商標の審査・審判における判断の傾向は時代により変化しますので、その傾向を把握するためには審決や異議の決定を継続的にチェックする必要があります。商標審決アップデートでは、定期的に注目すべき商標審決をピックアップし、情報提供していきます。

不服2017-11376(キレイ/称呼同一商標の類否)

審決分類

商標法第4条第1項第11号(同一又は類似)

商標

本願商標:

引用商標:

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

本願商標と引用商標は、互いに相紛れるおそれのある類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号に該当する。

審決の要点

本願商標の構成においては、これに接する取引者、需要者は、他の文字部分に比して顕著に大きく表され、第一に看者の目をひく「キレイ」の文字部分に着目するのが自然といえるものであり、その上段に「白髪染め専門店」の文字があることからすると、該「キレイ」の文字部分と、その表音である「ki.re.i」の文字とが、当該専門店の店名を表した文字であると認識し、理解するものというのが相当である。そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、構成中の「キレイ」及び「ki.re.i」の文字部分に着目し、該文字部分より生じる称呼、観念をもって、商取引にあたる場合も決して少なくないといえるものである。してみれば、本願商標は、その構成中の「キレイ」及び「ki.re.i」の文字部分が、自他役務の識別機能を果たす要部として認識されるものである。

引用商標の構成にあっては、これに接する取引者、需要者は、上段に比して顕著に大きく表され、看者の目をひく「KiReI」の文字部分に着目し、強く支配的な印象を受けるといえるものであるから、該文字部分をもって取引に当たる場合も決して少なくないものというのが相当である。そうすると、引用商標は、その構成中「KiReI」の文字部分も、自他役務の識別標識としての機能を果たす要部として認識されるというべきである。してみれば、引用商標は、該「KiReI」の文字部分に相応して「キレイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

本願商標と引用商標とを比較すると、外観においては、両商標は、その構成を異にするものであるが、本願商標の要部中の「ki.re.i」の文字と、引用商標の要部である「KiReI」の欧文字は、「.」の有無や、大文字と小文字の差があるとしても、それぞれの構成中の5文字全てが、同じ綴りの文字からなるものであり、これに接する取引者、需要者に、外観上、近似した印象を与えるものである。次に、称呼においては、両商標は「キレイ」の称呼を生じるものであるから、称呼上、両者は同一である。また、観念においては、本願商標はその要部である「キレイ」及び「ki.re.i」の文字より、「キレイ(ki.re.i)という店名」程の観念を生じるものである一方、引用商標は、その要部である「KiReI」の文字よりは、特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上、比較することができない。

そうすると、本願商標と引用商標は、上記のとおり、それぞれの要部として看取される「キレイ」及び「ki.re.i」の文字部分と、「KiReI」の文字部分において、観念において比較することはできないとしても、外観上、近似した印象を与えるものであって、かつ、その称呼を同一にするものであるから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、両者は互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきものである。

コメント

請求人は、「キレイ」「KiReI」の文字部分に識別力がないことを理由に両商標は非類似である旨主張しましたが、審決では、それらの文字部分はいずれも独立して自他役務の識別機能を有する要部となり得ると判断しております。「KIREI」の欧文字については、衣料品や食品の分野でも登録例があり、必ずしも識別力がないとは言い切れないため、識別力や類否の判断には注意が必要です。

不服2017-12006(ふきトリ/商品の品質等)

審決分類

商標法第3条第1項第3号(商品の産地、品質等又は役務の質等)
商標法第4条第1項第16号(品質等の誤認)

商標

本願商標:ふきトリ(標準文字)

結論

原査定を取り消す。本願商標は登録すべきものとする。

本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ商品の品質について誤認を生じさせるおそれもない。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

審決の要点

本願商標は、その構成中の平仮名の「ふき」の文字部分は「吹き=風などの吹くこと。金属などを熔解すること。鋳造すること。」,「蕗=キク科の多年草。日本各地に自生、食用に栽培。」、「付記=本文に付け足して書きつけること。また、その文句。」等の、また、片仮名の「トリ」の文字部分は「酉=十二支の第10番目。西の方角。昔の時刻の名。」、「取り=取ること」、「鳥=鳥類の総称。」等の、それぞれ複数の意味を有する一般によく知られた語の表音であることから、「ふきトリ」の文字構成において、直ちに原審説示のような商品の品質を理解させるものとはいい難い。

また、当審において職権をもって調査するも、「ふきトリ」の文字が、その指定商品を取り扱う業界において、商品の品質を直接的かつ具体的に表すものとして、取引上普通に用いられていると認めるに足る事実を発見することができなかった。

そうすると、本願商標は、その構成全体をもって特定の語義を有することのない一種の造語として認識されているとみるのが相当である。してみれば、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえず、その文字構成において自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、商品の品質について誤認を生ずるおそれもないというべきである。

コメント

「ふきとり」や「フキトリ」であれば、識別力を有しないと判断されたと思われますが、本願商標は、平仮名の「ふき」と片仮名の「トリ」を組み合わせた「ふきトリ」という特徴的な構成からなることにより、一種の造語として認識され、識別力を有すると判断されております。

不服2017-12383(カプセルテント/商品の品質等)

審決分類

商標法第3条第1項第3号(商品の産地、品質等又は役務の質等)
商標法第4条第1項第16号(品質等の誤認)

商標

本願商標:カプセルテント(標準文字)

結論

原査定を取り消す。本願商標は登録すべきものとする。

本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ商品の品質について誤認を生じさせるおそれもない。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

審決の要点

本願商標は、その構成中の「カプセル」の文字が「飲みにくい薬品を封入して飲みやすくする、ゼラチン製の小さい容器。」の意味のほかに「宇宙飛行体などの気密容器。」の意味を有し、また、「テント」の文字が「雨露・寒暑を防ぎ或いは露営するため、支柱を立て布を張り覆う軽便な家屋。天幕。」の意味を有する語であって、その構成全体から原審説示の「カプセル型のテント」程の意味合いを暗示させる場合があるとしても、これが直ちに本願の指定商品について、商品の品質等を具体的かつ直接的に表示するものとはいい難いものである。

また、当審において職権をもって調査するも、本願の指定商品を取り扱う業界において、「カプセルテント」の文字が、商品の品質を表示するものとして、取引上、普通に採択、使用されているという実情も見いだせない。

そうすると、本願商標は、その構成全体をもって特定の語義を有することのない一種の造語として認識されているとみるのが相当である。してみれば、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、商品の品質の誤認を生ずるおそれはないといえる。

コメント

原査定では、「カプセルホテル」が一般に親しまれていることを述べた上で、本願商標が「カプセル型のテント」を理解させるため、識別力を有しないと判断しましたが、「カプセルホテル」とは異なり、「カプセルテント」は「カプセル型のテント」の意味合いで一般に使用されていなかったため、識別力を有すると判断されたものと思われます。

無効2017-890028(想い出査定士/「士」の有無の差異を有する商標の類否)

審決分類

商標法第4条第1項第11号(同一又は類似)

商標

本願商標:

引用商標:思い出査定(標準文字)

結論

登録第5895230号の指定役務中、第36類「宝玉・宝石の評価,時計・かばん類・袋物・身飾品・被服・携帯電話・スマートフォン・食器・香水などの中古の商品の評価,古物の評価,古銭の評価,骨董品の評価,美術品の評価,中古自動車の評価,中古の商品の買い取り価格の評価に関する情報の提供」についての登録を無効とする。その余の指定役務についての審判請求は成り立たない。

審決の要点

本件商標の構成中、各段の後半部にある「査定士」の文字は、一般の辞書類に載録されている既成の語ではないものの、その構成中の「査定」の文字が一般に親しまれた語であり、これに続く「士」の文字が「一定の資格・役割をもった者。」を意味する語であるから、「査定士」の文字全体をもって「査定する資格をもった者」ほどの意味合いを理解させるものとみるのが相当である。してみれば、本件商標は、「オモイデサテイシ」の称呼を生じ、「思い出を査定する資格をもった者」といった観念を生じるものである。

引用商標は、「思い出査定」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般の辞書類に載録されている既成の語ではないものの、その文字構成から「思い出」の文字と「査定」の文字とを組み合わせてなるものと看取されるといえ、かつ、その文字のいずれもが、一般に親しまれた語であることからすれば、全体として「思い出を査定すること」ほどの意味合いを表したものと認識されるというべきである。してみれば、引用商標は、「オモイデサテイ」の称呼を生じ、「思い出を査定すること」といった観念を生じるものである。

本件商標から生じる「オモイデサテイシ」の称呼と引用商標から生じる「オモイデサテイ」の称呼とを比較すると、両称呼は、「オモイデサテイ」の音を同じくするものであり、僅かに末尾における「シ」の音の有無という差異があるにすぎず、当該差異音についてみても、無声の摩擦音という比較的弱く響く音である上、その位置するところが明瞭に発音され、聴取されるとはいい難い末尾であることからすれば、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調が近似し、互いに聴き誤るおそれがあるというべきである。また、本件商標からは「思い出を査定する資格をもった者」といった観念を生じるのに対し、引用商標からは「思い出を査定すること」といった観念を生じるところ、例えば、第36類「宝玉の評価,古物の評価,骨董品の評価,中古自動車の評価」との関係においては、両者は、「査定する」という行為を行う主体を表したものであるか、当該行為そのものを表したものであるかという点が相違するにすぎず、当該相違が取引者、需要者に対して両者を明確に区別し得るものとして印象付けられるとはいい難い。さらに、本件商標は、「想い出査定士」、「思い出査定士」及び「おもいで査定士」の各文字を三段に書してなるものの、同義の語句を三段に表したものと認識されるものであるから、本件商標と引用商標とが「思い出査定」の文字を共通にすることをも鑑みれば、本件商標は、引用商標と全体の外観において類似するとはいえないが、両商標の外観上の差異が、両商標から生じる称呼や観念も総合してする類否判断に影響を及ぼすほど強い印象を与えるとはいい難い。

上記した本件商標と引用商標から生じる称呼及び観念並びに両商標の外観に基づく取引者、需要者の印象、記憶、連想等を総合して全体的に考慮すると、本件商標は、これをその指定役務中の「査定する」という行為と深い関係にある役務である第36類「宝玉・宝石の評価,時計・かばん類・袋物・身飾品・被服・携帯電話・スマートフォン・食器・香水などの中古の商品の評価,古物の評価,古銭の評価,骨董品の評価,美術品の評価,中古自動車の評価,中古の商品の買い取り価格の評価に関する情報の提供」について使用するときは、引用商標の指定役務中の第36類「古物の評価,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,中古自動車の評価」について、引用商標と互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。

コメント

本件では、本願商標を、その指定役務中「査定する」という行為と深い関係にある役務に使用する場合には、引用商標と類似する旨判断されております。役務内容によって商標の類否判断が分かれた珍しい事案です。

不服2017-16291(tatamize/長音の有無の差異を有する商標の類否)

審決分類

商標法第4条第1項第11号(同一又は類似)

商標

本願商標:tatamize(標準文字)

引用商標:

結論

原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。

本願商標と引用商標は、非類似の商標というのが相当であり、商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。

審決の要点

本願商標と引用商標とは、それぞれ、その構成文字種及び文字数のいずれも異にするものであるから、外観において相紛れるおそれのないものである。つぎに、本願商標から生じる「タタミゼ」の称呼が4音からなり、各音が強弱の差なく平坦に発音されるのに対し、引用商標から生じる「タタミーゼ」の称呼は5音からなり、長音を伴う「ミ」の音にアクセントが置かれ抑揚をつけて発音され、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調が相違したものとなるから、本願商標と引用商標とは、称呼において相紛れるおそれのないものである。さらに、観念においては、本願商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較できない。

そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶等を総合してみれば、両商標は、非類似の商標というのが相当である。

コメント

称呼上、長音の有無のみの差異を有する場合、類似すると判断される事案が多いですが、本件では、長音を伴う音にアクセントが置かれており、全体の語調が相違したものとなっている点が影響し、非類似と判断されたものと思われます。

不服2017-9049(ありがとうでおくるお葬式/キャッチフレーズの識別力)

審決分類

商標法第3条第1項第6号(その他識別力のないもの)

商標

本願商標:

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

本願商標は、自他役務の識別機能を持たない、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきであり、商標法第3条第1項第6号に該当する。

審決の要点

本願商標は、その構成中、前半の「ありがとう」の文字は「感謝の意を表す挨拶語」の意味を有する語であり、また、後半の「お葬式」の文字は「死者をほうむる儀式。葬儀。」の意味を有する「葬式」を丁寧にいう語であるから、中間にある「でおくる」の文字は、格助詞の「で」と、「葬送する」の意味を有する「送る」を平仮名で「おくる」と表記したものであるとごく自然に理解されるというべきである(「広辞苑 第6版」参照)。そうすると、本願商標は、その構成文字全体から「感謝をもって葬送する葬儀」程度の意味合いを容易に認識させる。

本願商標の指定役務と関連する葬祭業界においては、故人に対する感謝の気持ちを表現する又は伝えるような葬儀を執り行うことを示す宣伝文句として、例えば「感謝で送る(おくる)お葬式(お葬儀)」、「感謝の心で送る葬儀」,「ありがとうで送るお葬式」などの表示が、取引上普通に用いられている。また、葬祭業界においては、「感謝」又は「ありがとう」の語を使用して、葬儀会社の企業理念、経営方針又はサービス方針を表すことが、上記の例に加えて、例えば「感謝のお葬式」、「感謝の『気持ち』を形にできるお葬式」、「ありがとうの想いが届く・・・お葬式」などの表示が、取引上普通に用いられている。加えて、葬祭業界においては、例えば、花にこだわった(又はたくさんの生花装飾をした)葬儀を「花で送るお葬式(葬儀)」、お金ではなく心を込めて葬送する葬儀を「心で送る御葬儀」、音楽を随所に取り入れた葬儀を「音楽で送るご葬儀」などのように、「○○でおくる(送る)△△」(○○には葬儀の主なテーマを表す語が、△△には葬儀又はそれに類する語が入る。)のような表現方法が、広告宣伝において一般的に採択されている。

以上を踏まえると、本願商標に接する指定役務の需要者は、その構成文字の意味合い、葬祭業界の宣伝広告における「感謝」又はその意を表す「ありがとう」の語の使用に関する取引の実情、そしてその表現方法からすれば、本願商標を「故人に対する感謝の気持ちをもって葬送する葬儀」程度の意味合いを表したものと容易に認識、理解し、単に役務の宣伝広告又は企業理念若しくは経営方針の表示をしたものとしてのみ認識、理解するというべきである。

コメント

平成28年4月から標語、キャッチフレーズに関する商標審査基準が改定され、商標法第3条第1項第6号に該当する場合と該当しない場合が審査基準上示されることとなりました。審査基準においては、「出願商標が、その商品若しくは役務の宣伝広告…を普通に用いられる方法で表示したものとしてのみ認識させる場合には、本号に該当すると判断する。」と記載されており、宣伝広告を表示したものとしてのみ認識させる事情として、「指定商品又は指定役務の品質、特徴を簡潔に表すこと」「商品又は役務の宣伝広告に一般的に使用される語句からなること」等が挙げられております。本件では、これらの事情を考慮した結果、識別力を有しないと判断されております。

異議2017-900006(ExcelMonitor/周知著名商標と出所混同)

審決分類

商標法第4条第1項第15号(商品又は役務の出所の混同)

商標

本件商標:ExcelMonitor(標準文字)

申立人使用商標:Excel

結論

登録第5887282号商標の商標登録を取り消す。

本件商標をその指定商品に使用する場合、取引者、需要者は、その構成中「Excel」の文字部分に強く印象付けられ、該商品が申立人又は同人と営業上何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものと認める。

審決の要点

本件商標は、「ExcelMonitor」の欧文字を標準文字で表してなるところ,語頭の「E」及び6文字目の「M」の文字が大文字で表されており、外観上「Excel」の欧文字と「Monitor」の欧文字の2語から構成されていることが明らかである。そして、本件商標の構成中、前半の「Excel」の文字は、アプリケーションソフトの一つである申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時はもとより、登録査定時においても、既に、我が国のコンピュータを使用する取引者、需要者の間に広く認識されている申立人使用商標と、その綴りを同じくするものである。

他方、本件商標の構成中、後半の「Monitor」の文字部分は、例えば、「英和コンピュータ用語大辞典第3版」(日外アソシエーツ株式会社2001年1月26日発行)には、「監視する」や「監視プログラム」の意味、また、該語の解説として、「システムの監視をするためのハードウェアやソフトウェア.また,ディスプレイ装置を指すこともある.」との記載から、ディスプレイ装置のみならず、監視プログラムの意味をも認識するものとして知られているといい得るものであって、本件商標の指定商品は、ディスプレイ装置、ディスプレイ装置を使用する商品及びソフトウェアを含むものであるから、その指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能は、さほど強いものとはいえない。

そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、本件商標の構成中、注意を惹きやすい語頭に、著名な申立人使用商標と綴りを同じくした「Excel」の文字を有していることから、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標の構成中「Excel」の文字部分に強く印象づけられ、該商品が申立人又は同人と営業上何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。

コメント

本件では、申立人使用商標が著名であることに加え、本件商標の構成中「Monitor」の文字の識別力が指定商品との関係において弱いことや、本件商標の指定商品が第9類「コンピュータプログラム(ダウンロード可能なものを含む),電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,業務用テレビゲーム機用プログラム,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」であり、申立人商品(アプリケーションソフト)と関連性が高いことが影響して、商品の出所について混同を生ずるおそれがあると判断されたものと思われます。

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(文責・前田)