Hisako TANAKA弁護士法人イノベンティアは、田中 久子(たなか ひさこ)弁理士を迎えました。東京事務所に所属します。

田中久子弁理士の紹介

田中久子弁理士は、東京大学工学部電子工学科を卒業後、同大学大学院工学系研究科にて電気工学を専攻し、工学修士を取得しています。その後、株式会社東芝において知的財産業務を経験しつつ日本の弁理士資格を取得し、米国のパテントエイジェントの資格を得て米国の法律事務所に勤務し、さらに国内の法律事務所及び企業における勤務を経て、イノベンティアに加入しました。また、田中弁理士は、日本ライセンス協会の理事として、我が国における知的財産活動の支援もしてきており、知的財産分野において、広範かつ深い経験を有しています。今後は、イノベンティアのメンバーとして、クライアントの皆様や我が国の知的財産業界のため、積極的な活動を行ってまいります。

田中久子弁理士略歴

1988年3月 東京大学 工学部 電子工学科 卒業 (工学士)
1990年3月 東京大学大学院 工学系研究科 電気工学専攻 / 修了(工学修士)
1990年4月 – 1998年3月 株式会社東芝 研究開発センター / 知的財産担当
1998年4月 – 2000年7月 株式会社東芝 研究開発センター / 知的財産担当・主務 (情報通信グループ)
2001年1月 – 2002年5月 Finnegan, Henderson, Farabow, Garrett & Dunner, LLP (Palo Alto) / Tech Specialist・US Patent Agent
2002年7月 – 2003年12月 大野総合法律事務所 / アソシエイト 弁理士
2004年1月 – 2018年1月 大野総合法律事務所 / パートナー 弁理士
2018年2月 – 2018年10月 株式会社タニタ 法務・知的財産部 / 部長補佐・事業戦略本部 技術提携アドバイザー
2018年11月 – 2025年10月 株式会社タニタ 法務・知的財産部 / 部門長
2025年2月 – 日本ライセンス協会 / 広報委員長・理事
2026年1月 弁護士法人イノベンティア 加入(東京事務所)

田中久子弁理士からのメッセージ

35年余りのキャリアのうち、最初の10年強を総合電機メーカーで、次の17年を米国と日本の法律事務所で、直近の8年近くをユニークな日本企業で過ごし、法律事務所のパートナーと企業の部門長を両方とも経験する機会に恵まれ、また、2025年度からは日本ライセンス協会の理事・広報委員長を拝命し、厳しくも楽しくワクワクと仕事をしてまいりました。

最初の職場では、通信と情報の融合を研究する部署の知財担当として、日本におけるインターネットの黎明期に、欧米強豪企業で占められていた標準化団体への提案活動に参画し、提案技術を世界標準にするという経験ができました。ここで、事業部門を後追いする知財サポートではなく、研究や標準化を知財の目線で牽引できる面白さに目覚めました。

次の職場は、家庭の都合で渡った米国シリコンバレーの法律事務所で、地元のベンチャー企業から世界各国の企業まで、様々な米国特許出願の代理人を務めました。英語で発明者から発明の本質を聞き出して一から明細書を書き、米国特許庁審査官の対応を読み解いて中間処理をする中で、必ずしも英語に堪能でなくても論理力で人を説得する文章を書けることを学び、これが後の日本での仕事の基礎となりました。

帰国後の職場は、知財の係争事件に強い法律事務所で、折り畳み式携帯電話端末のほぼ全てが特許を侵害していると主張され影響が広がった「二画面特許」事件、知財高裁の初めての大合議事件となった「一太郎」の一連の事件、標準必須特許訴訟における証拠調べの必要性と営業秘密の保護とのバランスが判断された「アイピーコム」事件、外国の非実施主体である特許権者が携帯電話のプラットフォームを対象に巨額の損害賠償請求をした「ユーペイド」事件など、様々な事件を担当し、代理人として踏み込んだ主張立証を戦わせることで、第一世代と呼ばれる知財裁判官と関係代理人の皆様が現在につながる知財裁判のシステムを築き上げていく過程に、私自身も携わることができたと思います。裁判における準備書面の交換とその結果として得られる判決あるいは和解は、究極のコミュニケーションであり、その経験は、後に企業人として事業を進める上でも役に立ちました。

訴訟と並行して、係争を起こさせないための調査分析とどこまでリスク対策をすれば事業開始を意思決定してよいかの判断も数多く行いました。会社の将来が左右される可能性のある判断を全面的に任せていただけたことは、外部専門家として大きな喜びでした。
さらに並行して、出願権利化方面でも、IT企業(日本のシステムインテグレータの研究所、スウェーデンのデジタルペンのパイオニア企業など)の特許ポートフォリオ構築を行いました。

これらの大きな事件が最終解決し、クライアントの社内にリスク対策と判断の経験が蓄積され、ポートフォリオ構築にも目処がついたところで、最初の職場で心残りのあった事業自体の促進に再度関わりたくなり、計測機器と食堂というユニークな事業を展開している企業に縁あって転職しました。
ここでは、知財に加えて法務機能を広く有する部門の立ち上げを行うことになり、扱わなければならない対象が特許、ノウハウから意匠、商標、著作権、あらゆる種類の契約、個人情報、コンプライアンス、リスクマネジメント、労務、危機管理と飛躍的に増加しましたが、少数精鋭の社内の法務知財部のメンバーと、様々な外部専門家の皆様とのネットワークで、社内外の垣根を越えた「チーム」を構成することにより、多数の問題を解決できることを実績で示すことができました。

また、扱う対象の全案件について事前相談を受けるようにしたことで、全部門からの早い段階からの情報を得て、事業や経営の全体が見えるようになり、昨今注目されている「知財ガバナンス」の実現を目指すための体制を、自然と作ることができたように思います。一案件についての相談が何度にも亘りますが、その知財や契約を何のためにどうしようとしているのか、事業や経営との関係を常に問いながら進めることで、事業部門のメンバーの事業自体についての考察が深まるとともに、知財や契約を自分達に必要不可欠なものとして捉えられるようにもなってきたと感じることができました。研究開発と製造、ブランディングだけでなく、サプライチェーンや顧客ネットワークの構築まで意識して、考えるようにもなりました。

このように事業部門へ考え方が浸透し、法務知財部の後継も育ちましたので、さらに次のステップを目指し、様々な活動ができるイノベンティアへ移籍してまいりました。知財を核に据えながら、クライアントの皆様の事業を花開かせるために何ができるか、今までの経験を活かしつつ、それにとらわれずに新しく、探していきたいと存じます。同時に、日本ライセンス協会の機関誌の企画・編集を通して、多彩な個人の交流の場というライセンス協会の特性を生かし、知財の視点から日本の事業を盛り上げていけるよう、力を尽くしてまいります。