前回のロシアの知的財産制度について紹介したように、1995年よりロシア連邦がベルヌ条約に加盟した後、著作権に関して様々な改正が行われました。そして、2006年より、著作権、特許権、商標権、意匠権等の知的財産権に関する個別法が廃止され、ロシア連邦民法典の第4部を追加し、知的財産権に関する規定を設けました。

ロシア連邦の著作権制度は、とりわけ同国がWTOに加盟した2012年以降、国際的な基準に沿って構築されていますが、日本の著作権法とはかなり概念が異なりますので、ここでは、その制度について説明していきます。なお、本稿で引用するロシア民法の日本語訳文は、特許庁による和訳を利用しています。

ポイント

  • ロシアにおける著作権は、主として5つの権利(排他的権利、著作者であることを主張する権利、氏名表示権、同一性保持権、公表権)からなります。
  • 著作物は、公開されなくても、著作権法による法的保護を受けられますが、権利の証明において困難に直面することもあります。
  • ロシア法では、情報・学術・教育又は文化の目的であれば、著作者またはその権利保有者の同意なしに、また対価も支払わずに、著作物を利用できます。
  • ロシアの著作権制度は、上記の5つの権利以外に、著作者の一身専属的権利として、追及権、接近権、撤回権を認めています。追及権とは、美術品などが転売された場合、著作者が一定の報酬を得られる権利をいいます。さらに、2018年6月1日より、転売業者が再販売する際には、報酬に関する必要な情報を著作者に提供することが必要になりました。

解説

 ロシア著作権法の体系

日本における著作権法に相当する規定は、ロシア民法典の第70章と第71章に定められており、第70章は著作権について、第71章は著作隣接権について定めています。

これらのうち、第70章は、著作者に帰属する権利として、排他的権利、著作者であることを主張する権利、氏名表示権、同一性保持権及び公表権の5つの権利を規定しています。日本法と異なり、氏名表示権、同一性保持権、公表権とは別に著作者人格権が観念されていることに特徴があります。

また、これらの権利以外に、著作者には、職務著作物の対価請求権、撤回権、追及権及び美術の著作物に係る接近権といった、日本法にはない権利も認められています。

他方、著作隣接権には、実演権、レコードに係る権利、放送事業者及び有線放送事業者の権利、データベース製作者の権利、学術、文学または美術の著作物に係る出版者の権利といった権利が認められています。データベース製作者の権利や、出版者の権利が認められている点は、日本の著作隣接権と比較して特徴的であるといえます。

 著作者とは

著作者の意味

個々の権利の内容を理解するに先立ち、まずは、誰が著作者になれるかということを明確に理解する必要があります。ロシア民法第1257条によれば、学術、文学又は芸術の著作物の著作者とは、自己の創作的活動により当該著作物を作った者をいうと規定されています。

しかし、当該規定においては、「学術」または「自己の創作的活動」が明瞭に定義されておらず、これらの用語は、社会通念に照らし、広範な解釈に任せられることになっています。

職務著作の場合

ロシア民法第1295条は、職務上創作した著作物の著作権は、著作者のものになると規定しています。

第1295条 従業者の著作物

1.従業者(著作者)について定められている労働義務の限度内で創出された学術、文学又は芸術の著作物(従業者の著作物)に係る著作権は著作者に帰属する。

一方、当該条文の第2項においては、使用者は労働者(著作者)と労働契約などにおいて、排他的権利の帰属先を決めれば、使用者に移転することができることが規定されており、権利帰属については、両者の合意に委ねられています。

2. 従業者の著作物に係る排他権は、使用者と著作者との間の民事又は労働契約に別段の規定がない限り、従業者に帰属する。

したがって、使用者にとっては、従業員と労働契約を締結する際に、職務上創作された著作物に係る排他的権利を使用者に帰属させることを合意しておくことが極めて重要なポイントとなります。

ただし、労働者の著作物が使用者に移転された日から3年以内に使用者が利用せず、当該排他権を他の者に与えることもせず、かつ、当該著作物が秘密であることを著作者に通知しない場合には、当該労働者は排他的権利の返還を求める権利を有することになります。

労働契約上、職務著作物に対する排他的権利が使用者に移転しても、労働者には対価請求権が認められています。この権利は不可譲で相続できません。ただし、著作者とその使用者が締結した契約に基づき、著作者の権利及び著作者に支払われていない補償金は、著作者の相続人に移転することができます。

第1295条 従業者の著作物

2.  三年内に使用者が当該産物又はサービスの利用を開始するか当該排他権を他の者に与えた場合は、著作者は、補償を受ける権利を有する。使用者が職務著作物を秘密のままにしておくことを決定し、従って、所定の期間内にこの著作品産物の利用を開始しない場合は、著作者が補償に係る権利を取得する。補償金額並びに使用者によるその支払に係る条件及び手続は、使用者と従業者間の契約により定められ、また、紛争が生じた場合は裁判所により定められる。

 ロシアにおける著作者の権利とは

一般に、著作権とは、学術、文学及び美術といった著作物の創作また使用に向けた利用行為の保護を認める権利を意味します。どのような権利があるかについて、ロシア民法は第1255条において規定しており、具体的には、著作者は、下の5つの権利を有するものとされています。

⑴ 排他的権利 著作物の利用に当たる手段・形式の行為に対し著作者(権利者)の裁量により行使する権利
⑵ 著作者であることを主張する権利 著作物の著作者であると認めてもらう人格的権利
⑶ 著作者の氏名表示権 著作者の氏名(実名・変名・無名)を表示する権利
⑷ 同一性保持権 著作者の同意なく著作物の改変などを差し止める権利
⑸ 公表権 著作物を公に提供する権利

なお、著作権と著作者人格権を区別する日本法とは異なり、ロシア民法は、「著作権」というタイトルの民法第1255条に、「学術、文学及び美術の著作物に係る知的財産権は著作権とされる。」との定義を置いた上で(同条1項)、著作者の権利として上記の権利が規定されています(同条2項)。

他方、著作隣接権については、民法の別の章(第71章)に規定され、著作権と区別されています。

 著作者の権利の分類

上記の著作者の権利は人格的な利益を保護する「非財産的人格権」と財産的な利益を保護する「財産権」の大きく二つに分かれます。

非財産的人格権は、著作者の威信とイメージ向上に強くつながった権利で、4つの権利(著作者であることを主張する権利、氏名表示権、同一性表示権、公表権)から構成されます。

非財産的人格権は、著作者のみがもつ一身専属権で、これらの権利を譲渡したり、相続したりすることはできません。もっとも、これらの権利は、著作者の死亡によって消滅した後も、一定の範囲で守られることになっています。

他方、排他的権利である財産権は、著作物の複製、譲渡、展示、輸入、賃貸、無線または有線による伝達、中継放送、翻案、建築等の施工、公衆への伝達といった利用行為を排他的に行う権利であり、その一部又は全部を譲渡したり相続したりすることができます。

これら以外に、例えば、造形美術を創作した場合は、日本の著作権法で見られない、追及権といった権利も認められます。

なお、著作者の多くは、自らの非財産的人格権に十分な注意を払っていないものの、非財産的人格権は財産的権利と密接な関係にあることを考慮に入れなければなりません。

 著作権の発生・登録

ロシアの著作権法においては、著作権の発生、具体化および保護のためには、著作物の登録などの手続きは必要ありません。これはベルヌ条約に準拠した考え方といえます。

この点について、民法第1259条第4項は、以下のように規定しています。

第1259条 著作権の客体

4. 著作権の発生、具現化及び保護のためには、著作物の登録のみならずいかなる方式の履行も要しない。

他方、コンピュータ・プログラム及びデータベースは、ロシア民法第 1262 条の規定に基づき、著作権者の裁量(任意)で登録することができます。実務上、この登録制度はよく利用されており、著作権証明において重要な役割を果たします。

また、ロシアでは、一部の企業ないし団体が、著作物の登録及び登録された著作物の複製の預託のサービスも提供しています。著作権者は、当該登録サービスを任意に利用することができ、著作物に係る著作権を所有することを証明するために用いられます。

コンピュータ・プログラム及びデータベースの著作物に係る著作権の登録を管理しているのは、ロシアの知的財産当局(ロスパテント)です。ロスパテントに登録されているコンピュータ・プログラム又はデータベースに係る排他的権利が譲渡される場合は、その譲渡もロスパテントに登録する必要があります。

 著作権の客体

次のポイントは、どのような客体に対し、いつの時点から著作権が発生するか、またはいつ時点より法律保護を受けられるかといった点です。

まず、第1259条第3項には、次のよう規定があります。

第1259条 著作権の客体

3. 書面、口頭の形式(演説、公の実演及びその他すべての形式) 、描写、音声録音又はビデオ録画の形式又は三次元形式等、表現の実在形式を問わず、公表された著作物及び未公表の著作物に、著作権は適用される。

上記規定は、著作物が公表されたか否かに関わらず法的保護を受けられるということを意味しますが、実務上、自らの著作権を証明するには、公表するのが重要かつ強力な証拠になります。また、実務的に非常に重要なのは、民法第1259条にいう「実在形式」です。これは客観的な形式を意味し、形として表現されなければ、法律保護を受けません。

他方、下記の通り、アイディアなどは著作権で保護される著作物とは認められていません。

第1259条 著作権の客体

5. 著作権は、思想、概念、原則、方法、製法、システム、手段、技術的・組織的若しくは その他の課題の解決法、発明、事実又はプログラム言語には及ばない。

民法第1259条第1項は、以下のとおり著作権の客体を列挙しています。

第1259条 著作権の客体

1. 著作権の客体は、著作物の価値及び目的並びにその表現の態様にかかわらず、次に掲げる学術、言語及び美術の著作物である。

— 言語の著作物

— 演劇及び楽劇の著作物、映画の著作物

— 舞踊又は無言劇の著作物

— 歌詞を伴い又は歌詞を伴わない音楽の著作物

— 視聴覚著作物

— 絵画、彫刻、グラフィックス、デザイン、劇画、漫画及びその他の造形美術の著作物

— 装飾・応用美術及び舞台芸術の著作物

— 建築の著作物、都市計画並びに公園及び庭園美術の著作物(これらは設計図、描写及び模型の形式によるものを含む。)

— 写真の著作物及び写真術と類似する方法により制作された著作物

— 地理学、地形学及びその他の学術に関連する、地理学的、地質学的及びその他の地図、図 面、スケッチ並びに彫塑的著作物

— その他の著作物

コンピュータプログラムもまた著作権の客体とみなされ、言語の著作物として保護される。

 著作者であることを主張する権利および氏名表示権

ロシア著作権法の特徴として、著作者には、自らが著作者であることを主張する権利が認められています。これは、著作者が、著作物の創作において実際に当該著作物を作り上げたことを法的に証明する権利です。

例えば、他人からの盗用、または第三者に著作権を帰属させるといったことを差し止めるために、著作者は当該権利を用いられ、自らが著作者であることを主張できます。

当該権利は一身専属権であり、著作者のみの権利となります。著作者であることを主張する権利、氏名表示権及び同一性保持権は著作者の死後も無期限に保護されます(第1267条)。

著作者であることを主張する権利及び氏名表示権について、民法第1265条は、以下のように規定しています。(注:この条文に関する特許庁の和訳はやや不正確であるため、CRICの和訳を利用しています。)

第1265条 著作者であることを主張する権利および著作者の氏名表示権

著作者であることを主張する権利、すなわち著作物の著作者であると認めてもらう権利、及び著作者の氏名表示権、すなわち (実名若しくは変名(雅号)を表示し、又は氏名表示なく無名で著作物を利用し又は利用を許諾する権 利)は、一身専属かつ不可譲である(著作権に係る排他的権利を第三者へ譲渡又は移転する場合及び著作物の利用権を第三者へ付与する場合を含む)。これらの権利に係る放棄は無効である。

ここで氏名表示権に関して実務的な観点から触れるべきことは、変名または雅号を利用する際は、何らかの方法により著作者本人が確定される必要があるということです。そうでない場合は、著作権の証明が困難になります。

 同一性保持権

著作権のもう1つの権利は同一性保持権です。当該権利は著作物に係る改変、要約若しくは追加又は著作物の利用における挿絵や図、前書きもしくは後書き、注釈又は説明の挿入、また著作者の名誉、尊厳又は業務上の評判を損なうような行為で、著作者の同意がなければ、認められないものとしています。

これらの条文は、著作者の権利保護において不可欠であるものの、パロディ・カリカチュアといった方法で表された著作物は著作権者の同意なしまた無償ですることが容認されています。当該パロディ著作物は独立したものだと考えられています。

第1274条 情報、学術、教育又は文化の目的での著作物の無償利用

4. 適法に公表された原作を文学、音楽、風刺又はその他のカリカチュアの表現法で風刺的にもじること及びこれを利用することは、著作者又はその他の原著作物に係る排他権の所有者の同意なしにかつ対価の支払なしに認められる。

 公表権

ロシア民法第1268条は、非財産的人格権の一環である公表権について規定しています。公表権とは、著作物を公衆に提供する権利であり、一般の人に対してアクセスを可能にする(公開する)ことをいいます。

同条第1項は、具体的な公表手段について規定しています。当該権利は、他の非財産的人格権(人格権、氏名表示権、同一性表示権)と違って、一回のみの権利となります。要するに、著作物を一度公表すると、当該権利が消滅しますが、著作者が公表した決定を撤回することもできるため、例外的な場面もあります(撤回権については、その他の権利において説明します)。

第 1268 条 著作物の公表権

1. 著作物を公表する権利、すなわち、発行、公の展示、公の実演、無線又は有線による伝達により、又はその他態様を問わず、著作物を公衆に対して最初に提供する行為をなし、又は当該行為に同意を与える権利は、著作者に帰属するものとする。 この場合、発行(公衆への発表)とは、著作物の性質に応じ公衆の合理的な必要を充足するに十分な部数により、著作物の有形的再製である著作物の複製物を流通に置くことをいう。

2. 利用に係る契約により著作物を他人へ移転した著作者は、当該著作物の公表に同意したとものとされる。

3. 著作者の存命中に公表されなかった著作物は、その公表が、当該著作物の著作者が書面 (遺言、手紙、日記等)により明確に表示した意思と矛盾しない場合、著作者の死後に当該著 作物に係る排他的権利を保有する者がこれを公表することができる。

 著作権者の排他的権利

排他的権利の概要と類型

著作権のもう一つの重要な権利は排他的権利です。排他的権利とは、著作物の使用について著作権者が有する排他的権限です。

排他的権利は第三者(個人または法人)に移転することができ、その場合には、移転を受けた者が排他的権利の保有者になります。排他的権利は、著作物が創作される前の段階において、他の者に移転されることがよくあります。

民法第1270条第2項においては、排他的権利が具体的に列挙され、著作物の複製、録音、録画、販売による頒布、輸入、翻訳、賃貸、提示、無線またはケーブルによる伝達などが規定されています。

第1270条 著作物に係る排他的権利

1. 法令に反しないあらゆる形式及びあらゆる態様 (本条第 2 項に示す方法を含む。)により、本法第 1229 条に基づき著作物を利用する排他的権利(「著作物に係る排他的権利」) は、著作物の著作者に帰属するものとする。権利者は当該著作物に係る排他的権利を処分することができる。

2. 営利目的で又は営利目的なしに当該措置が取られたか否かに拘らず、著作物の使用にはなかんずく次に掲げる事項が含まれる。

(1)著作物の複製即ち録音又は録画を含め如何なる形であっても著作物又はその一部の1以上の複製物の作成、二次元著作物の1以上の三次元複製物及び三次元著作物の1以上の二次元複製物の作成。電子方式の著作物の録音・録画(コンピューターの記憶装置に保存したものを含む)も複製とみなされる。他方、一時的又は偶然の著作物であって法的な用途のみに意図された技術的方法の不可分かつ重要な一部であるものから短期的に録音・録画した場合又は情報ブローカーによる第三者間の情報遠距離電気通信ネットワークを通じた著作物の移転である場合は複製とはみなされないが、ただし、かかる録音・録画が別個の経済的重要性を有さないことを条件とする。

(2)著作物の販売による頒布又はその原物若しくは複製物のその他による譲渡

(3)参加自由な公開の場所での又は通常の家族構成員ではないかなり多数の者が出席している場所での著作物の公の展示、即ち著作物の原物又は複製物の直接的な又はフィルム、透明陽画、テレビフレーム若しくはその他の技術的手段を用いたスクリーンでの提示及び視聴覚著作物の個々的なフレームの順序を踏まない直接的な又は技術的手段を用いた提示。著作物がその提示の場所で知覚されるか又は著作物の提示と同時に他の場所で知覚されるかを問わない。

(4)頒布目的での著作物の原物又は複製物の輸入

(5)著作物の原物又は複製物の賃貸

(6)参加自由な公開の場所での又は通常の家族構成員ではないかなり多数の者が出席している場所での著作物の公の提示、即ちライブでの又は技術的手段(ラジオ、テレビ及びその他の技術的手段)を用いた著作物の提示並びに(音声を伴う又は伴わない)視聴覚作品の提示。作品がその提示の場所で知覚されるか又は著作物の提示と同時に他の場所で知覚されるかを問わない。

(7)無線による伝達とは、有線による伝達を除くラジオ又はテレビによる作品の公衆への伝達を意味する。この場合、伝達とは、公衆が現実に知覚するか否かに拘らず、著作物の聴覚及び/又は視覚による知覚を可能にする何れかの行為をいう。衛星を介する無線手段による著作物の伝達の場合、無線による伝達とは、地上局からの信号の衛星による受信及び衛星から37の信号の送信により、公衆が現実に知覚するか否かに拘らず、著作物を公衆に伝達することをいう。コード化した信号の伝達とは、放送組織により又はその同意を得てコード解読手段が無制限の公衆に付与されている場合の無線手段による伝達である。

(8)ケーブルによる伝達とは、即ちケーブル、電線、光ファイバー又は類似の手段の利用を伴うラジオ又はテレビによる著作物の公衆への伝達(再送信によるものを含む)である。コード化された信号の伝達とは、ケーブル放送組織により又はその同意を得てコード解読手段が無制限の公衆に付与されている場合のケーブルによる伝達である。

(8.1)中継放送又は再送信とは、無線又はケーブル放送に従事する組織がケーブルを介して送信するラジオ又はテレビ放送の完全無変更のもの又はその重要部分の(なかんずく衛星又はケーブルを介する)受信及び同時再送信である。

(9)著作物の翻訳又はその他翻案。この場合、著作物の翻案とは、派生的著作物(改作、映画版、編曲、舞台版等)の創作をいう。コンピュータープログラム又はデータベースの翻案(又は変更)とは、これらについて行なわれたすべての変更をいい、かかるコンピュータープログラム又はかかるデータベースのある言語から他の言語への翻訳を含むが、改作、即ちユーザーの又はユーザーの特定のプログラムの管理下にある特定の技術的手段に適合させる目的のみに行うコンピュータープログラム又はデータベースの変更を除く。

(10)建築、設計、都市計画又は公園若しくは庭園の計画の施行

(11)誰でも好みの場所から好みの時に著作物にアクセスできる方法で公衆に著作物を伝達すること(公衆への伝達)

3. 著作物の内容を構成する要素(技術、経済、組織又はその他の解決として提供されたものを含む。)の実用的な使用は、本条第2項第10段に定める利用を除き、本章に定める著作物の利用ではない。

4. 本条第2項第5段の規定は、コンピュータープログラムに適用されないものとするが。当該プログラムが貸与の基本的な客体である場合はこの限りではない。

排他的権利の移転・許諾

排他的権利を移転し、または第三者に許諾する方法は、以下の通り、ロシア民法上いくつか規定されていますが、実務的には、①から③までの契約がよく用いられます。

①譲渡契約 排他的権利の全部が新たな権利者に移転する契約(第1285条)
②ライセンス許諾契約 著作者又はその権利所有者(使用許諾者・ライセンサー)が、契約に定める条件の範囲内で著作物を利用する権利を使用権者(ライセンシー)に付与する契約。定期刊行物の場合を除き、書面によるライセンス許諾契約が必要(第1286条)
③創作契約 依頼人の注文に応じて、契約の定めに従い有形的媒体又は別の形式で納品する学術、文学又は芸術の著作物を創作する契約。当該著作物に関する権利の帰属は双方の合意に委ねられ、依頼人による利用に供するため一時的に移転する旨の定めがない場合は、権利が依頼人に移転される。(第1288条)
④附従契約(オープンライセンス) 簡素化された手続により作成される、著作者又は権利所有者が使用権者に学術、文学又は芸術の著作物を利用する通常の(非排他的)ライセンス付与するライセンス許諾契約。オープンライセンスの全ての条件は公衆に公開され、かつ、ライセンシーが関連する著作物の利用を開始する前にこれに馴染めるように掲示される。オープンライセンスには、その条件の受諾とみなされる措置を表示することができ、かかる場合、書面による契約書は拘束力を有するとみなされます。(第1286.1条)
排他的権利の例外

排他的権利については、適用の例外もあります。すなわち、ロシア法では、一定の場合には、著作者名の表示などを条件として、著作者またはその権利保有者の同意なしに、また報酬も支払わずに、著作物の使用をすることができます。

どのような場合に無償また同意なしに使用できるかについて、ロシア民法第1274条は、以下のように定めています。

第1274条 情報、学術、教育又は文化の目的での著作物の無償利用

1. 次に掲げる利用は、著作者又はその他の権利所有者の同意なしかつ対価の支払なしで認められるが、ただし、自己の著作物が利用された著作者及び借り出し先を名指す義務を伴う。

(1)適法に公表された著作物に係る著作者の創作意図を開示することを目的とする、かかる開示目標により正当化される範囲での学術、討論、評論、情報及び教育を目的とする原著作物及びその翻訳の引用で、報道論評の形での新聞及び雑誌記事の抜粋の複製を含む。

(2)適法に公表された著作物及びそれらからの抜粋の、教育的性質を有する刊行物、ラジオ及びテレビ放送並びに視聴覚収録における説明としての、かかる目的により正当化される範囲での利用

(3)定期刊行物の複製及びそれに続く無線又は有線でのこれらの刊行物の複製物の頒布、現下 の経済、政治、社会及び宗教問題に関する適法に公表された記事の公衆への伝達又は同様の 内容の著作物の公衆への放送。ただし、かかる複製、伝達又は流布が作者又はその他の権利 所有者により特に禁止されていない場合に限る。

(4)政治的発言、演説、講演及びその他類似の著作物の、公衆への告知目的により正当化され る範囲での、定期刊行物の複製及びそれに続く無線又は有線でのこれらの刊行物の複製物の頒布。同時に、かかる著作物の著作者は、これらを集めた形で刊行する権利を留保する。

(5)現下の出来事の過程で見聞される著作物の、公衆への告知目的により正当化される範囲での(なかんずく写真、映画、テレビ又はラジオでの)複製、頒布、無線又は有線放送、論評

(6)適法に公表された著作物の、ライブでの提示による、利益を上げる目的なしの、教育組織、 医療組織、社会事業機関及び刑罰制度機関での、これらの組織・機関の従業者(職員)、これらの組織・機関の業務の対象である者及び又はこれらの機関の中の者のための公の実演

(7)論文及びその要約のコンピューター記憶装置への収録及び公衆への伝達を含む電子媒体への収録

その他の権利

追及権

ロシアの著作権制度は、著作者の一身専属的権利として追及権を認めています。追求権とは、美術品などが転売された場合に、著作者が一定の報酬を得られる権利をいいます。これは、日本法上認識されていない権利ですが、ベルヌ条約では、以下のとおり国内法で定めることが認められています。

第十四条の三 〔追及権〕

(1) 美術の著作物の原作品並びに作家及び作曲家の原稿については、その著作者(その死後においては、国内法令が資格を与える人又は団体)は、著作者が最初にその原作品及び原稿を譲渡した後に行われるその原作品及び原稿の売買の利益にあずかる譲渡不能の権利を享有する。

(2) (1)に定める保護は、著作者が国民である国の法令がこの保護を認める場合に限り、かつ、この保護が要求される国の法令が認める範囲内でのみ、各同盟国において要求することができる。

(3) 徴収の方法及び額は、各同盟国の法令の定めるところによる。

ロシア民法第1293条は、次のように規定しています。

第1293条 追及権

美術の原著作物の譲渡が著作者により行われた場合は、著作者は、特定の原著作物かが媒体としての法人又は個人事業者(なかんずく競売企業、画廊、美術展又は美術商)の参加を得て再び売られるごとに、報酬として、再販売価格から一定の支払を売り手から受ける権利を有する(芸術家の再販売権/追及権)。報酬金額並びにその支払の条件及び手続は、ロシア連邦政府により決定されるものとする。

なお、この条文は改正されており(2018年6月1日より施行)、今後、法人または個人事業者(競売企業、画廊、美術展又は美術商)は、芸術品の再販売の報酬に関する必要な情報を、著作者またはその管理団体に提供する義務がつけれられるようになります。

接近権

ロシア著作権法は、造形美術や建築の著作物について、接近権を認めています。これも、日本法上認識されていない権利です。

接近権とは、造形美術(ロシア民法第1259条でいう、絵画、彫刻、グラフィックス、デザイン、劇画、漫画及びその他の造形美術)の著作物の著作者が、原作品の所有者から複製するよう請求できる権利をいいます。

これは、建築著作物にも及び、原作品の所有者に対して、写真撮影及びビデオ録画を行うよう請求する権利です。ただし、どのような手続きで接近権を行使できることについて法律上で明確に決められていません。

第1292条 接近権

1. 造形美術の著作物の著作者は、当該著作物の原作品の所有者に対して、自己の著作物の複製権を行使する可能性を与えるよう請求する権利(「接近権」)を有するものとする。但し、当該原作品の所有者に対し当該原作品を著作者に送付するよう請求することはできない。

2. 建築の著作物の著作者は、当該著作物の原作品の所有者に対して、契約に別段の定めがない限り、当該原作品の写真撮影及びビデオ録画を行うことを可能とするよう請求する権利を有するものとする。

撤回権

著作者の撤回権は著作者の公表権に関係するものです。著作権における公表権は、著作者の非財産人格権であり、著作物をどのような形またはどこまでの内容を公表するか、あるいは公表されてもそれを撤回するかは、著作者の裁量に属します。

このことから、ロシアの著作権法は、著作者に対して撤回権を認め、すなわち、著作者が自らの著作物を公表すると決定しても、公表に係る当該決定を撤回することができます。

ただし、著作者が撤回することによって、そこから生じた損失等は、著作者が負担することについて留意すべきです。

第1269条 撤回権

1. 著作者は、自己の著作物を公表するとの以前の決定を取り消すことができる(撤回権)が、ただし、著作物に係る排他権を譲渡されていた者又は著作物を使用する権利が付与されている者に対し前記の決定から生じた損失に係る補償金が支払われることを条件とする。

終わりに

以上がロシアにおける著作権制度の概要です。次回は、著作隣接権について紹介していきます。
本記事に関するお問い合わせはこちらから。(文責・アザマト・シャキロフ)