演奏・伝達権が及ばないこととされました(第95条の3第2項第2号等)。
  • 権利行使は指定管理団体によって行われることとされており、指定管理団体としては、実演家については公益社団法人日本芸能実演家団体協議会、レコード製作者については一般社団法人日本レコード協会が想定されています。
  • また、二次使用料の額の決定においては、二次使用料規程の作成・公示・利用者代表との協議・文化庁長官の裁定・届出という段階的な調整手続を踏むべきことが規定されました(第103条の2から第103条の8まで)。
  • 施行日は、公布日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日とされていますが、指定管理団体の指定や二次使用料規程の策定等の準備行為に関する規定は、公布日から施行されます。
  • なお、本改正法の施行に伴い、譲渡権、貸与権等の条番号が繰り下がることになり、従前の第95条の2は第95条の4に、第95条の3は第95条の5に、第97条の2は第97条の4に、第97条の3は第97条の5に改められます。

改正法の概要

法律名 著作権法の一部を改正する法律(令和8年法律第48号)
所管 文化庁
成立日 令和8年6月17日
公布日 令和8年6月24日
施行日 公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日(指定管理団体の指定や二次使用料規程の策定等の準備行為に関する規定は公布の日)

解説

著作隣接権

著作隣接権とは

著作権法は、著作物を創作した著作者に著作権・著作者人格権を認めるのとは別に、同法第4章(89条以下)において、著作物を公衆に伝達する役割を果たす者に「著作隣接権」を認めています。具体的には、実演家レコード製作者放送事業者及び有線放送事業者の4者がその権利主体となります。音楽の著作物についてみると、その演奏を行う実演家、それを録音し、レコードを製作するレコード製作者、その放送を行う放送事業者・有線放送事業者がそれぞれの立場で一定の権利を有することになります。また、個々の媒体にどのような権利が生じるかについてみると、CDなどの商業用レコードについては、楽曲の作曲家や作詞家は著作権を有するのに対し、歌手や演奏者は実演家として、音源を制作したレコード会社等はレコード製作者として、それぞれ著作隣接権を有することになります。そのため、1枚のCDには、作詞家・作曲家の著作権と、歌手・演奏者の実演家の権利と、レコード製作者の権利とが重畳的に存在していることになります。

許諾権と報酬請求権

著作隣接権の具体的内容として、利用を許諾するか否かを決められる「許諾権」と、利用を止めることはできないが金銭の支払を請求できる「報酬請求権」の2種類があります。具体的には、実演家の録音権・録画権(第91条)や送信可能化権(第92条の2)は許諾権であるのに対し、商業用レコードの放送にかかる二次使用料を受ける権利(第95条)は報酬請求権に位置づけられています。

レコード演奏・伝達権

商業用レコードとは

レコード演奏・伝達権を考える前提として、「レコード」は、著作権法上「蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。」と定義され(著作権法2条1項5号)、また、「商業用レコード」は、「市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。」と定義されており(同項7号)、レコードやCD等の物理的な媒体だけでなく、ダウンロード音源やストリーミング配信音源なども含まれます。なお、「レコード製作者」は、「レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう。」と定義されています(同項6号)。

レコード演奏・伝達権とは

商業用レコードに録音された実演あるいは音を直接または間接に公衆に聴かせる行為にかかる実演家やレコード製作者(以下「実演家等」といいます。)の権利は、従来から「レコード演奏・伝達権」という通称で呼ばれてきました。典型的には、店舗等で録音音源を再生したり、録音音源の放送を受信し、流したりするような場合に適用される権利といえますが、我が国の著作権法は、従来、実演家等にこういった権利を認めていませんでした。

演奏権・公の伝達権とは

著作権法は、レコード演奏・伝達権に相当する著作者の権利として、著作物を公に演奏する権利である演奏権(著作権法22条)と、公衆送信される著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利である公の伝達権(同法23条2項)を定めています。

(上演権及び演奏権)
第二十二条 著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。
(略)
(公衆送信権等)
第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

演奏権は、昭和45年の現行著作権法制定時から認められている権利で、著作権法2条7項は、録音を再生することも「演奏」に含む旨定めているため、CDなどの商業用レコードを店舗等で再生する行為にも及びます。
また、公の伝達権は、昭和61年(1986年)の著作権法改正時に創設され、平成9年(1997年)の著作権法改正において従来の放送権や有線放送権などが公衆送信権として整理された際に現在の規定にされており、店舗等で放送を受信し、BGMなどに用いることは、その適用対象になります。
以上から、従来の法制度の下では、商業用レコードを直接または放送を介して間接に公に聴かせる行為は著作権者だけが権利を有し、実演家等は権利を有していなかったこととなります。

レコード演奏・伝達権における相互主義

ベルヌ条約等に基づく著作権の国際的保護においては、条約締約国は、他の締約国の国民に対しても、自国民に与えているのと同等の保護を与えることを求める「内国民待遇」の考え方が原則として適用されます。
他方、著作隣接権に関する「実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約(ローマ条約)」や、「実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WPPT)」においては、内国民待遇を原則としつつも、権利の内容により、自国の国民に対して他の締約国が保護を与えていることを条件に、他の締約国の国民に保護を与えるものとする「相互主義」が採用されています。
レコード演奏・伝達権については、ローマ条約12条やWPPT15条(1)が報酬請求権を認めるべきことを定める一方、ローマ条約第16条1項及びWPPT15条(3)は、相互主義によることも可能としています。

指定管理団体とは

実演家等の報酬請求権のひとつである放送二次使用料(著作権法95条)については、権利者が多数に及ぶため、個々の実演家等が個別に権利行使することは現実的ではありません。そこで、同条5項、同法97条3項は、以下のとおり、文化庁長官が指定する団体(指定管理団体)があるときは、当該団体によってのみ権利行使ができるとする制度を採用しています。

(商業用レコードの二次使用)
第九十五条
 放送事業者及び有線放送事業者(以下この条及び第九十七条第一項において「放送事業者等」という。)は、第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て実演が録音されている商業用レコードを用いた放送又は有線放送を行つた場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けずに、当該放送を受信して同時に有線放送を行つた場合を除く。)には、当該実演(第七条第一号から第六号までに掲げる実演で著作隣接権の存続期間内のものに限る。次項から第四項までにおいて同じ。)に係る実演家に二次使用料を支払わなければならない。
(略)
 第一項の二次使用料を受ける権利は、国内において実演を業とする者の相当数を構成員とする団体(その連合体を含む。)でその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該団体によつてのみ行使することができる。
(略)
(商業用レコードの二次使用)
第九十七条
 放送事業者等は、商業用レコードを用いた放送又は有線放送を行つた場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、レコードに係る音の提示につき受ける対価をいう。)を受けずに、当該放送を受信して同時に有線放送を行つた場合を除く。)には、そのレコード(第八条第一号から第四号までに掲げるレコードで著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係るレコード製作者に二次使用料を支払わなければならない。
(略)
 第一項の二次使用料を受ける権利は、国内において商業用レコードの製作を業とする者の相当数を構成員とする団体(その連合体を含む。)でその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該団体によつてのみ行使することができる。

現在、実演家については公益社団法人日本芸能実演家団体協議会が、レコード製作者については一般社団法人日本レコード協会が、それぞれ指定を受けています。

レコード演奏・伝達権を取り巻く状況

現行法制定時の状況

令和8年3月12日の文化審議会著作権分科会報告書(以下「令和8年報告書」といいます。)は、現行著作権法の制定時にレコード演奏・伝達権の設置が見送られた背景として、昭和40年5月の著作権制度審議会第五小委員会審議結果報告(以下「昭和40年報告」といいます。)を引用し、「現行法の制定時において、実演家等に措置した場合の社会的影響の大きさや、実演家の機械的失業といった観点から実演家等に類似の権利を認めたローマ条約の締結国が当時10か国程度に留まっていたこと等の事情に鑑み、当分の間、レコードを広く大量に利用する放送・有線放送に限定して実演家等の二次使用料を受ける権利を認めることとし、その他は将来の国際的な動向の進展も踏まえて再検討することが適当とされた」ことを指摘しています。

国際的な普及の進展

昭和40年報告の後、著作隣接権に関する条約の締約国は大きく増加し、令和8年報告書によると、ローマ条約の締約国は99か国、WPPTの締約国は114か国に達しています。また、レコード演奏・伝達権は、部分的な導入を含めて142か国・地域で導入されており、OECD諸国では日本と米国を除く36か国が導入済みとなっているほか、韓国、中国、シンガポールといった国にも導入が進んでいるとされています。

相互主義による我が国の実演家等の不利益の顕在化

我が国は、ローマ条約については1989年(平成元年)に、WPPTについては2002年(平成14年)に、それぞれ締結していますが、ローマ条約加入時には、同条約第16条の規定に基づき、「放送及び有線放送において商業用レコードが使用される場合に第12条の規定を適用する」旨を宣言し、WPPT加入時には、同条約15条(3)の規定に基づき、「放送、有線放送及び特定入力型自動公衆送信において商業上の目的のために発行されたレコードが直接又は間接に利用される場合に同条(1)の規定を適用する」旨の留保を宣言し、いずれの時期にもレコード演奏・伝達権の導入を見送っていました。
しかし、諸外国の多くがレコード演奏・伝達権を導入しながら、我が国がこれを導入していないため、日本の楽曲が海外の店舗等で利用されても、相互主義により日本の実演家等には対価が還元されない状態が生じていました。日本の楽曲が海外チャートに入る機会が増え、アニメ・漫画・ゲーム関連楽曲やシティポップなど幅広いジャンルが海外で聴かれるようになった現在、この不均衡の影響は小さくなく、令和8年報告書が引く調査研究では、全世界の市場が中位(成長率年5%)で推移し、日本楽曲の使用割合が年0.2%ずつ成長した場合、令和16年(2034年)には26億円の国際支出に対して87億円ほどの国際収入が期待できるとの推計が示されています。

BGM利用の広がり

また、令和8年報告書が引用する市場調査によれば、全業種の約3割、宿泊業・飲食サービス業の約5割、生活関連サービス業・娯楽業の約4割程度で商業用レコード音源が利用されています。業務用BGM配信サービスの普及も大きく、宿泊業・飲食サービス業では5割弱がこれを利用しているとされています。

実演家等を取り巻く経済環境

さらに、令和8年報告書によると、我が国のCD市場は長期的に縮小し、令和6年(2024年)には平成11年(1999年)の4分の1程度にまで縮小したため、従来の法制度に基づく実演家等の二次使用料等の額は減少傾向にあるとされます。

改正の趣旨

以上の状況を踏まえ、文化庁は、「アーティスト等への適切な対価還元を図るとともに、音楽の海外展開の促進に繋げるため、音楽CDやインターネット配信音源等(商業用レコード等)が公の場で利用された際に、実演家・レコード製作者が二次使用料を受け取ることができる権利(「レコード演奏・伝達権」)を創設する」こととして(文化庁「著作権法の一部を改正する法律の概要」)、同権利にかかる法案を第221回国会(特別会)に提出し、2026年6月17日、「著作権法の一部を改正する法律」(令和8年法律第48号)が成立しました。
これらの権利の内容を報酬請求権(二次使用料の請求権)とする理由について、令和8年報告書は、商業用レコードの利用につき、著作権者の許諾権に重ねて実演家等の許諾権も認めると、権利処理が複雑化し、かえって著作物の公衆への伝達を阻害するおそれがあること、そして、ローマ条約及びWPPT並びに主要な諸外国においてもレコード演奏・伝達権は報酬請求権に位置づけられていることを指摘していました。

レコード演奏・伝達権の新設

レコード演奏・伝達権の条文構造

改正法は、以下のとおり、商業用レコードの実演・レコードを公に再生した者や、公衆送信される実演・レコードの音を受信装置を用いて公に伝達した者について、実演家等に二次使用料を支払わなければならない旨定めるとともに、その義務が除外される場合を規定しました。

第九十五条の二 実演が録音されている商業用レコードを用いて、その実演を公に再生した者は、当該実演に係る実演家に二次使用料を支払わなければならない。
前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
 営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けずに公に再生した場合
 第百二条第一項において準用する第三十条の二から第三十条の四まで、第三十二条第一項、第三十三条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第二項、第四十一条、第四十二条の三、第四十二条の四第二項、第四十六条、第四十七条の四又は第四十七条の五第一項の規定により公に再生した場合
(略)
第九十五条の三 商業用レコードに録音されている実演のうち公衆送信されるものを受信装置を用いて公に伝達した者は、当該実演に係る実演家に二次使用料を支払わなければならない。
前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
 放送され、有線放送され、特定入力型自動公衆送信が行われ、又は放送同時配信等(放送事業者、有線放送事業者又は放送同時配信等事業者が行うものに限り、放送又は有線放送が終了した後に開始されるものを除く。次号並びに第九十七条の三第二項第一号及び第二号において同じ。)が行われるものを、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けずに公に伝達した場合
 放送され、有線放送され、特定入力型自動公衆送信が行われ、又は放送同時配信等が行われるものを、通常の家庭用受信装置を用いて公に伝達した場合
 第百二条第一項において準用する第三十条の二から第三十条の四まで、第三十一条第七項(第二号に係る部分に限る。)若しくは第九項(第二号に係る部分に限る。)、第三十二条第一項、第三十三条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第二項、第三十五条第一項、第四十一条、第四十一条の二第二項、第四十二条、第四十二条の二第二項、第四十二条の三、第四十二条の四第二項、第四十六条、第四十七条の四又は第四十七条の五第一項の規定により公に伝達した場合
(略)
第九十七条の二 商業用レコードを用いて、そのレコードに係る音を公に再生した者は、そのレコードに係るレコード製作者に二次使用料を支払わなければならない。
前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
 営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けずに公に再生した場合
 第百二条第一項において準用する第三十条の二から第三十条の四まで、第三十二条第一項、第三十三条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第二項、第四十一条、第四十二条の三、第四十二条の四第二項、第四十六条、第四十七条の四又は第四十七条の五第一項の規定により公に再生した場合
(略)
第九十七条の三 商業用レコードに係る音のうち公衆送信されるものを受信装置を用いて公に伝達した者は、そのレコードに係るレコード製作者に二次使用料を支払わなければならない。
前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
 放送され、有線放送され、特定入力型自動公衆送信が行われ、又は放送同時配信等が行われるものを、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けずに公に伝達した場合
 放送され、有線放送され、特定入力型自動公衆送信が行われ、又は放送同時配信等が行われるものを、通常の家庭用受信装置を用いて公に伝達した場合
 第百二条第一項において準用する第三十条の二から第三十条の四まで、第三十一条第七項(第二号に係る部分に限る。)若しくは第九項(第二号に係る部分に限る。)、第三十二条第一項、第三十三条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第二項、第三十五条第一項、第四十一条、第四十一条の二第二項、第四十二条、第四十二条の二第二項、第四十二条の三、第四十二条の四第二項、第四十六条、第四十七条の四又は第四十七条の五第一項の規定により公に伝達した場合

レコード演奏・伝達権の内容

以上の規定によれば、レコード演奏・伝達権の内容は、以下のとおり区分されます。

条文 権利者 対象行為
第95条の2 実演家 商業用レコードを用いた実演の公の再生
第95条の3 実演家 衆送信される実演の受信装置を用いた公の伝達
第97条の2 レコード製作者 商業用レコードを用いた音の公の再生
第97条の3 レコード製作者 公衆送信される音の受信装置を用いた公の伝達
レコード演奏・伝達権の適用除外事由

また、レコード演奏・伝達権の適用が除外される場合は、以下のとおりとされています。

  • 営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けずに公に再生した場合(第95条の2第2項第1号、第97条の2第2項第1号)
  • 放送、有線放送、特定入力型自動公衆送信又は放送同時配信等がされるものを、営利を目的とせず、かつ、料金を受けずに公に伝達した場合(第95条の3第2項第1号、第97条の3第2項第1号)
  • 通常の家庭用受信装置を用いて公に伝達した場合(第95条の3第2項第2号、第97条の3第2項第2号)
  • 著作権に関する権利制限規定のうち、付随対象著作物の利用(第30条の2)、検討の過程における利用(第30条の3)、非享受目的の利用(第30条の4)、引用(第32条第1項)、教科用図書等への掲載(第33条第2項、第5項)、教科用図書代替教材への掲載等(第33条の2第2項)、時事事件の報道のための利用(第41条)、行政機関情報公開法等による開示のための利用(第42条の3)、公文書管理法等による保存等のための利用(第42条の4第2項)、公の美術の著作物の利用(第46条)、電子計算機による情報処理・提供に伴う軽微な利用等(第47条の4、第47条の5第1項)により公に再生し、又は公に伝達した場合(伝達権に対しては、さらに、図書館等における図書資料のメール送信等(第31条第7項(第2号に係る部分)・第9項(第2号に係る部分))、学校教育等の営利を目的としない教育機関における複製等(第35条第1項)、裁判手続等における複製等(第41条の2第2項)、立法又は行政の目的のための内部資料としての複製等(第42条)、審査等の手続における複製等(第42条の2第2項)

なお、令和8年報告書では、「通常の家庭用受信装置」にかかる権利制限の必要性について異論があった旨付記されており、この点については、将来の議論の対象となり得ます。

権利行使の主体

レコード演奏・伝達権の行使は、放送二次使用料と同様、指定管理団体を通じてのみ行われることとされました(第95条の2第3項等)。

二次使用料規程に関する調整手続

従来の著作権法で規定されていた放送二次使用料については、利用者である放送事業者等の数が限られ、かつ明確であることから、指定管理団体と放送事業者等との協議によって年額を定めることとされています(第95条第10項)。これに対し、レコード演奏・伝達権の利用者は、全国の店舗や施設に及び、極めて多数に及ぶため、すべての利用者と個別に協議して金額を決めることは困難である一方、指定管理団体が一方的に金額を決定することも、利用者に与える影響に鑑み適切ではありません。そこで、二次使用料の決定にあたっては、二次使用料規程の作成・公示・利用者代表との協議・文化庁長官の裁定・届出という段階的な調整手続を踏むべきことが規定されました(第103条の2ないし第103条の8)。これは、著作権等管理事業法の下で音楽著作権の管理について実施されている仕組みを参考にしたものです。

条番号の繰下げ等

譲渡権・貸与権等の条ずれ

レコード演奏・伝達権の規定の新設に伴い、以下のとおり、既存の条文番号の繰り下げが生じます。

内容 改正前 改正後
実演家の譲渡権 第95条の2 第95条の4
実演家の貸与権等 第95条の3 第95条の5
レコード製作者の譲渡権 第97条の2 第97条の4
レコード製作者の貸与権等 第97条の3 第97条の5

この繰下げに伴い、著作権等管理事業法第25条、構造改革特別区域法第12条第11項の表、障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律附則第4条のほか、過去の著作権法改正法の附則についても、引用条文の整理が行われています(改正法附則第6条から第14条まで)。

差止請求との関係

第113条第9項は、一定の報酬・二次使用料を受ける権利を著作隣接権とみなす旨を定めているところ、改正法は、新設された上記4つの二次使用料請求権をこの規定に追加しました。その結果、レコード演奏・伝達権との関係でも、指定管理団体は、著作権法112条に基づき、二次使用料を支払わない利用者に対し、商業用レコードの利用の差止めを求めることが可能になります。

施行日と経過措置

施行日

改正法附則第1条は、改正法は公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する旨定めています。
また、同条但書は、附則第4条及び第5条の規定は、公布の日から施行することを定め、以下の準備行為を事前に行うことを可能にしました。

  • 文化庁長官による指定管理団体の指定
  • 指定管理団体による二次使用料規程の策定及び案の公示
  • 指定管理団体と利用者代表との協議
  • 文化庁長官による協議開始・再開命令及び裁定
  • 二次使用料規程の届出

コメント

本改正は、店舗等で商業用レコードを音源とするBGMを利用する事業者に対し、これまで音楽著作権管理事業者に支払ってきた著作権使用料に加えて、実演家及びレコード製作者の指定管理団体に対する二次使用料の支払義務を課すものとなり、店舗営業を営むさまざまな事業者に影響する可能性があることから、その背景や概要を紹介しました。

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(文責・飯島)