欧州統一特許裁判所(UPC)のミュンヘン地方部における欧州特許に基づく侵害訴訟において先使用権が認められた事例をご紹介いたします。UPC協定34条では、UPCの決定は、欧州特許が効力を有する締約加盟国の領域に及ぶとされています。一方で、UPC協定28条によると先使用権は各国の法規に基づき、その国で効力が認められるとされています。本件は、原告が従来型欧州特許に基づきドイツ、フランス、イタリア、ルーマニアの4カ国で差止を求めた事件です。原告から特許に係る技術の被告によるドイツでの使用行為が証明されました。他方、被告からドイツでの先使用権が立証されました。UPCのミュンヘン地方部(裁判長裁判官Matthias Zigann判事)は、特許侵害を認定することはできないとし、フランス、イタリア及びルーマニアについてUPC協定34条の適用は考慮の対象とならないため、侵害訴訟は全体として棄却されるべきであると判断しました。

ポイント

骨子

  • ドイツにおいて、被疑侵害品が予備的請求3*の対象を文言上実施しているとしました。
  • 被告はドイツ国内の先使用権を援用することができるとしました。
  • フランス、イタリア及びルーマニアの各締約加盟国については、原告は使用行為を何ら主張していないので、この事情の下では、フランス、イタリア及びルーマニアについてUPC協定34条の適用は考慮の対象とならないため、侵害訴訟は、主張された全ての締約加盟国について棄却されるべきであるとしました。

*予備的請求(Auxiliary Request)とは、特許の有効性が争われる手続において、特許権者が主請求(通常は登録時のクレーム)が認められない場合に備えてあらかじめ提出しておく、より限定された内容のクレーム案です。番号順に、主請求に近いものから段階的に限定を加えた内容となっており、裁判所は主請求から順に有効性を検討し、認められるものが見つかった段階の請求の内容で特許を維持します。本件では予備的請求3の内容で特許が維持されました。

判決概要

裁判所 欧州統一特許裁判所ミュンヘン地方部
判決言渡日 2025年10月10日
事件番号 UPC_CFI_114/2024, UPC_CFI_448/2024
事件名 Infringement Action
裁判官 裁判長裁判官 Matthias Zigann
法律裁判官  Edger Frank Brinkman
法律裁判官  Tobias Gunther Pichlmaier
技術裁判官  Graham William Ashley

解説

UPC侵害訴訟における従来型欧州特許の侵害立証

UPCでは、単一効を有する欧州特許(以下「単一特許」という)、又は単一効を有さない欧州特許(以下、「従来型欧州特許」という)により侵害訴訟を提起することができます。従来型欧州特許は、出願人の希望する国で有効化されます。従来型欧州特許に関する、UPCの決定は、その特許が効力を有する締約加盟国の領域に及びます(UPC協定34条)。侵害訴訟においては、裁判所の決定は、有効化した締約国に効力が及ぶこととなります。

UPCA Article 34 Territorial scope of decisions
Decisions of the Court shall cover, in the case of a European patent, the territory of those Contracting Member States for which the European patent has effect.

欧州特許の場合、裁判所の決定は、当該欧州特許が効力を有する締約加盟国の領域に及ぶものとする。

参考までに、UPC協定の条文において「欧州特許(European patent)」は、同条約2条で以下のように定義され、欧州特許条約の下で許可された特許であって単一効を有しない特許とされています。

UPCA Article 2 Definitions
(e) ‘European patent’ means a patent granted under the provisions of the EPC, which does not benefit from unitary effect by virtue of Regulation (EU) No 1257/2012.
(f) ‘European patent with unitary effect’ means a patent granted under the provisions of the EPC which benefits from unitary effect by virtue of Regulation (EU) No 1257/2012.
(g) ‘Patent’ means a European patent and/or a European patent with unitary effect.

(e) 「欧州特許(European patent)」とは、EPC(欧州特許条約)の規定に基づいて付与された特許であって、規則(EU)No 1257/2012による単一効(unitary effect)の利益を享受しないものをいう。
(f) 「単一効欧州特許(European patent with unitary effect)」とは、EPCの規定に基づいて付与された特許であって、規則(EU)No 1257/2012による単一効の利益を享受するものをいう。
(g) 「特許(patent)」とは、欧州特許及び/又は単一効欧州特許をいう。

侵害訴訟における原告による被告の侵害行為についての立証に関して、以下のUPCミュンヘン地方部の裁判例があります。

Art. 34 UPCA stipulates that injunctive relief, and other corrective measures can be ordered with respect to all contracting member states where the European Patent has effect and for which a decision of the Court has been requested as long as an infringing act or the danger of first infringement has been proven for at least one contracting member state.

UPC協定第34条は、差止命令その他の是正措置について、欧州特許の効力が及び、かつ裁判所の判断が求められているすべての締約加盟国を対象として命じることができる旨を規定しており、これは、少なくとも1の締約加盟国において侵害行為又は初回侵害のおそれが証明されている限りにおいて認められる。

Edwards Lifesciences v Meril Gmbh, UPC_CFI_15/2023, 15. Nov. 2024, UPCミュンヘン地方部

つまり、UPCにおける侵害訴訟において、原告は少なくとも1つの締約加盟国における侵害行為を証明すればよいということになります。

先使用権

UPC協定の28条に先使用権について規定されています。

UPCA Article 28 Right based on prior use of the invention
Any person, who, if a national patent had been granted in respect of an invention, would have had, in a Contracting Member State, a right based on prior use of that invention or a right of personal possession of that invention, shall enjoy, in that Contracting Member State, the same rights in respect of a patent for the same invention.

ある発明について国内特許が付与されていたとすれば、締約加盟国において当該発明の先使用に基づく権利又は当該発明についての個人的保有に基づく権利を有していたであろう者は、当該締約加盟国において、同一の発明に係る特許について同一の権利を享受する。

UPC協定では、先使用権について各国の法規にゆだねています。また、その先使用権は、その国における同一の発明に係る特許について同一の権利を有するとされています。

UPCデュッセルドルフ地方部の裁判例として、UPC協定28条の枠組みにおいては、発明に係る技術の使用者は、各締約加盟国のそれぞれの国内法規が認める権利のみを援用することができることを前提とすれば、先使用権の存在は、保護が求められている各締約国ごとに主張されなければならないと判断した事例があります(Franz Kaldewei v Bette, UPC_CFI_7/2023, 3 Jul. 2024, UPCデュッセルドルフ地方部)。

なお、本件で被告が主張した先使用権は、ドイツ法に基づくもので、ドイツ特許法12条に以下のように先使用権の規定があります。

ドイツ特許法 第12条
(1) 特許は、出願時に既にドイツでその発明を実施していた者または実施のために必要な準備をしていた者に対しては効力を有さない。当該人は、同人自身の事業の必要のために同人または他人の工場もしくは作業場においてその発明を使用する権利を有する。この権利は、事業とともにする場合にのみ、相続または譲渡することができる。出願人またはその前権利者が特許出願前にその発明を他人に開示し、かつ、特許が付与された場合の同人の権利を留保した場合は、当該開示の結果としてその発明を知った者は、同人がその開示後6月以内に取った措置を第1文の規定にしたがって援用することはできない。
(2) 特許所有者が優先権についての権利を有している場合は、(1)にいう出願日ではなく、先の出願の出願日が基準となる。ただし、この規定は、外国の国民が外国出願の優先権を主張したときに、優先権に関する相互主義を保証していない国の国民には、適用されない。

事案の概要

原告Heraeus Electronics GmbH & Co. KGは、欧州特許第3 215 288号に基づき、ドイツ、フランス、イタリア、ルーマニアにおける、被告Vibrantz GmbHの製品の差止めを求める侵害訴訟を提起し、被告は本件特許の無効を求める反訴を提起していました。

裁判所は、原告がドイツについてのみ被告の使用行為を主張しており、フランス、イタリア及びルーマニアについては主張していないとしました。これに対し、主張された行為は国内の先使用権によってカバーされているため、その限りにおいて特許侵害を認定することはできないとしました。この前提の下では、フランス、イタリア及びルーマニアについてUPC協定34条の適用は考慮の対象とならないため、侵害訴訟は全体として棄却されるべきであると判断しました。

本件特許権

原告の特許権(本件特許権)は、以下のとおりです。

特許番号  欧州特許第3 215 288号
発明の名称 SINTERED METAL PREPARATION AND ITS USE FOR JOINING COMPONENTS(金属焼結製剤およびそれを用いた部材の接続)
優先日   2014年11月3日
出願日   2015年5月8日
登録日   2018年8月29日

本件特許権の請求項1は金属焼結製剤に係る物の発明でした。

本件は、裁判において予備的請求3で維持され、予備的請求3の請求項1は「部材の固定接合のための金属焼結組成物の使用」とする使用クレームに補正されています。

1.
部材の固定接合のための金属焼結組成物の使用であって、当該金属焼結組成物が
1.1 (A)銀50~90重量%であって、
1.1.1 粒子の形態で存在し、当該金属粒子がフレーク状又は不規則形状を有し、
1.1.2 当該金属粒子が、遊離脂肪酸、脂肪酸塩及び脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の有機化合物を含むコーティングを有するもの、並びに
1.2 (B)次の群より選択される1種又は2種以上の有機溶媒6~50重量%:
テルピネオール類、N-メチル-2-ピロリドン、エチレングリコール、ジメチルアセトアミド、1-トリデカノール、2-トリデカノール、3-トリデカノール、4-トリデカノール、5-トリデカノール、6-トリデカノール、イソトリデカノール、末端から2番目の炭素原子におけるメチル置換を除き無置換の1-ヒドロキシ-C16-C20-アルカン類、二塩基酸エステル類、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、並びに炭素原子数5~32の脂肪族炭化水素、
を含み、次のことを特徴とする使用:
1.3 次のものの数学的積が
1.3.1 成分(A)の金属粒子のタップ密度(DIN EN ISO 787-11:1995-10に準拠して測定)、及び
1.3.2 成分(A)の金属粒子の比表面積(DIN ISO 9277:2014-01に準拠して測定)の
1.3.3 50,000~80,000 cm⁻¹の範囲にあること。

なお、本件の明細書にて本件発明は以下のように説明されています。パワーエレクトロニクス・民生用エレクトロニクスにおいて、LEDや薄いシリコンチップなど圧力・温度に敏感な部材を接続する場合、従来の接着剤接合では熱伝導性・電気伝導性が不十分となるとのことでした。これに対し先行技術は特定組成の金属焼結ペーストを開示していましたが、本発明はこれを踏まえ、低気孔率・高い電気/熱伝導性を有する接合部を形成できる、部材の安定接続のための焼結方法およびその使用に関するものとしています。

本判決

争点の概要

本件では、クレームの属否、先使用権、冒認、無効反訴の許容性、実施可能要件、新規性、及び進歩性が争点となりました。
本記事での詳細な説明は省略しますが、予備的請求3で特許が維持されるとされ、予備的請求3の請求項1(クレームの具体的な内容については上述のとおりです)に基づき、被疑侵害品の文言充足、及び先使用権の成否が判断されております。

以下、先使用権の争点、また先使用権の成立に基づきUPC協定34条の適用に関する争点について説明します。

本判決の判旨

裁判所は、被疑侵害品が予備的請求3の対象を文言上実施しているとしました。また、原告がドイツについて使用行為を主張している限りにおいて、被告は国内の先使用権を援用することができるとしました。フランス、イタリア及びルーマニアの各締約加盟国については、原告は使用行為を何ら主張していないので、この事情の下では、フランス、イタリア及びルーマニアについてUPC協定34条の適用は考慮の対象とならないため、侵害訴訟は、主張された全ての締約加盟国について棄却されるべきであるとしました。

原告は、被告によるドイツ国外における具体的な侵害行為を主張していませんでした。原告は、ドイツにおいて行われた使用行為から、フランス、イタリア及びルーマニアについての侵害のおそれを主張していました。しかし、ドイツにおいて行われた使用行為は、先使用権によって保護されており、したがって適法であったので、これらは侵害行為に該当せず、したがって他の領域についての侵害のおそれをも基礎付けないと判断しました。

裁判所は、UPC協定34条の適用によっても、異なる結論は導かれないとしました。同条によれば、欧州特許の場合、裁判所の決定は、当該欧州特許が効力を有する加盟国の領域について適用されるとしています。したがって、これらの領域のうち一つについて侵害行為を主張し、争われた場合にはこれを立証すれば足りる(冒頭で説明した、Edwards Lifesciences v Meril Gmbh, UPC_CFI_15/2023, 15. Nov. 2024, UPCミュンヘン地方部参照)と解されるところ、本件においては、少なくとも一つの加盟国における侵害行為が存在しないとしました。

被告が、フランス、又はイタリアについて、いかなる具体的な製品に関するいかなる具体的な使用行為を行ったのかを認定することができないとしました。また、原告は、被告の先使用行為に関する主張から侵害のおそれを導き出すこともできないとしました。

先使用権の成立に関する判断

裁判所は、被告が優先日前に、SF65型、SF70A型及びSF30型の銀フレークを使用したNTV用途向け焼結ペーストの製造を決定していたことをもって、先使用権を基礎付けるに十分であるとの見解を示しました。

これらのフレークは、その製造の結果として、これらを用いて製造される焼結ペーストが、本件特許の「数学的積」の範囲にある比表面積及びタップ密度という重要な数値を必然的に備えるように形成されているとしています。

提出されたデータシート(例えばJD 39)及びバッチ記録カード(例えばJD 40)、並びに従業員x(JD 43)及びy(JD 34及びJD 77)の書面による証言を考慮し、裁判官の確信するところによれば、実務上有用な程度の確実性(疑いを差し挟む余地のない程度のもの)をもって、被告が優先日前に、部材の固定接合のための焼結ペーストを定常的に製造・販売しており、その際にSF65型、SF70A型及びSF30型の銀フレークを使用していたことが認められるとしています。

被告の従業員は、訂正請求項1に記載のタップ密度、及び比表面積が特定の数学的積になることを認識していなかったかもしれないが、これらの銀フレークの使用が、部材の固定接合を可能にする焼結ペーストの製造につながることを認識しており、これらの型式の銀フレークを使用することにより、特許記載のタップ密度及び比表面積の積を有する製品を得ることは、あらかじめ組み込まれていたといえるとしました。

被告の従業員が、これにより明細書においてせん断試験によって定義された特に強固な種類の接合が達成され得ることを認識していなかったであろうことは、判断に影響しないとしました。ドイツ連邦通常裁判所の判例によれば、これは、これらの詳細が組み込まれていない特許請求項についての先使用権の発生の要件ではないことを理由としています。

上述の認識をもってすれば、被告はいつでも当該技術的教示を反復可能な形で実施することができたため、被告は単なる試行の段階を既に脱していたといえるとしています。

以上から、裁判所は、被告がドイツの領域について先使用権を有すると結論しました。

ドイツ国外での侵害のおそれについての裁判所の判断

原告は、以下の概要で主張しました。

・EU加盟国における特許侵害は、EU域内市場における使用行為についての反復のおそれ、又はEU域内市場全体における他の国内部分の侵害についての先行侵害のおそれがあり、ここで主張されている本件特許の各国部分についてのおそれをも基礎付けるとしました。

・被告がウェブサイト上でフランス及びイタリアにも拠点を有することを示しておりグローバルに事業を展開するコンツェルンの一部であることから侵害のおそれがあるとしました。

・原告は、被疑侵害実施形態が発明の本質的要素を構成するとして、間接侵害(UPC協定26条1項)を主張しました。

当該主張に関して、裁判所は、争われる可能性の高い事実主張を行う当事者にはこれを所定の形式で具体化する訴訟促進義務(手続規則前文7項、手続規則171.1条、及び171.2条)があるところ、原告はこれを果たしておらず、原告から主張が具体的になされていないことを指摘しています。

くわえて裁判所は、原告の主張を真実であると仮定したとしても、被告が――コンツェルンに属する他の企業ではなく――フランス及び/又はイタリアにおいて、いかなる具体的な製品に関するいかなる具体的な使用行為を行ったかを認定することができないとしました。

原告は、被告の先使用行為に関する主張から侵害のおそれがあると主張しました。これに対して、裁判所は、原告はこの主張を争っており、これを自らのものとして援用していないとし、さらには、特許付与前の行為は適法であり、特許付与後の期間についての侵害のおそれを基礎付けることはできないとしました。

コメント

UPCの決定の効力は、従来型欧州特許に関し、有効化した締約国に効力が及ぶとされます(UPC協定34条)。一方、UPC協定において、先使用権は各国の法規にゆだねられ、その効力もその国に限定されます(UPC協定28条)。つまり、侵害訴訟において被告が先使用権により対抗しようとしたとき、差止を求められる各国において、各国の法規に基づいて先使用権を立証することが求められます。各国が先使用権の規定を持っていますが、一般的には国内における発明の所有や、業としての実施を先使用権発生の要件としています。UPCデュッセルドルフ地方部では、先使用権の存在は、保護が求められている各締約国ごとに主張されなければならないと判断した先例があります (冒頭で紹介したFranz Kaldewei v Bette, UPC_CFI_7/2023, 3 Jul. 2024, UPCデュッセルドルフ地方部)。

UPCミュンヘン地方部の先例では、少なくとも1の締約加盟国において侵害行為又は初回侵害のおそれが証明されている限りにおいて欧州特許が効力を有する国での差止が認められるとされていました(冒頭で紹介したEdwards Lifesciences v Meril Gmbh, UPC_CFI_15/2023, 15. Nov. 2024, UPCミュンヘン地方部)。

そうすると、UPCの侵害訴訟において、少なくとも1カ国で発明に係る技術の使用行為が証明され、その国での先使用権の成立が証明されたとき、被告は他国における先使用権をその国の法規に基づいて改めて立証しなければならないのかという疑問が生じます。

本事例においては、従来型欧州特許に基づきドイツ、フランス、イタリア、ルーマニアの4カ国で差止を求めた事案において、予備的請求3の請求項に係る発明(使用クレーム)についてドイツ国内での使用行為が証明されました。ミュンヘン地方部は、UPC協定34条の適用について、少なくとも一カ国の加盟国における侵害行為が存在しなければならないとしました。被告によるドイツ国内での特許に係る技術の使用は認められたものの、先使用権の成立が認められたため侵害が成立しないと判断されました。

他国の侵害に関しては、原告の主張が具体的でなく不十分と判断されたことで、侵害の成否の判断がなされておらず、先使用権の成立の判断には至っておりません。したがって、本事案においては、被告はドイツ国内での先使用権を立証することで、他国も含めて侵害による差止を免れたこととなります。

侵害訴訟において、差止を求める複数か国のうち1カ国のみで侵害を立証すれば、他の国において差止が認められることとなります。少なくとも本裁判例の判断に基づけば、先使用権により対抗するためには、発明の技術の使用が立証された国において先使用権の成立を証明すればよいと考えられます。

被告の立場からすると、事業の展開としてドイツ国内のみならず、欧州域の各国で事業を拡大できることが望ましいと考えられますが、今後、フランス、イタリア、ルーマニアで事業を展開する場合、侵害を問われることになるのか疑問に思われるところです。事業を進めるにあたって、フランス、イタリア、ルーマニアの各国での法規に従って先使用権が成立するか検討する必要があります。

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(文責・山下)