商標の審査・審判における判断の傾向は時代により変化しますので、その傾向を把握するためには審決や異議の決定を継続的にチェックする必要があります。商標審決アップデートでは、定期的に注目すべき商標審決をピックアップし、情報提供していきます。 

今回ピックアップした審決・異議の決定は、称呼同一で非類似と判断された事案、周知著名な商標に関する異議申立の事案、キャッチフレーズとして認識されるため識別力を有しないと判断された事案、社会通念上同一の判断に関して参考となる不使用取消の事案等です。

不服2017-13980

審決分類

商標法第4条第1項第11号(同一又は類似)

商標

本件商標:THINK SMALL(標準文字)
引用商標:

結論

原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。

本願商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、その指定商品が、引用商標の指定役務と類似するとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

審決等の要点

本願商標は、「THINK SMALL」の欧文字を標準文字で表してなるところ、「THINK」の語は「…と思う,…を考える」の意味を、「SMALL」の語は「小さい」の意味を有する、我が国でも親しまれている英語であり、両語を結合しても成語となるものではないが、それぞれの構成文字の意味を組みあわせた「小さく考える」又は「小さいことを考える」などの漠然とした意味合いを連想、想起させる(参照:「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店発行)。そのため、本願商標は、その構成文字に相応して「シンクスモール」の称呼が生じ、その構成文字の意味に相応して「小さく考える」又は「小さいことを考える」などの漠然とした意味合いを連想、想起させる。

引用商標は、左側に略「S」字状の構成よりなる太線を、外縁が円形となるように描いた黒塗りの図形を配し、その右側に1字程度の間隔を空けて、「SYNCSMALL」(「A」の文字は、中央上部に頂点を有する山型線の内部に三角形を配するように図案化されている)の欧文字を黒字で横書きしてなるところ、左側の図形部分と右側の文字部分は、間隔を空けて配置されており、それぞれの構成態様(図形と文字)及び大きさの相違から、両者は視覚上分離して認識、看取されるものである。また、左側の図形部分は、右側の文字部分の頭文字「S」を図案化して併記した可能性を示唆するとしても、その図案化の程度が顕著であるため、これより直ちに特定の称呼及び観念が生じるものではないというべきであるから、右側の文字部分と特段の称呼及び観念上のつながりはみられない。そのため、引用商標の要部である文字部分からは、その構成文字に相応して「シンクスモール」の称呼が生じ、特定の意味を有する語とも認識できないため、特定の観念は生じない。

本願商標と引用商標の文字部分の外観を比較すると、語尾の「SMALL」の構成文字を有する点で共通するものの、前半の「THINK」と「SYNC」の文字部分が異なり、しかも、それぞれの書体の相違や「A」の文字部分の図案化の有無もあいまって、外観が著しく相違するものである。さらに、本願商標と引用商標の文字部分の称呼及び観念を比較すると、両者は「シンクスモール」の称呼を共通にするが、本願商標は、構成文字の意味に相応して「小さく考える」又は「小さいことを考える」などの漠然とした意味合いを連想、想起させる一方で、引用商標からは特定の観念は生じないため、両者から受ける観念上の印象は異なる。そして、本願商標と引用商標の図形部分を比較すると、両者の外観は、構成要素(文字と図形)が明らかに異なり、全体として外観が著しく相違するものである。そのため、本願商標は、引用商標とは、その要部である文字部分との比較において称呼を共通にするとしても、外観は著しく異なり、観念上の印象も異なるものであり、その図形部分との比較においては、外観、称呼及び観念のいずれも類似するものではないことから、これらを総合的に勘案すると、両商標は、相紛れるおそれはなく、誤認混同を生じるおそれはないというべきである。

コメント

本件では、本願商標と引用商標は、同一の称呼を生じるものですが、外観・観念において相違し、非類似と判断されております。商標審決アップデートVol.3で紹介した不服2017-15938(「LIGHT NOW」と「RIGHTNOW」が非類似)と同様の判断となっております。

異議2016-900406

審決分類

商標法第4条第1項第15号(商品又は役務の出所の混同)

商標

本件商標:クラブ・ロイヤルサルート(標準文字)
引用商標:

結論

登録第5885423号商標の指定役務中、第43類「全指定役務」について、その商標登録を取り消す。

本願商標は、その指定役務中、申立てに係る指定役務については、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものと認められるから、その他の登録異議の申し立ての理由について判断するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

審決等の要点

「ROYAL SALUTE」の欧文字を付した本件ウィスキーは、我が国においては、「ロイヤルサルート」の片仮名が併記されて、著名な酒類の書籍やウィスキー専門の書籍等において、本件商標の登録出願日前より長年の間継続して紹介されていた事実が存在し、また、本件ウィスキーが高級ウィスキーの代名詞のように、新聞の記事で扱われていた事実などを勘案すると、「ROYAL SALUTE」の表示は、本件商標の登録出願日には既に、シーバス社の業務に係る高級スコッチ・ウィスキーを表示するものとして、我が国の酒類を取り扱う分野の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。

本件商標中の「クラブ」の文字部分は、本件登録異議の申立てに係る指定役務である「第43類 キャバレー・カフェ・ナイトクラブ・ダンスホール・カクテルラウンジまたはバーにおける飲食物の提供,アルコール飲料を主とする飲食物の提供」との関係からみると、「(会員制の)バー・娯楽場」の意味を理解させるものであるから、自他役務の識別機能を有しないか、有するとしても極めて弱いものといえる。これに対して、本件商標中の「ロイヤルサルート」の文字部分は、シーバス社の業務に係る高級スコッチ・ウィスキーを表示するものとして、我が国の酒類を取り扱う分野の取引者・需要者の間に広く認識されている引用商標における「ROYAL SALUTE」の片仮名表記と同一の文字よりなるものである。してみると、本件登録異議の申立てに係る指定役務の分野の取引者・需要者をはじめとする我が国の酒類を取り扱う分野の取引者・需要者が本件商標に接する場合には、その構成中の「ロイヤルサルート」の文字部分に強く印象付けられるといえるから、本件商標は、その構成中「ロイヤルサルート」の文字部分が要部であるというべきである。したがって、本件商標は、その構成文字全体を称呼した場合の「クラブロイヤルサルート」の称呼のほか、その要部である「ロイヤルサルート」の文字部分より、単に「ロイヤルサルート」の称呼をも生ずるものであって、これより「シーバス社の業務に係る高級スコッチ・ウィスキー」の観念を生ずるものと認める。

これに対して、引用商標は、「ROYAL SALUTE」の文字部分に相応して、「ロイヤルサルート」の称呼を生ずるものであって、「シーバス社の業務に係る高級スコッチウィスキー」の観念を生ずるものであり、本件商標と引用商標とは、外観において相違するものの、「ロイヤルサルート」の称呼及び「シーバス社の業務に係る高級スコッチ・ウィスキー」の観念を同じくする類似性の高い商標というべきである。

本件登録異議の申立てに係る指定役務は、前記のとおり、第43類「キャバレー・カフェ・ナイトクラブ・ダンスホール・カクテルラウンジまたはバーにおける飲食物の提供,アルコール飲料を主とする飲食物の提供」であり、引用商標が使用される商品は、スコッチ・ウィスキーである。そうすると、引用商標が使用されるスコッチ・ウィスキーは、本件登録異議の申立てに係る指定役務を提供するに際し、提供の用に供する物の一つに当たるといえるから、本件登録異議の申立てに係る指定役務と引用商標が使用される商品とは、関連性の高い役務・商品というべきであって、その需要者も共通するものと認める。

以上より、我が国の酒類を取り扱う分野の取引者・需要者が本件商標に接した場合は、直ちに引用商標又は本件ウィスキーを想起・連想し、本件商標を本件登録異議の申立てに係る第43類「キャバレー・カフェ・ナイトクラブ・ダンスホール・カクテルラウンジまたはバーにおける飲食物の提供,アルコール飲料を主とする飲食物の提供」について使用するときは、該役務がシーバス社又はこれと組織的・経済的に何らかの関係を有する者の提供に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。

コメント

本件商標は、第41類「キャバレーの提供,ナイトクラブの提供」及び第43類「キャバレー・カフェ・ナイトクラブ・ダンスホール・カクテルラウンジまたはバーにおける飲食物の提供,アルコール飲料を主とする飲食物の提供」について登録を受けておりますが、本件異議申立における登録取消の対象は、第43類のみであったため、当該役務についてのみ登録取消の判断となっております。商標法第4条第1項第15号の判断において、異議申立てに係る指定役務と引用商標が使用される商品の関連性が高いことが判断に影響した事案です。

異議2017-900067

審決分類

標法第4条第1項第11号(同一又は類似)

商標

本件商標:ボーテ・ド・ココ
引用商標:COCO

結論

登録第5899095号商標の商標登録を取り消す。

本件商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品に使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

審決等の要点

申立人商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日前より、香水の分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められ、その著名性は、本件商標の登録査定日においても継続していたものと認めることができる。

本件商標の構成中の「ボーテ」の文字部分は、香水、化粧品等の分野において、商標や商品に関する表示に多用されるフランス語で、「美、美しさ」等を意味する「Beaute(最後の「e」にアクサンテギュがある。)」の読み仮名であり、「ド」の文字部分も「から、の」を意味する前置詞「de」の読み仮名であって、化粧品等の分野においては、これらの語は、普通に使用されているものである。 そうすると、本件商標をその指定商品について使用するときは、「ボーテ・ド」の文字部分は、上記意味合いを取引者、需要者に認識、理解させるとみるのが相当であるから、自他商品の識別機能を有しないか、あるいは、有するとしても極めて弱いものといわなければならない。 そして、本件商標の構成中の「ココ」の文字部分は、本件商標の登録出願日には既に、申立人商品を表示するものとして、我が国の香水を取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く認識されていた申立人商標のうち、「ココ」と同一の綴り文字からなり、また、これより生ずる「ココ」の称呼も同一であることからすれば、本件商標をその指定商品について使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「ココ」の文字部分に強く印象付けられ、当該商品が申立人商品とその生産者、販売者を同じくする商品であると想起又は連想する場合も決して少なくないものとみるのが相当である。 そうすると、本件商標は、これを常に構成全体をもって一体不可分の商標を表したと把握、認識されるものではなく、強く支配的な印象を与える「ココ」の文字部分より、単に「ココ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。 また、該「ココ」の文字部分は、申立人商品を表示するものとして著名であるから、申立人の著名ブランドとしての「COCO」又は「ココ」の観念を生ずるものである。

本件商標と引用商標とは、外観上類似し、称呼及び観念を同一にするものであるから、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。

コメント

本件では、「COCO」が著名であることに加え、指定商品との関係において、本件商標の構成中「ボーテ・ド」の文字部分の識別力が弱かったことが影響して、互いに類似する商標であると判断されております。なお、本件と同種の事案として、「COCOTSUBAKI」の文字からなる商標が本件と同じ引用商標「COCO」に類似すると判断され、登録取消となった異議2017-900073があります。

不服2017-5381

審決分類

商標法第3条第1項第6号(その他識別力のないもの)
商標法第4条第1項第16号(品質等の誤認)

商標

本願商標:生ボディソープ(標準文字)

結論

原査定を取り消す。本願商標は登録すべきものとする。

本願商標は、これをその指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないものであり、かつ、商品の品質の誤認を生ずるおそれもないものである。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

審決等の要点

本願商標は、「生ボディソープ」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「動植物を採取したままで、煮たり、焼いたり、乾かしたりしないもの。また、その状態。」等の意味(「広辞苑第六版」、株式会社岩波書店発行)を有する「生」の文字と「ボディソープ」の文字とを結合してなるものとして看取、理解されるとはいえるが、その構成全体から、特定の意味合いを想起させるとはいい難い。

また、当審において職権をもって調査するも、本願の指定商品を取り扱う業界において、「生ボディーソープ」の文字が、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないというべき事情は発見できなかった。

そうすると、本願商標は、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものとして認識されるとみるのが相当であり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。

コメント

本願商標と同じく「生」の文字と一般名称を組み合わせた「生リンス」「生コンディショナー」「生ベビーソープ」「生ヘアオイル」「生スキンケアクリーム」等の商標が、第3類の指定商品について登録されております。 

不服2017-492

審決分類

商標法第3条第1項第6号(その他識別力のないもの)

商標

本願商標:いのちを守るワクチンを(標準文字)

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。

審決等の要点

本願商標は、「いのちを守るワクチンを」の文字を標準文字で表してなるものであり、本願の指定商品及び指定役務に関連のある者が、「いのちを守るワクチン」、「命を守るワクチン」の文字を使用している事実があり、さらに、「〇〇を」という文句が、団体や企業のスローガンやキャッチフレーズ等に用いられている事実がある。

そうすると、本願の指定商品及び指定役務に使用された、「いのちを守るワクチン」の文字に格助詞「を」を結合したにすぎない本願商標に接する需要者は、本願商標を、ワクチンに関連する団体や企業のスローガンないし団体や企業の事業に係るキャッチフレーズを表した語であると認識するにとどまり、何人かの業務に係る商品又は役務であることを表示したものと認識することはないというのが相当である。

コメント

本願商標は、キャッチフレーズに関する商標審査基準に記載されている宣伝広告を表示したものとしてのみ認識される事情のうち「商品又は役務の宣伝広告に一般的に使用される語句からなること」に該当すると判断されたものと思われます。なお、本件では、「いのちを守るワクチンを」の文字そのものが使用されている事実は示されておりませんが、商標審査基準においては、「ただし、指定商品又は指定役務の宣伝広告に実際に使用されている例があることは要しない」と記載されております。

不服2017-7912

審決分類

商標法第4条第1項第3号(国際機関を表示する標章と同一又は類似)

商標

本願商標:CMS(標準文字)

結論

原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。

本願商標は、これをその指定商品に使用したときに、その標章に係る国際機関と関係があるとの誤認を生ずるおそれはないというべきであるから、本願商標が商標法第4条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

審決等の要点

本願商標は、「CMS」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「移動性野生動物種の保全に関する条約」の略称を表示する標章であって経済産業大臣が指定するもの(平成16年7月20日経済産業省告示第247号)と同一のものといえる。

ところで、本願の指定商品は、第1類「電子部品製造用の工業用化学品,エレクトロニクス及びコンピュータ産業において用いる工業用化学品,半導体製造用化学品」であるところ、これらの商品は、専ら電子部品や半導体の製造などといったエレクトロニクス及びコンピュータ産業において用いる工業用化学品であるから、その用途に鑑みれば、上記条約が取り組むべき事業との関連があるものとして認識されるとはいい難い。

そうすると、本願商標が、上記のとおり、経済産業大臣の指定するものと同一の標章からなるものであるとしても、これをその指定商品に使用したときに、その標章に係る国際機関と関係があるとの誤認を生ずるおそれはないというべきである。

コメント

商標法第4条第1項第3号のロでは、「国際機関の略称を表示する標章と同一又は類似の標章からなる商標であって、その国際機関と関係があるとの誤認を生ずるおそれがない商品又は役務について使用するもの」は、商標法第4条第1項第3号に該当しない旨規定されております。本件では、国際機関「CMS」が取り組む事業と指定商品に係る業務の関連性が低いため、誤認を生ずるおそれがないと判断されております。

取消2017-300267

審決分類

商標法第50条(不使用による取り消し)

商標

本件商標:
使用標章:神仙レシピ、薬膳研究神仙会、神仙薬膳調理研究会、しんせん

結論

登録第3177002号商標の指定役務中、第42類「飲食物の提供」についての商標登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。

被請求人は、本件請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者等が、その請求に係る指定役務について本件商標を使用していることを証明したものといえない。

審決等の要点

本件商標権者は、薬膳調理会の参加者募集チラシを作成し、同人のホームページや文書により薬膳資料の提供についての広告記事を作成した。

薬膳調理会参加者募集のチラシに記載されている「神仙レシピ」の文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく一連に表してなり、「シンセンレシピ」の称呼も一気一連に称呼し得るものであり、「神仙の調理法」の観念を生じるものである。そうすると、本件商標と、「神仙レシピ」の文字とは、その外観、称呼及び観念において相違するから、社会通念上同一の商標とは認められない。

薬膳資料の送付に関する告知文に記載されている「薬膳研究神仙会」及び「神仙薬膳調理研究会」の文字は、それぞれ同書、同大、等間隔でまとまりよく一連に表してなり、「ヤクゼンケンキュウシンセンカイ」、「シンセンヤクゼンチョウリケンキュウカイ」の称呼も、やや冗長ではあるが、一気一連に称呼し得るものであり、それぞれ「薬膳を研究する神仙会」及び「神仙という名称の薬膳調理研究会」の観念を生じるものである。そうすると、本件商標と、「薬膳研究神仙会」及び「神仙薬膳調理研究会」の文字とは、その外観、称呼及び観念において相違するから、社会通念上同一の商標とは認められない。

商標権者ホームページの「薬膳しんせん みんなで健康長寿を創ろう会」及び「YSM薬膳しんせん男子会」のチラシに記載されている「しんせん」の文字は、本件商標と「シンセン」の称呼は同一であるが、「しんせん」の文字からは、「新鮮」や「新線」等さまざまな意味合いを生じるものであるから、社会通念上同一の商標とは認められない。

薬膳食資料の送付に関する告知文に記載されている「神仙」の文字は、本件商標と、社会通念上同一の商標と認められる。しかしながら、実際の調理会の開催時期や資料提供の時期については、いずれも日付の記載はなく、また、当該告知文が頒布された事実も不明であるから、本件商標を要証期間に使用していたと認めることはできない。

商標権者により広告されている役務は、薬膳調理会の企画、開催及び薬膳に関する資料の送付であり、これらは、「薬膳調理のセミナーの企画・運営又は開催」、「薬膳調理に関する知識の教授」、「薬膳(料理)に関する情報の提供」の役務であり、いずれも、本件審判請求に係る指定役務である 「飲食物の提供」には該当しないものである。その他、本件商標が、商標権者等によって、「飲食物の提供」の指定役務について、商標法第2条第3項にいう使用をされた事実を示す証拠はない。

コメント

本件では、「神仙レシピ」「薬膳研究神仙会」「神仙薬膳調理研究会」の文字は一連の商標であり、登録商標「神仙」と社会通念上同一とはいえず、「しんせん」の平仮名文字からは「新鮮」等さまざまな意味合いが生じるため、社会通念上同一とはいえないと判断されております。社会通念上同一の判断に関して参考になる事案です。 

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(文責・前田)