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リサイクル品の排除と独占禁止法
ー大阪地裁令和5年6月2日判決を題材にー
弁護士法人イノベンティア 主催 第37回リーガル・アップデート・ライブ
内 容
※今回は急遽講師を交代し、溝上武尊弁護士 がお話させていただきます(以下は交代前に予定されていた内容です)。
インクカートリッジのリサイクル品を販売していたエコリカが、キヤノンがインクカートリッジの仕様を変更したのは独占禁止法に違反するとして、同社を被告に差し止めを求めていたキヤノンvsエコリカ事件について、大阪地方裁判所は、2023年6月2日、原告であるエコリカの請求を退ける判決をしました。
エコリカは、使用済みインクカートリッジを回収し、インクを再注入して純正品より低価格で販売するビジネスモデルを採用していたところ、本体メーカーのキヤノンは、対抗策として、純正インクカートリッジについてICチップの仕様変更を行うことで、エコリカ製品を使用できないようにしました。
これに対し、エコリカが、キヤノンに対し、仕様の変更等が独占禁止法2条9項6号所定の「不公正な取引方法」にあたるとして、独占禁止法違反行為の差止等を請求したのが今回の事件です。
結論として、大阪地方裁判所は、キヤノンによる仕様変更は公正取引委員会告示が規定する「抱き合わせ販売等」及び「競争者に対する取引妨害」に当たらないと判断し、エコリカの請求を退ける判決をしました。
従前より、インクカートリッジの修理・リサイクルに関する知的財産権などの法律問題は、裁判所で争われてきました。
これらの背景には、本体メーカーは、主製品の価格を低く設定して顧客を取り込み、付随製品のランニングでその囲い込みを狙うという、「キャプティブ価格戦略」を採用しており、本体メーカーにとっては、長期的に安定して収益を得るため、競合製品へのスイッチを予防することが重要であることが挙げられます。
プリンター関連のリサイクルに関する判決としては、本事件のほかにも、特許権の消尽が争われた最高裁判所平成19年11月8日判決〔インクタンク事件〕や、最近では、特許権の消尽と独占禁止法違反による特許権の行使の権利濫用の成否が争われた知的財産高等裁判所令和4年3月29日判決などがあります。キヤノンvsエコリカ事件は、ESGの重要性が叫ばれる中で、今後のリサイクル・修理ビジネスにインパクトを与える可能性があります。
本セミナーでは、キヤノンvsエコリカ事件を中心としつつ、リサイクル・修理産業と知的財産権及び独占禁止法の関係に関して、米国や欧州のような「修理する権利」という考え方の動向にも触れつつ解説いたします。
開催要領
日 時 | 2023年9月14日 11:00-11:30 (このセミナーは終了しました。) |
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場 所 | ウェビナー(Zoom)※随時参加・退出いただけます。 ※ご参加の皆さまには、前日までにZoomのご招待をお送りします。 |
登壇者 | 講師: 溝上 武尊 弁護士法人イノベンティア パートナー |
参加費 | 無料 |
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