タグ : 拘束力
イノベンティア・リーガル・アップデートでは、有益な法律情報をいち早くピックアップし、分かりやすく解説します。
進歩性判断における予測できない顕著な効果の位置付けに関するドキセピン誘導体含有局所的眼科用処方物事件最高裁判決について
2019年9月16日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (129)
最高裁判所第三小法廷(山崎敏充裁判長)は、医薬化合物の進歩性の判断に際して顕著な効果を考慮するときは、当業者が、進歩性判断の対象となる発明の構成がその効果を奏することを予測できたか、また、当業者の予測を超えた効果を奏するかを判断すべきであるとの考え方を示しました。判決は、条文上の根拠が不明確な顕著な効果の位置付けについて、いわゆる独立要件説に近い考え方を採用したものと考えられます。
特許無効審判で認められなかった訂正にかかる発明の審決取消訴訟における進歩性判断の拘束力に関する導電性材料事件知財高裁判決について
2019年3月4日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (129)
知的財産高等裁判所第4部(大鷹一郎裁判長)は、本年(2019年)2月26日、訂正請求を否定した特許無効審判の審決に対し、審決取消訴訟裁判所が訂正は認められるべきものであるとの判断をし、さらに進んで、原審決ではなされていない訂正発明と引用発明の対比に基づく進歩性判断を行ったという事例において、当該進歩性判断にも特許庁や後訴裁判所に対する拘束力が生じるとの考え方を示しました。
審決取消判決による進歩性判断の拘束力の客観的範囲に関するドキセピン誘導体含有局所的眼科用処方物事件知財高裁判決について
2017年12月26日 裁判例情報(特許・意匠) 飯島 歩 (129)
知的財産高等裁判所第4部(髙部眞規子裁判長)は、本年11月21日、特許無効審判の審決取消訴訟において審決が取り消された場合の判決の拘束力に関し、「付言」の形ながら、前の審判における進歩性欠如の議論において主張されず、審決取消訴訟裁判所が明示的に判断しなかった顕著な効果に関する主張であっても、特許庁がこれを後の審判手続で審理したのは、一回的解決や訴訟経済に反し、取消判決の拘束力に関する行政事件訴訟法33条1項の趣旨に照らして問題があった、との判断を示しました。